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2024.01.26

野村周平「僕は芸能界で、キャスティングの最終兵器」

映画『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、オリジナル脚本で描いた最新作、映画『サイレントラブ』。本作に出演する俳優・野村周平に撮影現場での思い出や、芝居を通じて感じたことなどを聞いた。インタビュー前編。■連載「NEXT GENERATIONS」とは

野村周平

「ピアノを弾くのがすごく楽しい」

声を発することを捨てた沢田蒼(山田涼介)と、目が不自由な音大生、甚内美夏(浜辺美波)の恋。そんな設定を聞いただけでも、困難を乗り越えて結ばれるありがちな物語が浮かぶ。映画『サイレントラブ』が、誰もが思い浮かべる“ありがち”を超えて心を揺さぶってくるのは、ふたりの間に存在し、不協和音を奏でる男、野村周平演じる北村悠真の存在があるからだろう。

「僕の役は、一言でいえばろくでなし(笑)。金持ちの息子で、音楽の才能はあるんだけど、決して一流ではない。彼なりに葛藤はあるんだろうけど、その結果、人間としてはろくでなしになった。

こういう人、けっこういません? 金は持っているのに心は裕福じゃない人。監督からは、『セリフは棒読みでいいよ』って言われていました。だから感情を殺して、表に出さないように演じていました」

劇中には、ピアノを弾くシーンもある。野村はこのために約4ヵ月ピアノを猛練習したのだという。

「先生に教わって、家に帰ってからも練習して、4ヵ月でだいぶ弾けるようになったんですよ。ピアノって弾けるようになったら最高にカッコいいじゃないですか。ピアノ曲は好きでよく聴いていたんです。好きだから頑張れたのかもしれないけど、何曲かは弾けるようになりました。

でも映画のなかで弾くのはクラシック。すべて僕が弾くというのはさすがに無理でダブルキャストになりました。準備期間が1年あればなんとかなったかもしれないけど、4ヵ月じゃ無理ですよ。アル・パチーノでも無理(笑)。

ただこの作品でピアノと出合えたのはよかったですね。弾くのがすごく楽しい。できればこれからも練習し続けたいと思っています」

野村周平/Shuhei Nomura
1993年11月14日兵庫県生まれ。2010年俳優デビュー。2012年、NHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』で注目を浴びる。主な出演作に『ちはやふる』『帝一の國』『ビブリア古書堂の事件手帖』、『ALIVEHOON アライブフーン』(以上映画)、『僕の初恋をキミに捧ぐ』『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(以上ドラマ)など。2024年1月から放送中のテレビドラマ『婚活1000本ノック』にも出演している。

他人にも、世間にも、作品にも媚びない

今作の北村もそうだが、ドSの半グレのボス(ドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』)やモラハラ夫(ドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』)、あるいは芸人のクロちゃん(ドラマ『クロちゃんずラブ〜やっぱり、愛だしん〜』)など、近年“難あり”のキャラクターを演じることが多い野村。そのことを訊ねると、嬉しそうな笑顔を見せた。

「僕は芸能界で、キャスティングの最終兵器なんですよ(笑)。好感度を気にする人は絶対に受けないような尖った役でも引き受ける。どんな役でもちゃんとやりますから、重宝されていると思いますよ。

僕、好感度ないんで、なにも気にしていない。自分がクソ野郎じゃないことは自分でわかっているから。最近だとプライベートでも好感度上がりそうなことをしていると、『あれ、こんな親切なことしていいのかな?』って思うこともありますよ(笑)」

他人にも、世間にも、作品にも媚びない。そんな野村の存在が『サイレントラブ』という映画を大人のエンターテイメントに仕上げている。

「映像も美しいし、音楽もいい。山田さんと浜辺さんの魅力が詰まっていて、すっごく楽しめる恋愛映画になっていると思います。ふたりのファンの期待にもじゅうぶん応えているはず。

メインはあくまでふたり。おいしいごはんと、極上のおかずがあって、僕はパセリみたいなもの。たまにパセリ好きだという人もいるでしょ。そういう人は、まあ、食べてみてください」

16歳のデビューから走り続けてきた。2023年30歳となった野村は、これからどんな俳優を目指しているのだろうか。後編では、自由に生きる野村周平の現在と未来を語ってもらった。

■連載「NEXT GENERATIONS」とは
新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載。毎回、さまざまな業界で活躍する10〜20代の“若手”に、現在の職業にいたった経緯や、今取り組んでいる仕事について、これからの展望などを聞き、それぞれが持つ独自の“仕事論”を紹介する。

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NEXT GENERATIONS

新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載。毎回、さまざまな業界で活躍する10〜20代の“若手”に、現在の職業にいたった経緯や、今取り組んでいる仕事について、これからの展望などを聞き、それぞれが持つ独自の“仕事論”を紹介する。

TEXT=川上康介

PHOTOGRAPH=勝吉祐介

STYLING=清水奈緒美

HAIR&MAKE-UP=矢口憲一(駿河台矢口)

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