友人宅に急にお呼ばれした場合やちょっとしたプレゼント、自宅でのカジュアルなランチ会などの際に、近所のスーパーやデパートなどで5,000〜1万円で買える“ちょっといいワイン”を知っておくと大変便利なもの。おいしいのは絶対条件で、ちょっと蘊蓄も語れると最高ですよね。そんな「街中で買える、1万円以下の“お宝ワイン”」を、年間1000種類近いワインをテイスティングし、つねにおいしいワインを探し求めているワインブロガー・ヒマワイン氏がご紹介。

1,000円台でも驚くほど高品質なワインをつくる「KWV」
先日所用でJRの千葉駅に行きました。千葉駅にはデパート「千葉そごう」が隣接しており、そのデパ地下にはワインショップ「EXIVIN」が存在します。今回は、そこで見つけたお宝ワインについて。
さて、みなさんは南アフリカワインを飲んだことがありますか? 最近では市民権を得ている印象がありますが、いまだ「アフリカでワイン!?」と驚かれることも多くあります。
実は南アフリカには長い長いワイン造りの歴史があり、その品質は極めて高く、それでいて他の産地に比べて価格は安め、という大変ありがたい産地なのです。ちなみにアフリカ大陸ということでいうと、北アフリカの地中海沿岸もワインの産地です。
今回私が千葉そごうのデパ地下で発見したのは、そんな南アフリカのワイン。KWVの「メントーズ ピノタージュ」です。
「南アフリカブドウ栽培協同組合」の頭文字の一部をとって名付けられたKWVは、1918年に設立された南アフリカを代表する大手メーカー。南アフリカワインはただでさえコスパが良いのですが、なかでもKWVは大手のスケールメリットを活かしたハイコスパ生産者であり、1,000円くらいで売られているワインも驚くほど高品質。今回発見した「メントーズ」は、そんなKWVのプレミアムラインで、5,000円前後という値札がぶら下がっています。
品種は南アフリカを代表する赤ワイン用品種のひとつ、ピノタージュ。ピノタージュは世界中で大人気の品種であるピノ・ノワールと、ちょっと地味なサンソーという品種を掛け合わせて生まれたぶどう。味わい的には非常に果実味が強く、まろやかで飲みやすいワインになる傾向があります。
実はこの品種を生み出した人物もKWVに所属していたという歴史があります。それもこのワインを選んだ理由のひとつ。特定の品種への思い入れが強かったり関わりが深い生産者は世界各地にいますが、「その生産者が造るその品種のワイン」はほぼ旨いという私的法則があるからです。シャンパーニュを“発明”したのはドン・ペリニヨン。そして今でもドン・ペリニヨンはおいしい、といったように。
コスパ産地・南アのコスパ生産者・KWVが造る産地を代表する品種のプレミアムワイン。一体どんな味わいなのかとワクワクしながら持ち帰り、本当は少し寝かせたほうが良いのですが待ちきれなくてその日のうちに抜栓してしまいました。
いいワインは開けた瞬間にわかるもの。コルクを抜くとボトル開口部から赤紫色の煙が立ち上るように香りが嗅覚を直撃。さくらんぼだけを集めたバケツに顔ごと突っ込んだようなかわいらしい果実の香りに、使い込んだ革製品を思わせる落ち着いた香り、焚き火を終えた後の炭のような気配も漂います。
いいぞいいぞとニヤニヤしつつグラスに注いでみると、香りがさらに広がっていきます。印象としては古い洋館の書斎。革張りのソファ、暖炉、分厚い本が整然と並ぶ本棚。そのどこか厳しい印象を裏切るように、テーブルの上のバスケットには山盛りのチェリーとベリー。なんだかそんなイメージが思い浮かびます。イケオジのスーツのズボンの裾から覗く靴下が意外にかわいいくて萌える、みたいな。
5,000円を超える価格帯のワインは味わいが複雑になりやすく、ゆえにワイン初心者にはあまりおすすめできないこともあるのですが、このワインは例外。圧倒的にわかりやすい果実味がありながら、渋み、酸味といったワイン好きが愛する要素もしっかりと備えています。いやびっくり。おいしいですこのワイン。ワインに甘やかさがあるので、ペアリングはすき焼きとか肉じゃがとか、肉×甘の組み合わせが鉄板になりそう。
ちなみにワイン名の「メントーズ」は「MENTORS」と書き、いわゆる指導者的な意味合いの「メンター」を意味しています。自分で飲むのも最高ですが、自分を導いてくれたメンター的な方への感謝を込めたプレゼントにもとてもいいと思います。
さすがは優良生産者・KWV。そのプレミアムレンジも素晴らしい内容です。南アフリカワイン好きにはもちろん、南アのワイン飲んだことないよ! という方にこそぜひ飲んでいただきたい1本なのでした。
ヒマワイン
年間約1000種類のワインを飲み、「ヒマだしワインのむ。」というブログを運営するワインブロガー。高いワインも安いワインも、地球上で造られるすべてのワインが好き。

