2023年、この人を見ない日はないと言っても過言ではない活躍を見せた、俳優・川口春奈。そんな彼女の最新作は笑えて泣ける時代コメディ『身代わり忠臣蔵』だ。キーパーソンを演じる彼女の役どころとは。インタビュー1回目。■連載「NEXT GENERATIONS」とは
「ムロさんや監督の存在が大きかった」
誤解を恐れずに言えば、2023年は川口春奈の年だった。
同年のタレントCM起用社数ランキング(ニホンモニター調べ)にてダントツの1位という記録を引くまでもないだろう。
春先に、2022年話題となったドラマ『silent』で東京ドラマアウォード2023主演女優賞を獲得。夏には、アニメ映画『マイ・エレメント』の日本語吹き替え版で声優初挑戦。年末は「第65回 輝く! 日本レコード大賞」司会という大役で締めくくった。画面には、ドラマ、バラエティ、CMに躍動する彼女の姿が常にあったように感じる。
そんな活躍を見せ続ける川口が新春映画のキーパーソンを好演する。ムロツヨシが一人二役をこなす時代劇『身代わり忠臣蔵』だ。
「京都で撮影する時代劇は『幕末高校生』以来で10年ぶり。衣装などは非日常ではありましたが、コメディということもあって言葉使いも比較的現代的。久しぶりだからと肩肘張ることもなく演じることができました。笑いが絶えない現場だったので、出番が来たら笑わせてもらって帰ってくるゆるい感じで(笑)」
川口演じるヒロインの桔梗(ききょう)は癒やしを与えながらも、身代わりの弟・孝証(たかあき/ムロ)に気づきや勇気を与える存在。時にツッコミ役となり、ストーリーに奥行きをもたらしていく。
「コメディは難しい。狙いすぎてもうまくいかないので、その塩梅(あんばい)を調整しながら。特段、コメディだからと気負うことなくできたのは、ムロさんや監督の存在が大きかったですね」
斬新な感覚で楽しめる時代劇
江戸時代を描きながら、どこか現代にも通じる普遍的な人間像を描く本作において、桔梗という役柄は、当時と現代をつなぐ存在のようにも映る。
「台本で読むだけでは見えてこないものがあります。現場で相手役と対峙した時に初めて生まれてくる感情もあるので、それを素直に表現していきたい」
時代劇にもかかわらず自然体に映る彼女の演技には、こうした思いも反映されているのだろう。
主演ムロツヨシの好演だけでなく、川口春奈をはじめとする、要所を引き締める脇方のスパイスが効いた、笑えて泣ける大型時代コメディ『身代わり忠臣蔵』。改めて見どころを聞いた。
「みんなが知っている名作の忠臣蔵ですが、独特な設定にすることで、どこかガラリとその表情を変える。そんな斬新さが魅力的。スピード感もあるしテンポがいい。時代劇を普段はあまり見ない、といような方たちにとっても純粋に楽しめる内容になっています。
やっぱりムロさんの演技は見どころ。一人二役の大変さもありながら、その演じ分けも素晴らしいです。
現代のフィルターで江戸時代を見ることで、新たな気づきをもらえて勉強にもなりました。いろんな角度から楽しめる作品だと思うので、ぜひ、映画館の大きなスクリーンで見ていただきたいですね」
第2回へ続く。
衣装クレジット:ワンピース¥485,100、ブーツ¥323,400(ともにフェンディ/フェンディ ジャパン TEL:03-6748-6233)
■連載「NEXT GENERATIONS」とは
新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載。毎回、さまざまな業界で活躍する10〜20代の“若手”に、現在の職業にいたった経緯や、今取り組んでいる仕事について、これからの展望などを聞き、それぞれが持つ独自の“仕事論”を紹介する。