その品質の高さで海外から評価されるメイド・イン・ジャパン。特にファッションにおいては、近年のクラシック回帰の流れから、日本の伝統的な技術や素材までもが注目されているのだ。ここでは、日本の繊細な仕事にフォーカス。伝統カラーである黒と金を中心に、日本が世界に誇るブランドのこだわりの逸品を集めた。今回は、ジャパンブランド最前線を紹介する。【特集 日本のハイブランド】

老舗から気鋭メーカーまで、日本の伝統が息づいている
伝統的な技術やファブリックが支持されていることに伴い、今、新進気鋭の若手からベテランまで、日本ブランドが注目されているのをご存知だろうか。
海外ブランドとコラボレーションするなんてことも珍しくなく、特に近年ではセレクトショップや企業が、ジャパンプロジェクトと称した、世界に日本のブランドやファクトリーを発信するプロジェクトを行っているのも要因に。
さらに、パリコレクションやピッティ・ウオモのコレクションにも参加するなど、ブランドや企業が積極的に海外への認知を広げていることがうかがえる。こうしたアプローチの甲斐あって、古きよき日本の伝統が評価され、世界的認知を高めているのだ。
今回ピックアップしたブランドの数々は、過度な装飾がなくとも製法や仕立てに一家言あるからこそ成せるアイテムがほとんど。それでも自信を持って紹介できるのは、メイド・イン・ジャパンへの信頼があるからこそ。
世界で躍進するブランドを知っておくことは、センスある大人の嗜み。それが自国のブランドとあればなおさらだ。
1.サカイ|洗練と機能性を両立した今時のミリタリー
名だたるブランドとのコラボレーションを手がけ、国内外で高い人気を誇る創業26年の熟練のブランド。今季新作はハリントンジャケットをベースに、ボディは高密度に織り上げたウールウェザークロス生地を採用。しなやかな肌触りながら、撥水・防風性に優れた機能性を併せ持つ。随所のコードがアクセントに。

2.オーラリー|カジュアルながらもクラス感たっぷりなシルクデニム
ファッション好きから支持を集めている2015年誕生のオーラリー。素材選びにこだわったミニマルなデザインが魅力。最高級のシルクを贅沢に使用したデニムは、柔らかなはき心地と上質な光沢感がハイエンドなはき姿を演出。カジュアルなデニムを艶っぽく上品に着こなせる、対照的なアプローチは流石だ。

3.フミヤ ヒラノ ザ トラウザーズ|英国のテーラー技術と国産ウールと繊細な縫製の融合
英国的なフレアシルエットの一本は、デザイナー平野史也氏が日本で培ってきた繊細な縫製による仕立てが洗練さを演出。世界三大織物産地の尾州ウールを採用し、柔らかなタッチとコシのある質感を両立した生地感が特徴。腰回りにゆとりを持たせた微フレアの現代的な佇まいは、唯一無二だ。

4.ニート|日本が誇る高い技術が生んだ人生をともにできる1本
トラウザーズ専門ブランドとして2015年にローンチ。ブランドのなかで最も細いシルエットの1本は、日本が誇る紡績・織布技術によって作られた太番手の強撚糸を採用。独特のシャリ感とドレープ感を持つため汎用性が高く上品な着姿を楽しめる。さらに長く愛用できる耐久性の高さも魅力だ。

5.サルト|丁寧な刺繍の側章が違いのわかる男の個性を引きだす
2023年に誕生した新興ブランド。細部にまでこだわるもの作りが魅力で、本作はそれを象徴する1本。現代では日本に数機しか残存していないという旧式のシャトル織機を使用し、独特の凹凸感とハリははくほどに味わいが増してくる。細番手の糸を7重に重ね縫いした側章が、大人のエレガンスを誇示。

6.スローン|高品質の国内生産シルクをハイエンドな1着へ昇華
高品質のシルクを安定して供給できることから、世界でも有数の生産地として評価されている日本。そんなシルク100%で編み立てた16ゲージのニットは、滑らかな肌触りとしなやかな光沢感が実に上品。肌に触れることでその上質さを実感できる。

7.ヘリル|伝統的な技術を駆使した独特な素材開発
”Heritage”と”Will”を組み合わせたブランド名を冠するヘリルは、国内の歴史ある技術や伝統を、「今」のフィルターで素材開発するもの作りがコンセプト。そんな背景から誕生したパーカは、細く柔らかなシルクの糸を、度目を詰めて編み立て艶っぽい仕上がりに。ワンランク上のカジュアルを演出する。

8.キフ|生地・染色・縫製を一貫製作にしたハンドメイド
広島の老舗、山陽染工が生地の開発から製造を行い、職人のハンドメイドによって生みだされるプロダクトが話題の気鋭ブランド。デニムのカバーオールをベースに、経糸と緯糸で異なる色を使った生地に墨顔料をプリント。黒の奥にあるさまざまな色が、着こなしに表情を与える。

9.ユーゲン|シンプルながらも人目を惹く上品さが健在
「物事の趣が奥深くはかりしれない」という”幽玄”を名に冠したブランド。仕立てのよさと上品な佇まいをもってすれば、過度な装飾などなくとも印象に残り、目を引くという好例だ。ワークシャツをベースにオーバーサイズで構築した1着は、太いピッチで描かれる白の縦縞が潔くも強い存在感を示す。

この記事はGOETHE 2026年3月号「総力特集:日本のハイブランド」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

