急峻(きゅうしゅん)な山に囲まれたミネラル分を含む土壌や、日照時間が長い気候で葡萄栽培に最適な長野は、100年以上続く日本有数のワイン産地。風土の恵みをワインとして伝える、個性溢れるワイナリーを訪れた。【特集 偏愛リゾート軽井沢&熱海】

Greve.t 取締役 栽培醸造家。1988年大阪府生まれ。飲食店勤務時にソムリエ資格を取得。2023年、Hetre Group Holdings代表吉岡秀之氏とともに「Greve.t Komorokko Farm & Winery」を開設し、ワインの造り手に。
風土を嗜む贅沢。長野のクラフトワイン
森に囲まれた別荘のテラスで、木漏れ日のなかグラスを傾ける。そんな風景が街になじむ軽井沢からクルマで約30分。街中より少し強くなった風も心地よく、時に富士山も望む丘の上にあるのが、「ZEKKEI(絶景)」と名づけられた畑だ。
この畑を一から開墾し、栽培から醸造まで担うのがKomorokko Farm & Winery(コモロッコ ファーム&ワイナリー)の栽培醸造家、小船睦巳氏。
「このエリアは降雨量が少なく、晴天率が高いので日射量が豊富。でもこの風があるおかげで、夏も暑くなりすぎないんです。逆に夜は冷えるので、大きな寒暖差が生まれる。すべて葡萄の生育にはとてもいい環境なんです。それに何しろこの眺めが気持ちいい。働く自分たちにとってもいい場所です」
このワイナリーの誕生は、オーナーが信州の葡萄畑の美しさに魅了されたことがきっかけ。当初はオーナーとたったふたりで畑を開墾。ここも草木が生い茂る耕作放棄地だったという。
「まずは木を切るところから始めました(笑)。でも栄養たっぷりの肥沃な土壌より、少し負荷がかかるぐらいの土壌のほうが葡萄の生育には適しています」
2019年に1ヘクタールの耕作放棄地を開墾し始め、現在畑は10ヵ所に。15品種もの葡萄を2万本育てるまでになった。
その年の葡萄の個性と造り手の思いを形に
初リリースは2022年。2023年にはショップ併設のワイナリー施設もオープンした。
ワインは葡萄や畑の特徴をシンプルに表現した「en.」、樽を効かせるなどよりしっかりした味わいを追求した「Sur la colline」、そして、少量生産ならではの小船氏の挑戦が詰まった「P」などが揃う。
ワイン造りでは、品種の特性よりもその葡萄の状態で造り方を判断しているという。
「その年の葡萄の違い、そして造る人たちがどう考えたかをちゃんと反映してワインにする。それが“ヴィンテージ”ではないかと思っています」
今後は地元で消費する低価格帯の地域還元向けのワインも出したいと語る小船氏。
「ワイナリーはあっても、実は地元にはワインが浸透していません。いつもは焼酎だけど、週に1回はワインをと思える文化もつくりたいと思っています」
この地に惚れ、生まれる葡萄で風土を表現する、そんなワイナリーの味を楽しみたい。
Komorokko Farm & Winery/コモロッコ ファーム&ワイナリー
住所:長野県小諸市大字諸字東房151-1
TEL:0267-41-0042(ワイナリー)、0267-31-5622(レストラン)
営業時間:ボトルショップ11:00-16:00、バー18:00-L.0.22:30
定休日:月・火曜
この記事はGOETHE 2026年7月号「総力特集:偏愛リゾート最前線!」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら









