PERSON

2022.12.24

バリキャリ金融女子・河村真木子が明言する、親を超える子供に必要な絶対的スキル

外資系金融機関の最高管理職を経て、メンバー1万人超えの超人気オンラインサロン「Holland Village Private Salon」を主宰する“バリキャリ金融女子”河村真木子さん。圧倒的ビジネスセンスで道を切り開いてきた彼女の、ひとり娘を育て上げた“待つ子育て”に迫る。連載「イノベーターの子育て論」とは……

子育論を語るバリキャリ金融女子・河村真木子さん

“オファーする子育て”ではなく“待つ子育て”を

外資系金融機関で輝かしいキャリアを積み、現在は、資産形成から社会問題まで鋭い視点で斬りまくるオンラインサロンを主宰する傍ら、美容商材や、カフェなど幅広く経営。24歳で就職して以来ビジネスの最前線で活躍してきた河村真木子さんは、アメリカ・ニューヨークの大学で学ぶ娘を持つシングルマザーでもある。

「娘は高校2年の時にボストンのボーディングスクールに留学しましたが、それは彼女自身が望み、決めたこと。私が子育てで一番大切にしているのは、子供の自主性。親がああしなさい、こうしなさいと道を示す“オファーする子育て”ではなく、子供自身がやりたいことを見つけるのを“待つ子育て”ですね。それは、私の両親が実践していたことでもあります」

子育論を語るバリキャリ金融女子・河村真木子さん

河村真木子/Makiko Kawamura
1976年奈良県生まれ。父の転勤に伴い、10歳~15歳をシンガポールで過ごし、'92年に帰国し、大阪府の公立高校に入学。'94年、ロサンゼルスのLe Lycee Francaise de Los Angels高校に編入し、'96年同校を卒業して関西学院大学に入学するも自主退学。再び渡米し、コミュニティカレッジを経てUCバークレーに編入し、2000年に卒業。外資金融機関などを経て、'21年、オンライン事業Holland Village Private Salonを設立。美容商材、炭酸パックブランド「Carrie」開発販売も展開している。初となる著書『超フレキシブル人生論 ”当たり前“を手放せば人生はもっと豊かになる』が好評発売中。

三姉妹の次女として育ってきた河村さんだが、両親はそれぞれの個性を尊重。勉強や習い事を強いることはなく、好きなようにさせてくれたという。

「子供は何も知らないんだから、『こんな習い事があるよ』と、まずは親が提案してあげなければという考えもあるとは思います。でも、子供って案外友達から情報を得ているもの。私も、友達がいろいろな習い事をしているのを知り、『私もやりたい!』と親に頼み込んでいましたしね。それに、親が薦める習い事が、子供の将来に本当に役立つかどうかも疑問。時代が急激に変化しているのだから、親が幼少期だった頃は有益だった習い事が、今はもう役に立たないかもしれないし。そもそも、親が通ってきた道をなぞらせていては、時代遅れになるリスクも高くなります」

自己肯定感は親が子どもに与えられる最強の武器

河村さんが両親から引き継いだ子育て法がもうひとつある。それは、ほめて育てることだ。とくに母は“愛ある放任主義”に徹し、「あなたはできる」「あなたはすごい」と、常にポジティブな声をかけてくれたという。

「子供たちのために良い学校を選んで行かせてくれたとか、役立つ習い事をさせてくれたといったことはまったくなかったですね。でも、たくさん褒められたおかげで、『私はやれる!』という自信がつきましたし、自己肯定感も育まれました。自己肯定感は、親が子供に与えられる最高の武器。私も娘のことは、ほめて、ほめて、ほめまくっています」

一番認めてほしい相手である親から存分に承認されてきた子供は、「圧倒的な自信を背景に、さまざまなことにチャレンジし、他人の顔色をうかがうことがないため、人間関係も広がる」とも、河村さん。高校時代は不良仲間と遊び歩き、勉強どころか学校にも行かなくなっていたが、高3の夏、自分の将来を考え、アメリカ留学を決行したのも、自己肯定感のおかげだ。

「商社マンだった父の転勤で10歳から15歳をシンガポールで過ごしたんですが、その時の友人たちは“帰国子女”というポジションを生かし、有名大学にすんなり入学していたんですよね。『彼女たちにできるなら自分にもできるはず!』と思い、帰国子女という資格を得るためにアメリカの高校に留学することを決めました。シンガポール時代は日本人学校に通っていたので、英語はまったくできないのに(笑)。これも両親が、『あなたは地頭がいい。やればできる』と、言い続けてくれたからだと思っています」

河村真木子さんの会員限定カフェ

愛ある放任主義を貫いた河村さんの母だが、食べるものに関しては「うるさく言われた」とか。オーガニックという言葉も珍しかった時代に、無農薬や無添加の食材を選び、おやつも市販のものではなく、手作りが中心。駄菓子などは一切食べさせてもらえなかった。「小さい頃の刷り込みがあるから、今でも口にするものは気を遣います。おかげで、これまで大きな病気もせず、人より健康でエネルギーもあると思います。これは、母のおかげですね」。そんな河村さんが運営する会員制カフェでも、素材にこだわったオーガニックなメニューを展開する。

自分で選ぶ→必死に取り組む→結果が出る

18歳でアメリカ・カリフォルニア州に渡った河村さんは、まずは英語を学ぶためにロサンゼルスの語学学校に入学。3ヵ月後、中心部から3時間離れた田舎の高校に進学予定だったが、「中心地にいた方が有益な情報が集まるし、魅力的な人たちと知り合える」と考え、ロサンゼルスで入学できる高校とホームステイ先を自ら探し、手配した。

「親に相談? 全然しませんでした。その頃には、自分で動かないと何も手に入れられないと、わかっていましたから。自分で考えて決めたことは、本気度が違うんですよ。親から勧められての留学だったら、あんなに頑張れなかったです。英語も2年間でかなり上達したし、成績もすごく良かった。『私ってこんなに勉強ができるんだ』と、我ながら驚きました(笑)」

この留学を機に学ぶ楽しさに目覚めた河村さんは、高校卒業後、一度は日本の大学に入るも、「自分はもっと上を目指せる」と確信し、再度アメリカへ。カリフォルニアのコミュニティカレッジで2年間学び、優秀な成績を収めてUCバークレーに編入。卒業後はバリキャリ金融女子の道まっしぐらに。

「そういえば、子供の頃、父は私にバリキャリ女子のインタビューが掲載された雑誌をよく見せてくれたんですよ。『かっこいいだろう?』って。ストレートには言われませんでしたけど、私にそうなってほしかったんでしょうね。すっかり刷り込まれていたわけです(笑)。高校時代に軌道修正ができたのも、その刷り込みがあったからかもしれません」

後編に続く

過去連載記事

■連載「イノベーターの子育て論」とは……
ニューノーマル時代をむかえ、価値観の大転換が起きている今。時代の流れをよみ、革新的なビジネスを生み出してきたイノベーターたちは、次世代の才能を育てることについてどう考えているのか!? 日本のビジネス界やエンタメ界を牽引する者たちの"子育て論"に迫る。

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TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=Yoshihito Koba

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