連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第28回は、ロレックス「デイトジャストRef.1601」を取り上げる。
レアなディテールが満載
ヴィンテージロレックスのなかでも、「デイトジャスト Ref.1601」は比較的見つかりやすいと言われるが、オリジナルのブラックダイヤルだと事情は変わる。
製造本数だけで言えば「デイトジャスト Ref.1601」は多い。しかし一般的なシルバー系のダイヤルと比べると、ブラックダイヤルは圧倒的に少なく、仮に見つかったとしても交換されたダイヤルである場合がほとんどだ。
ブラックダイヤルのなかでも特に人気なのが、1960年代初頭から1970年代前半まで製造されたミラーダイヤル。
後期のバーハンド(先端が平な形状の針)はまだ見つかりやすい。だが、初期から中期頃のドルフィンハンド(万年筆の剣先のような形状の針)やアルファハンド(針の中央に向かって先がすぼまっている針)のモデルだと、ハードルが一気に上がる。
この1962年製の「デイトジャスト Ref.1601」初期モデルは、アルファハンドをはじめ、この年代ならではの刻みが細かいフルーテッドベゼル、12時位置の通称“シングル表記”など、レアなディテールが目立つ。
それに加えて、“トロピカルダイヤル”(経年劣化によりブラックがブラウンに変色したダイヤル)であることも大きな評価につながっている。特に半円を描いたようなインデックス周り、日付表示カレンダーの窓、ダイヤルの中心部分に強い焼けがある。
このように、アルファハンドの「デイトジャスト Ref.1601」と“トロピカルダイヤル”の組み合わせは大変魅力的だ。
ミラーダイヤルには独特の雰囲気があり、それを写真で表現し切ることは難しい。気になる人はぜひ、実機を見に行ってほしい。
問い合わせ
アフタ http://after.llc/
■連載「ヴィンテージウォッチ再考」とは
インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。