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2022.10.22

【岸博幸】子供の反抗には「バカヤロー!」 今こそ昭和的スパルタ教育が必要な理由

「昭和のオヤジ」を自認し、スパルタ教育を地で行く岸博幸氏。小学6年生の息子と4年生の娘との関わり方、それを通じて子供たちに身につけさせたいものとは!? 連載「イノベーターの子育て論」とは……

自身の子育てについて語る岸博幸氏

怒らない子育てでは、これからの時代は生き抜けない

昭和のオヤジ的子育てを実践中の岸博幸氏。昨今は、親は口や手を出さず、やさしく見守るのがベターという子育て法がもてはやされているが、「それは、アメリカの子育てを拡大解釈しているだけ」と、指摘する。

「アメリカでは、子供の頃から、自分で考え、意見を言えるように育てます。でもそれは、親が黙って、子供の好きなようにさせるということではありません。むしろ、親は子供を厳しく管理していますよ。なのに、日本では拡大解釈され、『親は口を出さない方がいい』となってしまっている。小学生くらいまでは、基礎知識が乏しいし、正しく判断できないケースもあるのだから、親が野放しにしたら、とんでもないことになるのに」

前編で紹介した通り、岸家では、集中力を養う目的で、子供たちが勉強する時間を“強制的に”設けている。たいていの子供は、勉強するより遊ぶのが好きだ。岸氏の子供たちも、自から進んで机に向かうわけではない。そこで、発動されるのが「バカヤロー!」だ。

「勉強机はリビングにあるから、家族の気配があって気が散るんですよ。でも、子供たちが『うるさくて身が入らない』なんて言おうものなら、『バカヤロー! つべこべ言わずにやれ!』です。勉強しない子を机に向かわせるのに、おだてたり、物で釣ったりしても、効果があるのは、せいぜい数回でしょう? 親がガツンと言って、強制的にやらせた方が、効果があると思いますよ。長男は、そろそろ反抗期がきているので、なんだかんだ理屈をこねて抵抗しようとするんですが、そうしたらまた、『バカヤロー!』です(笑)」

岸氏が強権を振るう裏には、今後ますます厳しくなる日本で生き抜く強さを、子供たちに身につけてほしいという想いがある。グローバルな競争に置いていかれ経済は停滞、少子高齢化と人口減少が益々進むであろう日本。子供たちが大人になる頃は、さらに格差が広がり、殺伐とした世の中になっている可能性は否めない。

「親から頭ごなしに怒鳴られるなんて理不尽だと、子供は思っているでしょうね。だけど、社会に出たら理不尽なことだらけです。親から口うるさいことは言われず、すべて許容されていたら、社会の厳しさや冷酷さにぶち当たった時、心が折れてしまうと思いますよ。勉強にしても、最終的にものをいうのは気合と根性。ストレスなく、甘やかされて育つと、それは身につかないんじゃないかな」

自身の子育てについて語る岸博幸氏

数年前、福島県のとある中学校で、ふるさとの復興を目指す活動支援に携わった岸氏。「生徒たちが、地元の特産物を活用した商品を考案し、販売まで行ったのですが、一番売ったのは、コミュニケーション能力が高い子でした。コミュニケーション能力は、いつの時代も、どんな場所でも必要なもの。学校は、学力だけでなく、こうした能力も含めて、多面的に子供を評価すべきだと思います」。

頑固オヤジと甘いママというバランス

岸氏が頑固オヤジに徹するのは、妻が子供たちに寛大で、優しいという理由もある。

「両親どちらも厳しいと、子供たちも息が詰まってしまうけど、妻は本当に甘いから、ちょうどいいバランスなんじゃないかと。おもちゃにしても、妻は子供に熱心にせがまれれば、たいていの場合は買ってあげているみたい。僕ですか? 子供にせがまれたら、『どれか1つだけ買ってあげるから、それを選んだ理由を説明しなさい』と、自分で考え、意見を言う練習にしちゃいますね。息子が幼稚園の頃からやっているんですけど、妻には、『あなたみたいに理屈っぽい子になるからやめて』と言われています(笑)」

こうした岸流子育ては、すでに花開き始めているようで、小学6年生の息子は、夏休みの自由研究のテーマを自分で設定。「自由研究とは論文である。論文とはこういうものだ」という岸氏のレクチャーを受け、問題を考え、仮説を立て、検証するという作業に取り組んだ。かなり迷走したそうだが、「それも必要な経験。先回りして手助けすることはしませんでした」と、岸氏。

「情報収集はネットを利用しましたが、教えたのは、どうやって集めるかまで。情報は玉石混交なので取捨選択が必要ですが、ちょっとハードルが高いので、その方法は中学生になってから学ばせればいいと思っています」

小学4年生の娘はというと、岸氏が携わっているRIZINの関連団体のイベントを手伝いにいった際、責任者に「私にできることはありますか?」と、自ら聞いたとか。

「子供たちに、いろいろな経験を積ませたいと思って連れて行ったのですが、責任者の方からこの話を聞いて嬉しかったですね。ちゃんと自分で課題を見つけられるようになっているなと思って」

少々厳しいようにも思える岸氏の子育てだが、その甲斐あって、息子には集中力がつき、自分で問題を見つけ、解決策を考える力も養われてきた。スマホを解禁し、自分の部屋を与えるなど、息子の成長に合わせ、少しずつ管理の手をゆるめつつ(!?)ある。ということは、頑固オヤジは返上に?

「いや、それはないでしょうね。いつまでたっても僕は、昭和のオヤジを貫きますよ (笑)」

■前編「早期教育に意味なし! 岸博幸が説く、幼少期に身につけるべき唯一の力とは」

過去連載記事

■連載「イノベーターの子育て論」とは……
ニューノーマル時代をむかえ、価値観の大転換が起きている今。時代の流れをよみ、革新的なビジネスを生み出してきたイノベーターたちは、次世代の才能を育てることについてどう考えているのか!? 日本のビジネス界やエンタメ界を牽引する者たちの”子育て論”に迫る。

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Hiroyuki Kishi
1962年東京都生まれ。‘86年に一橋大学経済学部卒業し、通商産業省(現経済産業省)入省。’92年、コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て、竹中平蔵大臣の秘書官に就任。2006年、経産省を退官。現在は、慶応義塾大学教授、エイベックス取締役、総合格闘技団体RIZIN アドバイザーなども務め、メディアでも活躍。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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