CAR

2025.01.21

世界中のクルマ好きが注目、空冷ポルシェを再構築する「Singer」とは。日本でのサービス展開にファンが熱狂!

世界中のクルマ好きの間で話題となっているブランドが、空冷ポルシェのレストアを手がけるシンガー・ヴィークル・デザイン。2025年1月に行われた「東京オートサロン2025」のブースにも、多くのファンが集まっていた。

Porsche 911 Reimagined by Singer – DLS Service」

ベースとなるのは964型のポルシェ911

2025年1月10日(金)から12日(日)にかけて千葉県の幕張メッセで開催されたカスタムカーの祭典「東京オートサロン2025」は、前回を2万8333人も上回る25万8406人の入場者で賑わった。

会場でひときわ熱い視線を集めていたのが、コーンズ・モータースが出展したシンガー・ヴィークル・デザイン(以下、シンガー)のブース。ここ数年、ポルシェのファンやスポーツカー愛好家の間で話題になっているブランドだ。2024年5月に、コーンズ・モータースがシンガーとのパートナーシップ締結を発表したことで、この伝説のブランドが日本でも身近な存在になったのだ。

Porsche 911 Reimagined by Singer – DLS Service」
「東京オートサロン2025」で展示された「Porsche 911 Reimagined by Singer – DLS Service」。エンジンには、F1で知られるウィリアムズに勤務していたエンジニアのノウハウが注がれている。

ここでは、シンガーとはいかなるブランドなのかを紹介したい。

2009年にアメリカ・カリフォルニア州で創業したシンガーは、ポルシェ911のレストアを手がけている。シンガーがレストアしたポルシェ911は、「Porsche 911 Reimagined by Singer」と呼ばれる。つまり、シンガーによって再構築されたポルシェ911なのだ。シンガーとはあくまでレストアを行う企業であり、公式に「自動車の製造、販売は行っておりません」とアナウンスしている。

レストアのベース車両となるのは、1989年から94年まで生産された「タイプ964」というコードネームで呼ばれる第3世代のポルシェ911。なぜ964型がベースになるのかというと、第一に個体数が多いという理由が挙げられる。また、964型からオートマチックトランスミッション(ティプトロニック)仕様が設定されたので、それ以前のモデルよりセンタートンネルが広くなっている。このスペースを活用すると、搭載するトランスミッションの自由度が高まるのだ。そしてもうひとつ、第4世代の993型からリアのサスペンションが複雑なマルチリンクになるので、シンプルな964型のほうがチューンしやすいという理由もある。

シンガーがレストアしたポルシェ911には、ナローと呼ばれる初代をモチーフにしたものも、2代目の930型にオマージュを捧げる仕様もあるけれど、こうした理由からベースはすべて964型になっている。

元の状態に戻すのではなく、進化させるレストア

ここまでレストアという言葉を使ったけれど、シンガーのレストアは一般的なヒストリックカーのレストはとは一線を画す。

まずボディからすべてのパーツが外され、いわゆるホワイトボディの状態に戻される。普通のレストアと異なるのは、ボディの補修や塗装をするだけでなく、軽量化やボディ剛性の向上を図るべく、カーボンのパーツを組み込むところだ。展示された写真のモデルの正式名称は「Porsche 911 Reimagined by Singer – DLS Service」というもので、「DLS」とは「Dynamics & Lightweighting Study」の略。つまり元に戻すレストアではなく、さらに進化させるレストアなのだ。

Porsche 911 Reimagined by Singer – DLS Service」
シートはオリジナルで、トランスミッションはMTのみ。オーディオ等を最新のインフォテインメントシステムに変更することも可能。

「Porsche 911 Reimagined by Singer」は、サーキット走行専用の武闘派から、ツーリング仕様の温厚なタイプまで、幅広く顧客の希望に応じる。たとえば、「Porsche 911 Reimagined by Singer DLS Turbo」というツインターボの超高性能仕様では、エンジンの最高出力は700hpに達するという。

どんな仕様にレストアするにしても、重要なのは顧客とシンガーとの意思の疎通だ。ここで、高級車に関する豊富なノウハウを持つコーンズ・モータースがパートナーシップを結び、購入、サポート、メインテナンスをサポートするのには大きな意味がある。

コーンズ・モータースがロールス・ロイスとベントレーの正規輸入代理店になったのが1964年だから、高級車とそのオーナーとともに歩んできた60年以上の歴史があるのだ。「コーンズを通すのなら安心」という方も多いだろう。いずれにせよ、圧倒的な人気を誇る空冷ポルシェのレストアを手がけるシンガーが日本でサービスを展開するのは、クルマ好きにとって慶事と言っていいだろう。

Porsche 911 Reimagined by Singer – DLS Service」
企業スローガンの「Everything is Important.」に基づき、細部まで高品質なパーソナライズを徹底するのがシンガーの流儀だ。

問い合わせ
コーンズ・モータース https://singervehicledesign.com/ja/

TEXT=サトータケシ

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