本連載では不定期で家族と共用するセカンドカーをテーマにしてきたけれど、ジープの新型SUVアヴェンジャーは、その有力な候補になるはずだ。

米国ブランドだけどサイズとルックスはヨーロピアン
ハイブリッド仕様のジープ・アべンジャーに試乗すると、これは家族とシェアするセカンドカーにぴったりだと感じた。老若男女、だれが乗っても似合いそうではあるけれど、特にZ世代の子息、子女には喜ばれるだろう。以下、ジープ・アべンジャー 4xeハイブリッドがZ世代とシェアするセカンドカーにふさわしいと感じた理由を紹介したい。
このクルマの概要を説明すると、日本でも扱いやすいコンパクトサイズのSUVとして、まずBEV(バッテリー式電気自動車)仕様がデビューした。そして2026年春、4輪駆動のハイブリッド仕様がラインナップに加わった。それがジープ・アべンジャー 4xeハイブリッドだ。

このクルマで好ましいのは、まずデザイン。全長4120mm、全高1600mmと、トヨタのヤリスクロスとほぼ同等のサイズ感でありながら、周囲に埋もれない存在感がある。かといってマッチョな力強さだけを強調するのでなく、都市部の景観になじむスタイリッシュさも兼ね備える。
実はこのクルマのデザインを担当したのは、イタリア・トリノに位置するジープの欧州デザインセンター。アメリカンSUVのDNAとヨーロッパの自動車文化が融合することで、ボーダレスかつジェンダーレス、エイジレスなスタイリングになっている。
水平基調のインテリアは装飾よりも機能性重視で、運転席に座った瞬間にすべての操作方法が直感で理解できるインターフェイスになっている。所定の位置にスマホを置けばすぐにワイヤレス充電が始まり、カーナビとスマホの連携もあっという間で、カーナビの液晶パネルが瞬時に使い慣れたスマホの画面と同期する。

IT的に機能重視というだけでなく、このクルマのインテリアはメンテナンスでも機能的だ。たとえばダッシュボードのトレイは取り外して水洗い可能だし、メーカーによればシートもウォッシャブルと形容できるほど高い耐水性を誇るという。スノボやサーフィンで車内が汚れても心配ご無用、さっと洗えばすぐに元に戻るのだ。

欧州カー・オブ・ザ・イヤーの実力は本物
スタートしてまず好感を抱いたのは、凝った仕組みのハイブリッドシステムがもたらす心地よい動力性能だった。
このクルマは、排気量1.2ℓの直列3気筒エンジンとマイルドハイブリッドの組み合わせで前輪を駆動、後輪はリアに配置したモーターで駆動するレイアウトになっている。バッテリーの状態にもよるけれど、発進はEV走行でまかなう機会が多いので、静かで滑らか、そして力強く加速する。
速度が上がると気づかないうちにエンジンが始動、モーターとの連携プレーで小気味良く加速する。高速道路ではエンジンが主役になるけれど、メーターパネルに表示されるエネルギーマネージメントのグラフィックを見ると、市街地走行ではかなりの部分をEV走行でまかなっていることがわかる。静粛性が高いと感じる大きな要因だ。

正しい燃費を計測できるほどの距離は試乗できなかったけれど、カタログ値だと19.0km/ℓとなかなか良好だ。
興味深いのは、お洒落コンパクトSUVでありながらジープというブランドらしく、本格的な悪路走破性能を与えられていること。急勾配でもボディ底部を擦らない設計になっているほか、渡河性能は400mmを確保している。また、後輪のモーターには減速機が備わることで大きなトルクを発生、泥濘地や雪道といった滑りやすい路面で強みを発揮する。走行モードに「SNOW」や「SAND/MUD」が用意されていることも安心感につながる。

冒頭にZ世代と共用するのに好適と記したけれど、ジープ・アべンジャー 4xeハイブリッドは若い世代に媚びたり擦り寄って開発しているわけではない。ビジュアルや装備を盛るのではなく、機能を重んじている。
いくつかのシンクタンクによる分析では、Z世代は威張られることが嫌いでフラットな関係を好み、ジェンダーレスでボーダレス、飾り立てるファッションよりも自分らしい装いを好み、モノ消費よりも気の合う人と旅行やフェスに出かけるコト消費を重視するとのこと。加えて環境意識が高く、本物志向だという。
まさに、このクルマの世界観と通じるものがある。さらには消費で失敗するのが大嫌いで入念に下調べをする傾向があるというけれど、このクルマは厳密な審査で知られる欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

この原稿を書きながら思うのは、おじさんがこうした新しい価値観にふれることができるのも、このクルマをセカンドカーに持つことの意義だ。6リンクのマルチリンクという凝ったリアサスペンションを採用していることが、コンパクトSUVなのにしっとりとした乗り心地につながっていて、おじさんにもやさしいクルマなのだ。娘や息子のために、なんて言いつつ、実はおじさんが自分のために買うクルマなのかもしれない。

全長×全幅×全高:4120×1775×1600mm
ホイールベース:2560mm
パワートレイン:1.2ℓ直列3気筒ターボ+マイルドハイブリッドシステム
トランスミッション:6段AT
駆動方式: 4輪駆動
システム最高出力:145ps
価格: ¥4,990,000~
問い合わせ
ジープフリーコール TEL:0120-712-812
サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

