CAR

2024.12.24

もしも娘がクルマが欲しいと言ったら…フォルクスワーゲン「Tクロス」をセカンドカーに【家族シェアメリット考察】

クルマ生活を豊かにしてくれるセカンドカーを考える不定期企画。今回は、もしも運転免許を取得した娘がクルマに乗りたいと言い出したら……。

フォルクスワーゲンTクロス TSI Rライン

充実した安全装備と、日本にぴったりのサイズ感

娘が運転免許を取得してクルマを運転したいと言い出したら、懐に余裕のあるクルマ好きのオトーサンだったら、なにか買ってやりたいと思うのが人情だろう。娘にしてみれば、「オトーサンが乗っている××××はマニアックすぎて、運転できない」と思うだろうし、オトーサンにしても、大事な××××を初心者に運転させるのは心もとない。

「余裕」といっても千差万別で、娘が欲しいと言ったものをなんでも躊躇なく買えるぐらいの余裕がある方は、そうなさってください。でも、普通に考えれば、一家のセカンドカーとして購入して、娘を中心に家族でシェアするというのが現実的な落とし所だろう。

世の中のオトーサン、オカーサンの立場になると、娘の初めてのクルマに求めるものは、第一に安全性だろう。ボディががっちりしていて、視界がよくて、自動ブレーキなどの運転支援装置が最新で、高速道路でも安定して走る。もちろん、娘が喜びそうなデザインと装備で、あわよくば娘が使わない時には借り出して自分も楽しみたい――。

こうした条件をインプットして導き出した現時点での最適解は、2024年秋に改良型のデリバリーが始まったばかりのフォルクスワーゲン・Tクロスだ。

このクルマを推す理由のひとつは、自動ブレーキや車線内の走行をアシストする運転支援装置が標準装備されることだ。安全装備はグレードを問わずに装備する、という姿勢が信頼できる。

実際にステアリングホイールを握ると、日本の道路事情にジャストフィットするサイズ感がうれしい。4135mmの全長は、トヨタのヤリス・クロスよりもわずかであるけれどコンパクトで、都心のパーキングスペースやコインパーキングでも停めやすい。

フォルクスワーゲンTクロス TSI Rライン
全長×全幅が4135mm×1785mmとコンパクトだから、路上の白線枠のパーキングスペースや繁華街のコインパーキングも苦にならない。

コンパクトなほうがいいということであれば、Tクロスの兄弟モデルであるハッチバックのフォルクスワーゲン・ポロという選択肢もある。けれども、少し背の高いTクロスのほうが見晴らしはいいし、後席と荷室空間に余裕がある。もうひとつ、SUVスタイルのデザインはシャープで、クルマ生活が始まることを祝福するような華やかさもある。

あれもこれもと欲張ると、意外といいお値段に

初めてTクロスを運転する方は、クルマ好きであればあるほど、エンジンのスペックを聞いて驚くはずだ。排気量1ℓの直列3気筒ターボで、日本の軽自動車用エンジンをちょこっと拡大した程度。それなのに、デュアルクラッチ式の7段DSGというトランスミッションとの組み合わせで、思いのままに、するすると加速する。

速度を上げた時の安定感、どっしり感、ボディのガッチリ感は、いかにもドイツ車らしいもの。いまさら「ドイツのクラフツマンシップが」と書いても響かないかもしれないし、フォルクスワーゲンの経営上の課題も報道されている。

けれどもことクルマ作りにおいて、TクロスのようなコンパクトSUVから最上級モデルまで、一気通貫したフィーリングを伝えるあたりは、自動車メーカーとして尊敬に値する。Tクロスは、フォルクスワーゲンの実用ベーシックカーであるのと同時に、ドイツ車全体の入門モデルという大役を見事にこなしている。

フォルクスワーゲンTクロス TSI Rライン
Tクロスは3グレード展開で、TSIアクティブが329万9000円〜、TSIスタイルが359万9000円〜、TSI Rラインが389万5000円〜。

問題は、クルマ好きのオトーサンが調子に乗って自分の好みの仕様に仕立てると、意外と値の張る買い物になってしまうということ。

たとえば、「スポーツ」や「エコ」、「ノーマル」といった走行モードを切り替える機能が備わるのは、最上級のTSI Rラインというグレードのみで、これは389万5000円から。ここに、6万6000円也のオプションのbeatsのサウンドシステムを追加すると、あっという間に乗り出し400万円コースだ。

ただし、前述したように基本的な安全装備はベーシックグレードでも標準装備。だから娘さんが「フツーのでいい」と遠慮するのに、オトーサンが張り切って高級グレードにあれこれ付けてしまう、という図も容易に想像できる。

さらにフォルクスワーゲンTクロスの試乗を続けてしみじみと思うのは、これくらいがちょうどいいかも、ということだ。前述したように高速クルーズの安定感は抜群だし、ワインディング・ロードでも小気味よく走る。後席を倒せばゴルフバッグを2個積んでパートナーとゴルフに行くこともできるし、奮発したbeatsのサウンドシステムは車内をリスニングルームに変えてくれる。

娘が家を出たらダウンサイジングでこっちがファーストカーになっちゃうかも……、という可能性すら感じさせる、魅力的なモデル、小さな巨人なのだ。

フォルクスワーゲンTクロス TSI Rライン
フォルクスワーゲンTクロス TSI Rライン
 
全長×全幅×全高:4135×1785×1580mm
ホイールベース:2550mm
パワートレイン:1.0ℓ直列3気筒ターボ
最高出力:116ps
最大トルク:200Nm
トランスミッション:7段AT
駆動方式:前輪駆動
価格:389万5000円〜(税込)

問い合わせ
フォルクスワーゲンカスタマーセンター TEL:0120-993-199

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

TEXT=サトータケシ

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