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2023.12.31

人生100年時代の熟年離婚はスタンダード? 河村真木子「今の自分に合わない相手と暮らす必要はない」

外資系金融機関でキャリアを磨き、現在は国内外でメンバー1万人超え、“最先端の情報が集まる”と人気のオンラインサロンを主宰する河村真木子さん。そんな河村真木子さんの短期連載第2弾がスタート。今回は、増加にストップがかからない「熟年離婚」について、自説を語ってもらおう。

人生100年時代、ひとりの相手と結婚生活を続けるのは難しい

2023年、おしどり夫婦と称賛されていた2組の熟年離婚が世間をざわつかせた。1組は婚姻生活28年の田中美佐子さん&深沢邦之氏、もう1組は、同29年の香坂みゆきさん&清水圭氏だ。共に人生を歩んできたカップルが、人生終盤戦を迎えるにあたって別の道を行く選択をする。それは、一般人でも増えているようで、婚姻期間20年以上の離婚率は、1950年以降ずっと増加傾向にあり、2020年には離婚全体の21%を占めるほどに(厚労省2022年発表の「離婚に関する統計」より)。ちなみに、2020年度の離婚件数は約19万3000組で、結婚した3組に1組が離婚しているという。

この状況について、「熟年離婚が増えるのは、ある意味当然な気がします」とは河村真木子さん。

「1950年くらいまでは、日本人の平均寿命は60歳程度で子供の数も多かったので、末っ子の子育てが終わったらすぐに寿命を迎えていたんだと思うんですね。でも今は、寿命がぐっと延びた上に子供の数も少ないので、子育て終了から数十年は夫婦ふたりきりになってしまいます。ずっと同じ人と結婚生活を続けるのは、なかなか難しくなってるのかもしれませんね」

そのココロは、「人間、年を重ねると変わっていくものだから」。

「年齢だけでなく自分が置かれているステージ、状況によって、価値観や考え方は変化するものなので、結婚当初にパートナーに求めていたものと、今の自分が求めるものにズレが生じるのは自然なことだと思うんです。今の自分には合わない相手だと気づきながら、何十年もいっしょに暮らすより、早いうちにリスタートしようと考えても、なんの不思議もありません」

自分を押し殺して生涯添い遂げることに意味はない

離婚に対するネガティブなイメージはかなり薄らいでいるとはいえ、今でも、夫婦が生涯添い遂げることが理想とする風潮は残っている。「他人同士が暮らすのだから、価値観や考え方が違うのは当たり前。それをすり合わせ、お互いに歩み寄ることで、真の夫婦になるのだ」といった”教訓”を説く人もいるけれど、河村さんは首をかしげる。

「それで幸せになれる人もいるので否定はしませんが、私には無理かな。結婚に限らず、自分を曲げて相手に合わせるのは苦手なんです。だから、ひとりの人と長く続かないのかもしれないけれど(苦笑)」

河村さんはこれまでに2回離婚を経験しているが、いずれの場合も、「パートナーが、“その時の自分”が求める人ではなくなったのが主な原因だった」と明かす。

「我ながら勝手だなと思います。でも私は、自分が幸せになるために結婚したり、恋愛したりするのだから、ガマンしてパートナーシップを築くことに意味が見いだせないんです。もちろん、その逆もありますよ。相手から『これ以上自分を押し殺して、君に合わせるのは辛い』といって別れを切り出されるとか。それを聞いて、『無理しながら私といっしょにいたんだ⁉』とビックリしちゃいましたけど……。

きっと、私にとって結婚や恋愛は、人生においてのプライオリティがそれほど高くないのだと思います。最優先は仕事と子供で、結婚や恋愛はサイドディッシュ。パートナーがいればハッピーだけど、いなくても、そこまで重要じゃないんですよね」

熟年離婚=生涯ひとり、ではない

河村さんが指摘する通り、長い年月の間に自分が変わったとしたら、いっしょにいたい相手が変わるのも自然なこと。結果、「この先一緒に歩んでいくのは、この人ではない」と思うなら、離婚を選択するのもひとつだ。ただし、そんな風に自分の気持ちに素直に従うためにも、夫婦それぞれが「相手がいなくなったら生きていかれない」状況に陥ることなく、経済的にも生活力の面でも自立することが必要だろう。

「お互いに自立することは大切だと思います。『夫のことは好きじゃないけれど、生活のために離婚はしない』という人も少なくないですが、それで幸せなのか、私はすごく疑問に感じるんです。一度しかない人生なのに、もったいないなって思います」

とはいえ、熟年離婚となると「ひとり寂しく老後を迎える」ことへの不安もよぎり……。

「『この年になると出会いがない』とか『自分を好きになってくれる人なんてもう見つからない』という声も聞きますが、そんな心配、まったくないと思うんです。何人も、何十人も見つけるとなれば難しいけれど、パートナーはたったひとりでいい。日本の人口を1億人として、その半分が異性。そこからひとり見つければいいだけと考えれば、気持ちが前向きになりませんか?

自分がその気になって、出会いの機会を積極的に持てば、新たな相手が現れる可能性はけっこう高いはず。現に老人ホームでは、70代、80代の恋愛が盛んだと聞きます。日本がダメなら、海外に目を向けてもいいわけですし」

人生100年時代、しかも生き方は多様化している。結婚にしても離婚にしても、既存の価値観や世間体を気にした選択はナンセンスだ。河村さんのように、自分どうありたいかという“自分軸で生きる”視点が、今後ますます求められるかもしれない。

河村真木子/Makiko Kawamura
1976年奈良県生まれ。父の転勤に伴い、10歳~15歳をシンガポールで過ごし、'92年に帰国。大阪府の公立高校に入学したものの、'94年、単身でアメリカに渡り、ロサンゼルスのLe Lycee Francaise de Los Angels高校に編入。'96年同校卒業後、関西学院大学に入学するも自主退学し、再び渡米。コミュニティカレッジを経てUCバークレーに編入し、2000年に卒業。外資金融機関などでキャリアを積んだ後、2021年、オンライン事業Holland Village Private Communityを設立。著書に『超フレキシブル人生論 ”当たり前“を手放せば人生はもっと豊かになる』。現在は、会員制Holland Village Private Caféの運営も手がける。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=鮫島亜希子

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