2026年に登場するモデルの中で、一番ワクワクするのはこのクルマかもしれない。

真のアメ車とはピックアップトラック
2025年の暮れにトヨタ自動車は、これまで日本で販売していなかった3モデルを2026年より導入すると発表した。
3モデルとは、4ドアセダンのカムリ、3列シートSUVのハイランダー、そしてピックアップトラックのタンドラだ。ちなみにカムリは2023年に日本での販売を終了、日本ではクルーガーというモデル名で売られていたハイランダーも2007年を最後に日本でのカタログから名前が消えている。

3車種を新たに日本へ導入する理由として、トヨタは幅広いニーズに応えることと、より良い日米貿易関係に貢献することを挙げている。つまりトランプ政権が問題視する日米貿易赤字への対応策であり、日米交渉を受けて国交省が検討している新制度を活用しながら、アメリカで生産した車両を日本へ逆輸入することになる。

ここで注目されるのは、トヨタの販売店が初めて取り扱うようになるタンドラだろう。日本ではあまり馴染みのないピックアップトラックであるけれど、アメリカ市場では長年にわたって最も売れているジャンルだ。2024年のアメリカでの販売台数を見ると、1位がフォードFシリーズ、2位がシボレー・シルバラードとツートップをピックアップトラックが独占、3位にようやく乗用車のトヨタRAV4が入ってくる。

日本でアメ車というとV8エンジンを積んだスポーツクーペや大型SUVを思い浮かべるけれど、真にアメリカンなクルマはデカくてパワフルなエンジンを積んだピックアップトラックなのだ。トヨタも、ミドルサイズのタコマとフルサイズのタンドラというピックアップトラックをアメリカで販売しており、それぞれが人気モデルとなっている。
2026年に販売されるというだけで、どのような仕様が入ってくるのかはまだ決まっていないけれど、タンドラというモデルの概要を紹介したい。

エスカレードより1mも長い
2000年に登場した初代から数えて3代目にあたる現行タンドラの基本骨格は、トヨタ社内で「GA-F(Global Architecture-F)」と呼ばれるプラットフォームを用いる。フレーム構造を採る大型モデルに使われているもので、ランドクルーザー300/250などと共通だ。

強靭なボディになるけれど乗り心地には不利に作用するフレーム構造を採用する理由は、悪路での耐久性アップとともに、トレーラーハウスやボートを引っ張る牽引能力の確保がある。カタログ値であるけれど、タンドラの牽引キャパシティは最大で1万2000ポンド(約5400kg)となっている。
トレーラーを真っ直ぐ装着するためのリアビューカメラをカタログで大きくアピールしているように、日本で暮らしていると理解しにくいけれど、「牽引」は大事な性能なのだ。
パワートレインは2種類。ひとつは排気量3.4ℓのV型6気筒ツインターボガソリンエンジンで、もうひとつはこのエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド。最高出力は前者が約383ps、後者が約430ps。いずれも10段ATと組み合わされる。
仕様によって多少の違いはあるけれど、EPA(米国環境保護庁)の市街地モード燃費を見ると、エンジン仕様が18mpg、ハイブリッド仕様が20mpgとあるから、日本的な表示方法に換算するとそれぞれ7.65km/ℓ、8.5km/ℓといったあたりになる。思ったほど悪くない、というのが率直な感想だ。
気になるサイズは、ショート仕様の全長が約5933mm、ロング仕様だと約6413mmだから、やはり巨大だ。ちなみに、都心部を走っていると小山のように見えるキャデラック・エスカレードが5400mm。かつて、古舘伊知郎は身長223cmのプロレスラー、故アンドレ・ザ・ジャイアントを人間山脈と称したけれど、トヨタ・タンドラは自動車山脈だ。

2025年12月時点のアメリカでの価格は、ベーシックなガソリンエンジン仕様が4万1260ドル、ハイエンドに位置するハイブリッドのTRD仕様が7万2565ドルで、1ドル=156円で換算すると大体643万円から1130万円といった価格帯。はたして、どの仕様がどれくらいの価格で入って来るのか。
日本導入の経緯については、いろいろな意見があって当然だろう。けれど、これまで並行輸入に頼るほかなかったタンドラを、トヨタのディーラーで買えるようになることを喜ぶ方も少なからずいるはず。
2026年、テキサス州サンアントニオ市のテキサス工場で生産されたトヨタ・タンドラが、海を渡って日本に上陸する。
サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。



