友人宅に急にお呼ばれした場合やちょっとしたプレゼント、自宅でのカジュアルなランチ会などの際に、近所のスーパーやデパートなどで5,000〜1万円で買える“ちょっといいワイン”を知っておくと大変便利なもの。おいしいのは絶対条件で、ちょっと蘊蓄も語れると最高ですよね。そんな「街中で買える、1万円以下の“お宝ワイン”」を、年間1000種類近いワインをテイスティングし、つねにおいしいワインを探し求めているワインブロガー・ヒマワイン氏がご紹介。

シャトー・ド・ペズのセカンドラベル
北は北海道から南は沖縄まで、全国に50店舗を展開するワインショップに「エノテカ」があります。
ワイン初心者のころ、エノテカの試飲会に参加したりワインセットを購入していました。そうしていろいろな産地・品種の味わいを舌に乗せて、ワインの世界の奥深さを知ったこともあり、なんとなく「エノテカ先生」と呼びたいような気分が私にはあります。
そんな私にとってワインの世界に入学するための勉強机だったエノテカのカウンターでは「こりゃうまいわ!」というワインにいくつか出会っています。そのなかのひとつが今回紹介するワイン「セカンド・ペズ」です。
長く欠品していたのですが、2026年7月初旬のタイミングでとあるエノテカの店舗を訪れたところ、「先月入荷したばかり」という2023年ヴィンテージをゲット、晴れてご紹介ということになりました。余談ですがこの連載は紹介するワインをすべて自腹で購入し、1本を飲み干した上でご紹介しております。以上余談を終わります。
さて、「セカンド・ペズ」はその名の通り「シャトー・ド・ペズ」というワインのセカンドラベル。シャトー・ド・ペズは、有名な「シャトー・カロン・セギュール」などがあるボルドーのサン・テステフ村に所在する生産者です。
ボルドーのワインといえば1級から5級までの「格付け」が有名ですが、シャトー・ド・ペズはその格付け外。格付け外だからおいしくないことはまったくありません。さらに、セカンドラベルだからってファーストラベルより劣っているかといえばそんなこともなく、「セカンド・ペズ」はその両方を同時に証明するようなワインだと私は思うのです。
格付けはたとえばJリーグのJ1とJ2のようにその年の成績によって入れ替わる、みたいなものではありません。1855年に制定されて以来、変更されたのはわずかに1855年の9月と1973年6月のわずかに2回。ほぼ200年弱変化がないのです。
その間、格付け外の生産者も設備投資を行って品質向上に務めています。格付けシャトーが総じておいしいのもまた事実ですが、そうでない生産者のなかにもキラリと光るものはあり、シャトー・ド・ペズはそのうちのひとつです。格付け外と言ってもファーストラベルは1万円近くしますしね。
そのセカンドラベルであるセカンド・ペズは多少お求めやすくて定価5,940円。そして、以前エノテカのカウンターでシャトー・ド・ペズとセカンド・ペズを飲み比べたことがあるのですが、なるほどワインの深み、複雑さはファーストが上。なのですが、飲みやすさ、ジューシーさ、香りの良さといった、「それが良ければあとはよくない?」みたいな要素でいえば、セカンドのほうが上に感じたのです。
つまりまとめると、セカンド・ペズはボルドーの格付け外のセカンドラベルだが、5,000円台のボルドーワインとして飲みやすくてとってもうまい、ということになります。
今回購入した2023ヴィンテージも早速開けて飲んでみましたが、ヴィンテージが新しいこともあって、さすがに最初はちょっぴり固い(香りも味わいも閉じている)状態。この状態で一気に飲むのはもったいないので、初日1杯、2日目1杯というふうに少しずつ飲み進めていったところ、3日目につぼみが開き、4日目に開花。
まるで春の盛りの花畑にいるような香りに、両手でミックスベリーをつかみどりしたような果実の味わいが加わり、ボルドーワインを飲む喜び、みたいなものをしっかりと感じることができました。この原稿を書いている今日は5日目。そろそろ残りわずかになってきましたが、今日はどんな表情を見せてくれるのでしょうか。
というわけで個人的にエノテカで買えるワインのなかでもおすすめの1本、それがセカンド・ペズなのでした。2023年ヴィンテージを購入したら、半年くらい寝かせたり、飲む2時間くらい前に抜栓したり、デキャンタしてみたり、少し固さをほぐしてから飲むと、とてもおいしく飲めると思いますので、ぜひお試しください。
ヒマワイン
年間約1000種類のワインを飲み、「ヒマだしワインのむ。」というブログを運営するワインブロガー。高いワインも安いワインも、地球上で造られるすべてのワインが好き。

