GOLF

2026.01.24

「ゴルフ観戦はここまで変わる?」プロも驚いた新世代ツアーTGXシリーズ開幕

2026年1月9日、東京・IMMシアターで開幕したハイブリッドeスポーツ型プロゴルフツアー「TGX SERIES powered by Full Swing」。本戦前のエキシビジョンマッチではココリコの遠藤章造、カジサック、元プロ野球選手の糸井嘉男らゴルフ愛好家が登場し、会場は序盤から大きな熱気に包まれた。チーム戦方式、選手の生の声をリアルに届けるピンマイク、制限時間付きショット、そして大音量の演出──。従来のゴルフトーナメントの常識を覆す新ツアーは、ゴルフ観戦の未来をどこまで進化させるのか。開幕戦の現場から、新世代のゴルフツアーとして注目を集めるTGXシリーズの可能性をレポートする。

「ゴルフ観戦はここまで変わる?」プロも驚いた新世代ツアーTGXシリーズ開幕

自ずと盛り上がる、チーム戦方式

「TGXシリーズ」最大の特徴は、ゴルフでは珍しいチーム戦方式を採用している点にある。全国6地域を代表する6チームが参戦し、1チーム3人で戦う構成だ。

チームは、東京「TOKYO STARS」、大阪「OSAKA NOISE」、中部「Chubu GUARDIANS」、東北&北海道「Tohoku&Hokkaido NORTHERN ICE」、中国&四国「Chugoku & Shikoku BREEZE」、沖縄&九州「Okinawa & Kyushu VIPERS」の6チーム。

今回の開幕戦には、このうち東京「TOKYO STARS」、大阪「OSAKA NOISE」、中部「Chubu GUARDIANS」、東北&北海道「Tohoku&Hokkaido NORTHERN ICE」の4チームが出場。

河本結、臼井麗香、岩田寛、小平智ら、国内ツアーを代表するプロが名を連ね、いつものトーナメントとはまったく違った空気感のなかで真剣勝負が繰り広げられた。

エキシビジョンマッチではココリコの遠藤章造、カジサック、元プロ野球選手の糸井嘉男らが登場。大いに会場を盛り上げた。

さらにTGXシリーズの特徴として、選手全員がピンマイクを装着し、プレー中の声や選手間の会話がリアルタイムで共有される点も挙げられる。普段は決して聞くことのできないやり取りや、選手同士の関係性が垣間見えるのも、この大会ならではの醍醐味だ。

ピンマイク、制限時間、音楽演出──“観るゴルフ”を変えた新体験

加えて、1ショットごとに制限時間が設けられている点も特徴的だ。

メジャーリーグのピッチクロックを彷彿とさせるこのルールが、ゲーム全体に心地よい緊張感とテンポをもたらしていた。通常のトーナメントでもプレーファストは重視されるが、残り時間が可視化される体験は、選手にとっても新鮮だったに違いない。

照明が落とされた会場はまるでクラブ。約700席の観客席はファンで埋まり、大音量の音楽とDJの実況で盛り上がった。

さらに本大会では、ショット時に静寂を求められる通常のトーナメントとは異なり、大音量の音楽とDJが会場を​盛り上げる。ライブ感あふれる空間でトッププロがプレーする光景は実に新鮮で、出場選手たちもこの新しい感覚を楽しんでいるように見えた。

話し合いながら戦術を練るのはチーム戦ならではの醍醐味だ。

TGXシリーズでは、どの局面で流れを引き寄せるか、チームの空気をどう変えるか、そして個人で戦ってきたプロ同士が組むことでどんな化学反応が生まれるかといった、チームスポーツならではの視点が随所に見られた。

選手の組み合わせも、単なる実績や数字だけで決まっているわけではない。プレースタイルやキャラクター、チームとの相性などを踏まえ、それぞれが最も力を発揮できる形が模索されている。個人競技であるゴルフに、チーム競技ならではの楽しみが持ち込まれているのだ。

さらに各チームが地域名を冠している点も、観戦体験を盛り上げる要素のひとつだろう。サッカーや野球のように自然とチームに感情移入が生まれ、応援する楽しさが広がる。個人競技であるがゆえに取り込みづらかった地域性を、TGXシリーズは巧みに取り入れている。

観客とプレーヤーが一体になる感覚は室内ならでは。

ゴルフのチーム戦といえば、米国と欧州が激突するライダーカップやプレジデントカップ、国内では年末の3ツアーズなどがあるが、ファンにとっても、そしてプロにとっても、チームで戦う機会は決して多くない。個人で戦うことが当たり前だからこそ、チーム戦では異なる感情や力が引き出される。TGX​シリーズは、その魅力を日常的に体験できる舞台となり得る存在だ。

一方で、課題も見えた。「静かにしなくていい」環境であるにもかかわらず、日本のギャラリー特有の遠慮が、熱狂をやや抑えている場面もあった。

米国では同様に室内シミュレーターを用いたチーム戦リーグ​「TGL​」がすでに注目を集めており、観客のリアクションも非常に熱量が高い。その差は文化的な背景による部分も大きいだろうが、会場がさらに熱狂に包まれるようになれば、プレーヤーの新たな一面を引き出すこともできるはずだ。TGX​シリーズが成熟していく過程で、その変化にも期待したい。

小平智プロの逆転ショット。通常のトーナメントと変わらず真剣に目の前の1打に挑む。

「所詮はゲーム」を覆す。プロも唸った高性能シミュレーターの実力

ゴルフは、屋外で自然と向き合うスポーツだ。そのため、インドアのシミュレーションゴルフに対して「所詮はゲーム」という印象を抱くゴルファーも少なくないだろう。インドア施設が増えたとはいえ、ゴルフ文化の一部として広く認められるには、いまだ時間がかかっているのが実情だ。

しかし、TGXシリーズで使用されているシミュレーターは、そうした固定観念を大きく揺さぶるものだった。タイガー・ウッズやジョン・ラームといった世界のトッププレーヤーも活用する高性能モデルで、映像の鮮明さや弾道のリアルさには思わず目を奪われる。

ショートゲームやパッティングの距離感はプロ達にとっても難しかった様子。

グリーン周りのショートゲームやパッティングの距離感については、プロたちも戸惑う場面が見られたものの、ワンショットごとの臨場感は想像以上。一打一打の結果が即座に可視化されることで、プレーそのものに独特の緊張感が生まれていた。

自然条件に左右されるのがゴルフ本来の醍醐味である一方、室内環境では純粋にプレーヤーの技術や判断力が浮き彫りになる。そうした意味で、インドアゴルフならではの魅力が、TGXシリーズでは明確に提示されている。

開幕戦を制したのは東北&北海道「Tohoku&Hokkaido NORTHERN ICE」。

間近でプロのスイングを見られる機会は、通常であればトーナメント会場に足を運ばなければ得られない。だが、TGXシリーズは都市部の屋内空間でそれを可能にした。プロゴルフをより身近に体感できる存在として、今後さらに注目を集めていきそうだ。

ゴルフの可能性を広げる新時代のゴルフツアー「TGXシリーズ」。その進化に期待が高まる。

TEXT=出島正登

PHOTOGRAPH=©TGX SERIES

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