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2023.11.06

「そうか、オレ、10年後も楽しくやれるんだ」木梨憲武が所ジョージ、水谷豊、鶴瓶から学んだこと

タレント、歌手、画家としてマルチに活動してきた木梨憲武の勢いが増している。2023年9月には山形県山形市のやまぎん県民ホールでフルオーケストラとともに歌唱を披露した。キャリアを重ね、年齢を重ね、今、木梨はどんなマインドで仕事と向き合っているのか? どんな仕事をして、どんな仕事をしないのか? #前編

木梨憲武

東北が感動し笑い転げた木梨憲武交響楽団山形公演

2023年9月22日、山形で「木梨憲武 交響楽団 in 山形 THE CURTAIN CALL SHOW」が開催された。

2019年に山形駅西口前にできたこのホールのキャパシティは約2000人。フルオーケストラの公演ができる山形県最大規模のコンサートホールで、木梨は思い切り歌った。

厳かな名曲「美しき青きドナウ」に導かれて客席から登場した木梨は、ステージに上がるとアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』のテーマを熱唱。ヨハン・シュトラウス二世からタツノコプロへ。木梨のエンタテインメントは振れ幅が大きい。

続いてソロ曲の「不機嫌なモナリザ」、とんねるずの「迷惑でしょうが…」、鈴木雅之のカヴァー曲「ガラス越しに消えた夏」、カンツォーネの「オー・ソレ・ミオ」……。

木梨はジャンルに縛られない。本物のクラシックの世界へ丸腰で飛び込んでいく。クラシックの音楽家をコントの世界へ引きずり込む。音楽と笑いをクロスオーヴァーしたエンタテインメントは真剣勝負だ。

「木梨憲武交響楽団は、2022年にすでに一度行っています。会場は文化の殿堂、上野の東京文化会館。すごいでしょ?

その公演を観てくれた山形交響楽団の方にお声がけいただいて、今回の公演を行うことになりました。第2弾の山形公演では、ゲストにキャイ~ンのウドちゃん(ウド鈴木)に参加してもらいました。山形出身。地元のスターです」

ウド鈴木はオペラのテイストにアレンジされたとんねるずの曲「ガラガラヘビがやってくる」で登場。コミカルなステップで歌い、会場の空気をがらりと塗り替えた。客席に笑顔の花が咲き、ステージ上の音楽家たちも笑いをこらえられない。

「ウドちゃんとはあえてリハをやり過ぎないようにしました。決まりごともほとんど作りませんでした。いつものまま、素のウドちゃんで登場してほしかったからです」

チケットは完売。客席にはクラシックファン以外のオーディエンスもたくさん集まって上質な音楽に浸り、コメディのコーナーではお腹を抱え、涙を流して笑った。

「バンドでのコンサートはずっとやってきましたが、フルオーケストラは昨年の上野と今回の山形まで未体験でした。ものすごく新鮮で、やっている僕たちも楽しかった。

来年も再来年も、ずっと続けたい。できることならば、指揮者の三ツ橋敬子さんや、音楽監督でピアノも弾いてくれた直江香世子さんとツアーをしてみたい。主催者の方、絶賛募集中です」

提案されたら即食いつくタイプと仕事をしたい

タレント活動、画家活動、音楽活動……。木梨はさまざまな仕事を並行して行っている。

「バラエティも、アートも、音楽も、僕のなかでは全部同じ比重です。感覚も同じです。もちろん内容は違いますよ。でも、向き合い方や僕のマインドは同じです」

木梨は打ち明ける。

「コンサートは僕が歌い、目の前のお客さんたちが反応してくれますよね。一方、アートは僕が描いた画が、展覧会場で僕に代わってそこに訪れたお客さんたちに静のパフォーマンスをしてくれます。

どれも発信源は僕。毎日楽しくて仕方がないです」

今のアクティブな活動には先輩たちの導きもある。

「僕の近くには、所ジョージさん、水谷豊さん、笑福亭鶴瓶さんたちがいましてね。みんな僕よりひと世代上で、口をそろえるようにおっしゃる。ノリタケ、60代は楽しいぞぉー、と」

実際に楽しく仕事をしている姿を目の当たりにもする。

「所さんと一緒にスタジオに入ると、あの人はいつまでも曲作りをしている。休憩も取らない。楽しくて仕方がないからでしょう。所さんのような人といると、そうか、オレ、10年後も楽しくやれるんだ、と思えます」

木梨憲武

そんな木梨は自身を“セッティング屋”と称している。

「所さんがつくった曲をね、僕がいろいろなところに持っていって、勧めています。

松本伊代ちゃんとか、荻野目ちゃん(荻野目洋子)とか、早見優ちゃんと森口博子ちゃんと伊代ちゃんのユニットとか。この曲、どうですかあ?って。

逆もありますよ。DA PUMPの曲を所さんに発注するとか。そういうセッティングというか、コーディネイトが、僕、大好きなの。自称“セッティング屋”」

コーディネイトするとき、木梨が強く意識していることがある。

「まず、仲間が困っていたら協力します。駆け付けます。初対面の人の場合は、技術的にもマインドも、相手がプロであるかが大切」

さらにもうひとつ、木梨が強く意識していることがある。

「それは相手の“食いつき”です」

きっぱりと言う。

「たぶんどんな業種・職種でも同じだと思いますが、提案をしたとき、すぐに食いつく人とそうでない人、いますよね? どちらのタイプなのかを僕は重要視しています。

即食いつく人と、僕は一緒に仕事をしたい。『う~ん、どうでしょう。戻って上の者に確認します』という反応の人とはその後なかなかうまくいかない。何事も時間がかかります。だから、ご無理なさらずで大丈夫ですよー、と言うしかありません。

それぞれの方に大人の事情や立場があることは、僕だってもちろんわかっています。でもね、そんなことは後で交通整理をすればいい。その人の決裁権でどうにもならないときには、ありのまま言ってくればいい」

提案されたらまず食いつくことが大切なのだ。

「それがお互いの信頼につながるんじゃないでしょうか。こういうインタビューでも、僕は記者の人の様子が気になります。

オレの話に食いついているかな、と。食いつきがいいと、そりゃあ、饒舌になりますよ〜(笑)」

木梨憲武
木梨憲武/Noritake Kinashi
1962年東京生まれ。高校の同級生、石橋貴明ととんねるずを結成。『ねるとん紅鯨団』『とんねるずのみなさんのおかげです』をはじめ数々のバラエティ番組がヒット。歌手としては「情けねえ」「ガラガラヘビがやってくる」などがヒット。1994年から画家としての活動も始め、東京、ニューヨーク、ロンドンなどで9度の個展を開催するなど、幅広い活動を行う。

TEXT=神舘和典

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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