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2023.09.16

河村真木子「デート代論争」にみる日本社会の歪みとは? 国内外トップの情報が集うサロンオーナーの見解

外資系金融機関でキャリアを磨き、現在は国内外でメンバー1万人超えの人気オンラインサロンを主宰する河村真木子さんの短期連載3回目。グローバルな視点とユニークな発想が魅力の“バリキャリ金融女子”が、「無意識に潜む男女の差別」を紐解く。

河村真木子

お会計は“女性の価値”の確認作業

今春、某女性タレントのSNSでの発信が発端になり、突如巻き起こった「デート代は男性、女性どちらが持つか論争」。「女性はデートのために美容代やら服代やらにお金をかけているのだから、男性が払うべき」という声がある一方で、「男女問わず、お金を持っている方が払えばいい」という声もあがるなど、さまざまな意見が飛び交った。

「私自身は、お金を持っている方が払えばいいという意見に賛成です。ただ、日本では、総じて男性の方が女性より収入が高いですよね。結果、お金を持っているのは男性になり、男性が払うべきという図式が成り立ってしまいます。そもそもお店の人は、お会計は男性を目がけて持ってくることがほとんど。未だに、社会全体として“会計は女性ではなく男性が持つもの”と認識されているのだと思います」

確かに令和元年の厚労省の調査をみてみると、大学卒の新入社員の平均初任給は男性212,800円に対し、女性は206,900円。この差がさらに開いていくのは周知の事実だ。しかもそこには、日本が長らく抱えてきたジェンダー問題も潜んでいるとも、河村さん。

「男性も女性も、お金と“その人の価値”を結びつけている気がします。男性は、『この女性にお金を出す価値があるかどうかを、女性は『自分はごちそうしてもらえる魅力があるかどうか』を、お会計によってジャッジしているというか。しかも価値の基準が、女性の年齢であるケースが多いと感じます」

そう言った後、河村さんが披露してくれたのは、最近とあるバーで体験したエピソード。河村さんが、自身が経営するカフェのシェフと飲みに行った際、カウンターで一緒になった50代~60代と思しき男性2人組に「仕事は何?」と聞かれ、「カフェのオーナーとシェフです」と答えたところ、「若いのにがんばっているね! 応援するよ」と、シャンパンをごちそうされたのだが……。

「その後の会話で、私とシェフが40代だとわかった途端、おじさまたちの態度がガラっと変わったんですよ。『シャンパンおごって損した、返せ!』みたいな勢いで、とたんに鬼無視されて。暗がりだったから、私たちのことを勝手に若いと思い込んでいたみたいです。しかもその後、『オレの彼女28歳』と、ワケのわからないマウントまでされました(苦笑)。

ホステスさんの鉄板ワードに、さしすせそ(さすがです・知りませんでした・すごいですね・センスがいいですね・そうなんですか)と『初めてです』があるそうです。きっと男性は、女性にいろいろ教えてあげたいという気持ちが強いのでしょうね。でも、女性も年を重ねれば経験豊かになり、初めてのことがだんだん少なくなっていく。それが、『かわいげがない』になってしまうのかな。欧米では『知見が豊富で刺激をもらえる』とか『いろんな体験を聞かせてもらえて、おもしろい』など、経験豊富であることが逆に評価されると感じるので、その辺り日本は残念だなと思いますね。

メンズのみなさんの『何も知らない若い子をオレ色に染めたい願望』が強過ぎて、もっと対等で、もっと自然体でいいじゃんって思います」

河村真木子
河村真木子/Makiko Kawamura
1976年奈良県生まれ。父の転勤に伴い、10歳~15歳をシンガポールで過ごし、'92年に帰国。大阪府の公立高校に入学したものの、'94年、単身でアメリカに渡り、ロサンゼルスのLe Lycee Francaise de Los Angels高校に編入。'96年同校卒業後、関西学院大学に入学するも自主退学し、再び渡米。コミュニティカレッジを経てUCバークレーに編入し、2000年に卒業。外資金融機関などでキャリアを積んだ後、'21年、オンライン事業Holland Village Private Salonを設立。美容商材、炭酸パックブランド「Carrie」開発販売も展開している。著書に『超フレキシブル人生論 ”当たり前“を手放せば人生はもっと豊かになる』

年齢によるカテゴライズが生きづらさにつながる

では、女性は何歳くらいまで男性にとって“価値のある存在”として認められるのだろう。

「年齢は相対的なものなので、相手が誰かによって変わると思います。たとえ20歳でも相手が10代ならオバサンだし、40代でも相手が70代なら若いと評価されます。私自身は、実はいくつの時でも年齢による差別を感じてきました。日本は、年齢による縛りが厳しいんですよね。『〇歳ならこうでなければならない』という物差しが凝り固まっていて、その基準から少しでも外れると嫌味を言われたり、バッシングを受けたり」

派手な服を着ていると、「いい歳してまだそんな服を着ているのか」と批判され、クラブに行ったと言えば、「いい加減に落ち着いたら」とあきれられる。40歳で再婚した時は、「その年齢で、しかも子持ちなのに、よくウエディングドレスを着られるね」とまで言われたと、河村さんは明かす。10代での性交渉は早過ぎると非難され、20代になると“体験”がないことを揶揄され、30代になれば結婚し、子供がいることが当然とされる。「Right on timeが求められますが、それって個人ではなく、世間が思うジャストなタイミングなんですよね」とも。

「欧米では年齢の区別がすごくざっくりしていて、子供、大人、シニアくらい。ミレニアムとかサーティーズといった言葉はあっても、年齢によるカテゴライズはほとんどないと思います。そもそも相手が何歳だか、知らずにつきあっていることも多いんですよ。アメリカで最初に通った語学学校で、クラスメイトに『あの人何歳?』と聞いた時、『She is our age.』と言われて驚きました。語学学校だから、さまざまな年齢の人が集まっているのですが、誰も年齢のことを気にしない。私みたいに型にはまらないことばかりしている人間には、その方がずっと生きやすいです」

年齢に限らず、何かにカテゴライズされること自体が生きづらさにつながる。河村さんは、そうも指摘する。

「人間は本来個性的なものなのに、〇歳だから、男性/女性だから、お父さん/お母さんだから、~でなければならないなどと押しつけられると、本当にやりたいことができなくなって、社会全体が閉塞感に包まれてしまいます。そんな社会に発展や成長はありません」

日本が輝きを取り戻し、明るい未来を手に入れるには、性別や年齢による差別や偏見を解消し、ひとりひとりが自分の考えや想いに基づき行動できる、寛容な社会になることが必須なのだろう。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=鮫島亜希子

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