テクノロジーを軸にした“事業創造企業”として広告やゲーム、フードテック、コンテンツなど幅広いビジネスを展開するレアゾン・ホールディングス。「世界一の企業へ」を掲げ、次々と新事業に挑んできた同社が2026年7月新たにローンチするのが、ファイナンスプラットフォーム「FINCHI」だ。ベンチャーや事業承継企業などの「資金需要者」と投資やM&Aを積極的に行っている「資金提供者」をつなぐこのサービスの特徴、そして開発背景にある想いを、同社取締役CFOでFINCHI代表取締役の井上健氏に聞いた。

ファイナンスにさらなる選択肢を
レアゾン・ホールディングスは、2010年に広告事業からスタートし、現在では2桁以上のグループ会社を擁するなど成長著しい企業。インターネット領域を中心に事業を広げ、デリバリー&テイクアウト
アプリ「menu」や、YouTubeチャンネル「佐久間宣行のNOBROCKTV」、スマホゲーム「ドラゴンエ
ッグ」などを生みだしてきた。
そんな同社が新たに挑む分野が、M&Aや出資といった企業間のファイナンスだ。
「レアゾンの一貫した考え方は、『その時々で自社の強みを活かせる、最大のマーケットに挑戦する』こと。『FINCHI』もまた、その延長線上にあります」
こう語るのは、同サービスの運営を担う株式会社FINCHIの代表取締役・井上健氏。レアゾンの現CFOとして同社の急成長を支え、それ以前には2社のベンチャーでIPOやM&Aに携わってきた人物だ。
「国内ではここ10年ほどの間で、企業間のファイナンスが活発化し、M&A件数も過去最多の更新が相次いでいます。
加えて、グロース市場の上場維持基準の厳格化などを背景に、M&Aや事業会社からの出資など、IPO以外の手段も選択肢としながら成長戦略を描く重要性が増しています。こうしたなか、企業間をつなぐサービスが、さらに求められていくことは確実です」
では、その注目分野に参入するうえで、レアゾンならではの強みとは何なのだろうか。
「資金需要者と資金提供者、その両方の当事者としての経験値です。というのも、私たちはベンチャー企業として資金調達に当たるとともに、自己資金投資部門をもち、積極的にM&Aや投資も展開してきました」
その知見から描きだしたのが、“企業間のファイナンスを活性化させることを目指した、オープンな場”としてのプラットフォーム像なのだと言う。
「従来、出資やM&Aのさまざまなタイミングにおいて、信頼できる紹介者などの“人”の存在は不可欠でした。こうした、一種のクローズな場の価値は今後も高まる一方、オープンな場での出会いのニーズも大きくなっていると考えています」
その場づくりに適しているのがネットサービス。同社が数々の事業を創出してきた領域だ。
「裾野に広がる需要をカバーし、大きな市場を形成するというネットの特性は、ファイナンスの世界でも活きるはず。しかし、誰もが真っ先に思い浮かべるようなサービスは、世の中にありません。私たちなら、それをつくれる。そんな確信のもと、『FINCHI』は生まれました」

1985年新潟県生まれ。慶應義塾大
学在学中に公認会計士試験に合格。
あずさ監査法人を経て、ベンチャ
ー企業2社に参画。マザーズ市場
(現・東証グロース市場)へのIPO
や米国企業へのバイアウトを経験
し、2015年にレアゾン・ホールデ
ィングス入社。
信頼できる相手を効率的に探せる空間
サービスの特徴としてまず井上氏が挙げるのが、M&Aと出資の両方に焦点を当てた点だ。
「事業会社同士が出会った時点では、両者ともに『どちらの選択肢もあり得る』という本音もあると思っています。事業会社が出会いを得て、事業や組織の選択肢を探れるのが『FINCHI』。広い選択肢を望めることは、率直なコミュニケーションをもたらし、オープンな場の創出につながるのです」
加えて、資金需要者にとっての「FINCHI」の魅力として強調するポイントがある。
「資金提供者として登録できるのが、一定の審査をクリアした企業のみ、ということです。これによって、資金需要者の『信頼や尊敬ができる企業・経営者にこそ応援してもらいたい』という想いに応えられます」
一方、資金提供者は、どのようにして有望な資金需要者を探しだせばよいのだろうか。
「『FINCHI』はPCとスマホの両方で利用可能なのですが、このうちスマホ版のメイン機能は、動画の投稿と閲覧。資金需要者がアップした動画を、ショート動画を見るような感覚で閲覧できるうえ、当社のアルゴリズムにより、ニーズに合う企業が目に留まりやすくなります」
多忙な経営者が移動の5分の間に企業の動画に目を留め、直接メッセージを送る。井上氏が描くのは、そんな活用シーンだ。
「M&Aや出資は、経営者同士の直感や想いが重なり成立することも多いはず。その両者がダイレクトにつながる“高純度な出会い”を、スマホのワンタップから生みだす場が、私たちの提供する新しいサービスです」
ファイナンスへのイメージをポジティブに刷新する
このような出会いを増やし、「ファイナンスを通じた事業成長を、国内でさらに加速させたい」と井上氏は力を込める。
「企業間のファイナンスが活発化した近年の日本では、多くのCVCが生まれ、出資やM&Aの選択肢が広がり、いわば“カルチャーとしてのファイナンス”の浸透を感じています。私たちは、そのカルチャー、そして国内事業会社の可能性を、いっそう広げる一助になりたいのです」
さらに井上氏は、「あくまで個人的な想いですが」と前置きし、「『EXIT』に代わる言葉を生みだしたい」と展望する。
「ファイナンスが、事業会社にとってのEXITではなく『START』になる。そんな機会をつくりたいのです。ファイナンスは、企業と人の将来を大きく変えるもの。そのひとつひとつが、ポジティブな想いで溢れてほしい。企業が世界へと挑むきっかけが生まれてほしい。私たちは、そう願っています」
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