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2023.06.10

「時間と自信を奪う人とは距離を置け」NSC人気NO.1講師が綴る"才能を潰されない秘訣"

放送作家を中心に活躍する傍ら、NSC(吉本総合芸能学院)の講師として10年連続で人気投票数1位を獲得している桝本壮志さんの連載コラム「僕が売れっ子芸人へ伝えた言葉」。今回は「時間と自信を奪う人とは距離を置いてええよ」という授業でよく伝える言葉がテーマ。この言葉の裏には、売れっ子芸人たちの成功の秘訣も隠されていた。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)の講師としては、授業の評価アンケートで10年連続人気投票数1位を獲得。

NSCで教えた生徒は1万人。売れた芸人の共通点とは?

先日、群衆にタコ殴りにされる夢を見た。

さぞ複雑な生い立ちがあると思われそうだが、ごく平凡な家庭環境。座持ちのいい話もない。ガバリと起きてセルフ夢診断したら、ぼんやり解が見えてきた。

今年で教え子が1万人をこえるのだ。街中に教え子1万人。これは怖い。

夜の街で風俗の呼び込みに「お久しぶりです!」と頭を下げられたこともある。女性と手をつなごうとしたら工事現場の警備員に「待て待て!」とツッコまれたこともある。これが夢の源泉だろう。

そんな1万人の中には、EXIT兼近、ぼる塾、ゆにばーす、オズワルド、空気階段、コットン……。売れっ子が山ほどいる。そして各所で「彼らが売れた理由はなんですか?」と山ほど聞かれる。その答えはシンプル。

「時間」と「自信」のマネジメントに成功したからだ。

この社会は「時間」と「自信」の盗賊だらけ

時間があってこそネタが書けるし、自己投資や学びにも使える。自信があってこそ人前に出れるし、新たな分野や活路も見出せる。逆に言うと、この大切な2つを失うと、人間は簡単に堕ちる。堕とせる。なので「先輩」や「上司」ポジションの人は、この2つを絶対に奪ってはいけません。

「これ、朝までに頼む」「休日だけどやれるだろ?」
いくらでも時間は搾取できる。
「お前、向いてないよ」「才能ないわ。辞めたら?」
自信も奪い放題。

この手軽さのせいで、社会は盗賊を量産してしまう。

そして、かつて僕もその一味だったのである。

武道の師匠と弟子のような主従関係は会社・学校ではほぼ生まれない

駆け出し作家のころは「奪われる側」にいた。

テレビ制作では若手作家がナレーションを書くことが多かったが、ナゼか当時の上司・おじさんディレクターはパソコンを使うことを許さず、すべて手書き。しかも「誤字がある」「修正液も使うな」と連日の再提出フェス。お決まりの「向いてない」「才能ない」も鬼リピートもされた。

だが真の問題は5年後。日本特有の年功序列でリーダーポジションになった僕が、いつの間にか後輩に同じことをやってしまっていたことだ。下積みに耐えた多くのビジネスパーソンは、地獄の日々を「必要だったもの」に置き換えてしまう。これが危ない。

たしかに「育てたい」や「後輩のため」と言えば聞こえはいい。だが、「育てたい」は、相手の「あなたに育ててほしい」という気持ちがあって初めてマッチングすることを忘れてはいけない。

武道の師匠と弟子、寿司屋の大将と見習い、そんな主従関係は会社や学校ではほぼ生まれない。それに気づいてから、僕は生徒から時間と自信を奪わないように努めてきた。なんなら書初めにして部屋に貼ったほどだ。

上司への怒りは常に「片思い」。ムダな時間を使わず距離を置くべし

今、奪われる側にいる人は、自分が『育ててほしい』という思ってるボスなら大いに付いていけばいい。大勢いる『目上の1人』なら心の距離を置いていい。なにも逃げろとは言っていません。心の中でバイバイして、その人の存在を大ごとにしないことなんです。

睡眠時間を削られ、自己肯定感を下げられると怒りも沸いてきます。でも残念ながら、怒りは常に片想い。両想いにはなれません。あなたはムカついて残業しているのに、そいつはあなたのことを気にも留めず、パートナーとイチャついてたりします。

そういった「ムダな怒りの時間」を奪われないためにも距離を置きましょう。

僕は芸人の卵をあずかっていますが、卵は内側から自分の力で殻をやぶると命が生まれるけど、外側から圧力をかけられ潰されると死んじゃう。社会もそんなもの。内側から殻をやぶる力に集中し、外圧はなるべく小さくする工夫をしていくことが大切なんです。

最後に、「時間と自信を奪う人とは距離を置いてええよ」と言いいながら、コラムを読ませ約2分の時間を奪ったことをお詫びしつつ、今週はお開きとします。

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連載
桝本壮志コラム

放送作家を中心に活躍する傍ら、NSC(吉本総合芸能学院)の講師として10年連続で人気投票数1位を獲得している桝本壮志さんのコラム。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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