GOLF

2026.02.04

バックスイングでかかとを上げる「ヒールアップ」は、何がいいのか?

飛距離は欲しい。でも、曲げたくない。そんな相反する悩みに、世界最高峰を目指す選手たちはどう答えを出しているのか。PGAツアーへの登竜門・コーンフェリーツアーでは、結果に直結するスイングだけが生き残る。その舞台で、2024年の卒業組から即PGAツアーで結果を残したマット・マッカーティが取り入れていたのが、バックスイングでかかとを上げる「ヒールアップ」だ。今回は、コーンフェリーツアーの過酷な競争環境をひも解きながら、トップ選手が実戦で選び取ったヒールアップの意味と、アマチュアにも応用できるポイントを解説する。動画解説付き。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン番外編/PGAツアーで結果を残すトッププロは、なぜ「ヒールアップ」を使うのか? 飛距離と安定性を高める方法

PGAツアーへの関門――コーン・フェリーツアーとは

PGAツアーに参戦するためには複数のルートが存在するが、その​なかで最も多くの昇格枠が設けられているルートが、下部ツアーに位置づけられるコーン・フェリーツアーを経由する道だ。

現在、このツアーには世界各国から実力者が集結。PGAツアーへの切符をつかむべく、この舞台を足がかりに、激しい競争が繰り広げられている。

石川遼も再挑戦する、世界最高峰へつながる米下部ツアー

 2026年のコーン・フェリーツアーは、全25試合で構成される長丁場のシーズンだ。、1月に開幕し、10月上旬の最終戦まで、すべて72ホールのストロークプレーで争われる。

1大会あたりの賞金総額は100万ドル(約1億500万円)。プレーオフシリーズでは150万ドル規模となり、年間の賞金総額はおよそ41億円に達する。

この規模は、約30億円とされる2026年の国内男子ツアー(22試合、2025年末時点)を上回る水準であり、下部ツアーとしては世界でも屈指のスケールだ。

コーン・フェリーツアーはこれまでにも数多くのトッププレーヤーを輩出してきた。

スコッティ・シェフラー、ジャスティン・トーマス、ジェイソン・デイなどの一流選手たちは、この舞台で経験を積み、PGAツアーで大きく飛躍している。単なる登竜門ではなく、世界最高峰へとつながる“実戦の場”としての役割を担っている。

このツアーの最大の価値は、成績次第で翌シーズンのPGAツアー出場権を手にできる点にある。各大会で獲得したポイントの年間ランキング上位20人に、翌年のPGAツアーカードが与えられる仕組みだ。2024年までは30人が昇格していたが、2025年からは制度変更により10枠減り、より狭き門となった。

さらに、シーズン中に3勝を挙げた選手は、その時点で即座にPGAツアーへ昇格できる特例も設けられている。2024年にはマット・マッカーティがこの制度を活用し、昇格後わずか3試合目でPGAツアー初優勝を果たした。

日本人選手にとっても、コーン・フェリーツアーは決して縁遠い存在ではない。2024年シーズンは大西魁斗が年間25位でPGAツアー昇格を果たし、翌2025年シーズンには平田憲聖が15位でその切符をつかんだ。

そして2026年シーズンには、金子駆大、石川遼、杉浦悠太、大西魁斗らが出場権を獲得している。かつてPGAツアーでシードを保持していた石川が、“再挑戦の場”としてこのツアーにどのように向き合い、どんなプレーを見せるのか。その一挙手一投足にも注目が集まる。

コーン・フェリーツアー卒業後、PGAツアーに残れるのは何%か?

コーン・フェリーツアーからPGAツアーへ昇格することは、大きな成果である一方、キャリアにおける本当のスタートラインに立ったに過ぎない。

世界最高峰の舞台では、結果を残し続けることが求められ、競争環境は一段と厳しさを増す。ここでは、2024年シーズンのコーン・フェリーツアーを経て、2025年からPGAツアーへ昇格した30人(以下、2024年卒業組)の成績を基に、その現実を見ていく。

2024年卒業組30人のうち、PGAツアー2025年シーズン終了時点でフェデックスカップ・ランキング100位以内に入り、2026年シーズンのフルシード権を獲得したのは10人。割合にすると約33%で、3分の2はフルシードを得られなかった計算になる。

101位から150位までの条件付きシードを含めても、翌シーズンの出場資格を確保できたのは19人で全体の約63%にとどまった。

一方で、昇格後にPGAツアーで優勝を挙げた選手は7人を数える。ブライアン・キャンベルは2勝を挙げてフェデックスカップ46位に入り、マット・マッカーティも昇格直後に優勝し、81位でシーズンを終えた。

アルドリッチ・ポットギーター、ライアン・ジェラード、スティーブン・フィスク、ウィリアム・マウ、カール・ヴィリプスも勝利を挙げ、いずれもトップ100入りを果たしている。彼らは優勝者に与えられる2年間のシード権によって、ランキングとは別の形でPGAツアーでの地位を確立した。

ここからは仮定の話になる。2024年卒業組は30人がPGAツアーへ昇格したが、仮に2025年と同様、昇格枠が20人に制限されていた場合、結果はどうなっていただろうか。

2024年のコーン・フェリーツアー・ポイントランキングを基に試算すると、仮定上の昇格者(1位〜20位)のなかには、PGAツアーで優勝した7人のうち6人が含まれている。また、実際にフルシードを獲得した10人のうち8人は、コーン・フェリーツアー時代にトップ20入りしていた選手だった。

仮に昇格枠が20人であっても、そのうち8人、40%がフルシードを維持していた計算になる。

翌シーズンの出場資格という観点で見ても、傾向は明確だ。2024年卒業組30人のうち、フルシードと条件付きシードを合わせてPGAツアーに残留できた19人のうち、13人はコーン・フェリーツアー時代にポイントランキング20位以内に入っていた選手だった。

仮に昇格枠が20人に限定されていた場合でも、翌シーズンの出場資格を維持できたのは13人となり、トップ20圏内の選手がPGAツアーに残り続ける中核を担っていたことがわかる。

一方、ランキング21位から30位の10人を見ると、フルシードを維持できたのは2人のみ。条件付きシードを含めてもフェデックスカップ150位以内に入ったのは6人にとどまった。数字上は一定数がPGAツアーに残っているように見えるが、その多くは条件付きシードにとどまり、不安定な立場に置かれている。

これらの結果から浮かび上がる分岐点は明確だ。「コーン・フェリーツアーで20位以内に入っていたかどうか」。

2025年から昇格枠が20人に絞られた制度変更は、一見すると厳しく映るが、2024年卒業組の実績を振り返えれば、PGAツアーで主戦力となった選手の多くは、すでにその20位以内に位置していた。昇格枠の縮小は、実態を反映した線引きだったと言える。

結局のところ、制度がどう変わろうとも、選手に求められる答えは一つだ。与えられた環境のなかで実力を高め、より上位で卒業すること。

2026年は、2025年卒業組が何人PGAツアーに定着できるのか、そしてコーン・フェリーツアーから誰が2027年のPGAツアーへの切符を、より確かな形でつかみ取るのか、その行方に注目したい。

​飛距離と方向性を同時に高める「ヒールアップ」という選択

2024年のコーン・フェリーツアー卒業組のなかで、最も成功を収めた一人がマット・マッカーティだ。

彼のスイングの大きな特徴が、バックスイングでかかとを上げる「ヒールアップ」。なお、マッカーティはレフティーだが、以下の解説は一般的な右打ちを基準に説明する。

ヒールアップは、バックスイングで左かかとを上げることで下半身を使いやすくなり、地面反力を引き出しやすくなる。その結果、無理に振らなくても、飛距離を出しやすくなるうえ、切り返しのタイミングを取りやすくなるという効果がある。

一方で、「足を動かすとスイングが不安定になる」と感じる人も少なくない。その場合は、ヒールアップする足だけでなく、両足の動きを意識してみてほしい。

バックスイングでは左かかとを上げながら、体重は右かかとに乗せる。ダウンスイングでは、左かかとを踏み込みみぎつつ、体重をつま先側へ移動させ、足踏みをするような感覚でスイングをする。

足の動きと上半身の回転が連動すると、ヒールアップは歩くような自然な動きとなる。下半身から上半身、さらにクラブへと力がスムーズに伝わり、クラブを振り抜きやすくなる。

この一連の動きが飛距離と方向性を同時に高める理由だ。まずは練習場で試してみてほしい。

動画で解説|ヒールアップの正しい使い方

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=Imagn/ロイター/アフロ

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