連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第29回は、ロレックス「エクスプローラー Ref.5500」を取り上げる。
小ぶりな34mm径で人気の、ふたつの“エクスプローラーダイヤル”
ヴィンテージロレックスにおいて、最も人気が高いダイヤルデザインのひとつが、3・6・9にアラビアインデックスを用いた、通称“エクスプローラーダイヤル”。
「エクスプローラー」はヴィンテージロレックスの大定番である一方、「サブマリーナー」の“エクスプローラーダイヤル”は、コレクターズアイテムとして知られている。今回紹介する「エクスプローラー Ref.5500」も、なかなかレアなモデルだ。
本来「Ref.5500」とは、「エアキング」用のリファレンスナンバー(識別番号)であるのだが、「エクスプローラー」バージョンも極めて少数存在する。
この「エクスプローラー Ref.5500」はともに34mm径であるため、かなり小ぶり。デザインは2本ともほぼ同じだが、並べて見ると違いがわかるだろう。
ミラーダイヤルの方(1967年製)は真鍮のダイヤルに黒い塗料を塗り重ねて作られており、ロレックスのロゴやモデル名の表記は、塗料を削り出して下地の真鍮を削り出している。
対照的にマットダイヤル(1968年製)は、光沢感がないブラックのダイヤルにホワイトのプリントが入っている。ダイヤルが経年劣化でブラウン化することは稀で、ホワイトプリントもほぼ変色しない。
ちなみに1990年代から2000年代にかけて、「エクスプローラー Ref.5500」マットダイヤルの偽物が大量に出回っていた。
「エクスプローラー Ref.5500」はどちらのモデルも魅力的だが、現在はマットダイヤルの方がレアで見つかりにくい傾向がある。もし運よく見つけた時は、思い切って購入してみるのはいかがだろうか。
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■連載「ヴィンテージウォッチ再考」とは
インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。