放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

「30歳の会社員です。私は上司にも部下にもイライラしてしまいます。クセのある人がたくさんいる芸能界で、桝本さんはどのように対処してきましたか? 怒りの消しかたがあれば教えてください」という質問をいただきました。
腹立たしいことって職場でたくさんありますよね。部下を育成しても給料は上がらないし、畑違いの部署からやって来た上司にも仕事を教えないといけない。
丁寧に説明すれば面倒な顔をするし、簡略すると不安がるし、強めに言えばヘソを曲げる。
まるで会社は、プロダクトより怒りを生産したいんじゃないか?と思ってしまうほど、イザコザの火種がありますよね。
30年以上、クセの強い人たちが割拠するエンタメ界で息をしてきた僕も、怒りを覚えたことは山ほどあります。
しかし、休みなく働いている夏場の扇風機のように、何度も怒りのスイッチを押され、ONにされてきたので、いつしか怒りをOFFるテクニックを身につけることができました。
そこで今回は、僕なりの「職場での怒りを消す方法」をシェアしていきたいと思います。
職場では、好きなだけ「怒っていい」
まず、あなたは職場で「怒ってはいけない」と思い込んでいませんか?
僕に言わせると、それは「自分を痛めつけている行為」です。
なぜなら、人間として「怒ること」は当たり前で、幼子も医者も僧侶も、みんな怒りを覚えるものなので、「怒ってはいけない」という足かせは、ストレスを溜め、自分を苦しめるだけなのです。
大切なことは“怒るのは当然だけど、その怒りによって他者を痛めつけてはいけない”ということ。
いくらムッとしたからと言って、大声を上げたり、罵ったり、物に当たったりしてはいけない。
つまり“怒りを覚えたときの「感情」と、その後の「行動」をセパレートして考える”ようにする。こうしたマインドが職場では必要なのですね。
怒りを消すには、感情と行動の「間」を切断する
僕は「感情」と「行動」を分けて思考しているので、職場では好きなだけ怒っています。
嫌なことがあったら、「腹立つ!」「イラっときた!」「バカにすんな!」と、素直に「怒りの感情」を認めます。
しかし、相手に「怒りのスイッチ」をONにされても、作動するかはコチラ次第。
怒りを消すには、ムッとしたときの感情と、それに伴う行動の「間」を切断すればよいので、そのスキルを身につけていくのです。
例えば、僕の切断法の一つは、「やんわりと感情を口にする」です。
部下に言い訳や口ごたえをされてイラっとすると、「その言いかたは苦手だな」「今日はいいけど、次回は腹が立っちゃうかも」などと、トーンに注意しつつ「伝達や予告を」織り交ぜます。
また、怒りのスイッチをONにされたら、「ゲームの主電源をONにされた」と思うようにしています。
例えば、上司に理不尽なことを言われてイラっとしたら、RPGゲームのように「自分を空から見下ろして冷静に観察」してみたり、『なぜ怒っている?』というコマンドを出して自問してみる。
すると、「ゆとりがないタイミングだった」「言われたことが図星すぎた」「言われた内容より言いかたに腹が立った」などの、そもそもの原因と対策が見えてくるのです。
■職場の怒りは「十字キーの下ボタン」の一択
ゲームついでに言うと、僕は職場でイラっとしたときは、矛先を相手に向けたり、左右にいる同僚に向けるのでなく、必ず「後退ボタン」を押すことにしています。ゲームの十字キーでいうと、下のボタンですね。

人は誰しも怒って当然ですが“怒りをどこへ向けるのか?の針路を変えることができるのは自分だけ”です。
相手をコントロールすることはできず、唯一コントロールできるのは自分だけなので、脳内のコントローラーで「後退ボタン」を押す。
怒りによって生まれる「揉めごと」の多くは、相手の言い回しや売り言葉など、「あっちのリズム」に付き合うことで起こるので、後退ボタンで「間合い」や「会話のテンポ」を変えて、やり過ごしていくことが大切なのですね。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。
いかがだったでしょうか。皆さんも、職場では「怒っていい」を前提にして、その感情と行動の「間」を切り離していくスキルを磨いてみてくださいね。
ではまた来週、別のテーマでお逢いしましょう。

