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2023.08.19

女性が活躍しやすい社会とは? サロン1万人超のバリキャリ金融女子が語る【河村真木子 連載】

外資系金融機関でキャリアを磨き、現在は国内外でメンバー1万人超えの人気オンラインサロンを主宰する河村真木子さんの短期連載がスタート。グローバルな視点とユニークな発想が魅力の“バリキャリ金融女子”が提案する、日本のジェンダーギャップの解消策とは⁉

日本復活のカギはジェンダーギャップの解消にあり

世界トップの外資系金融機関で数々の実績を残し、現在は、主宰するオンラインサロンやSNS、メディアで、女性の生き方や美容、投資などについて発信、多くの女性から支持を集めている河村真木子さん。なかでも、毎回大きな盛り上がりを見せるのが、ジェンダーギャップに関する発言だ。

「日本は、お世辞にも女性が働きやすい社会とは言えません。でも、日本経済の回復と豊かな未来は、女性の活躍がカギを握っている。私は本気でそう思っています」

日本経済が低下の一途をたどっている理由のひとつは、労働力の低下。利益は上がっているものの人手不足で立ち行かなくなる「黒字倒産」が増えているが、少子化に歯止めがかからない今、この状況は益々加速するに違いない。政府は、少子化対策に加え、労働力不足を補う策として女性の就労促進、外国人労働者の積極的な受け入れを打ち出しているが、後者は受け入れ側の問題などもあり、ハードルは高い。

「外国人労働者を増やすことに比べれば、女性の就労率を高める方がずっと近道だと思います。まじめで頑張り屋の女性たちが、仕事の担い手として貢献すれば、企業の業績はアップするはず。また、働くことで女性の経済力が上がれば、消費も伸び、経済がうまく回っていくでしょう。でも、残念ながら現状は、女性の労働意欲を後押ししてくれる社会にはなっていません。その状況を一刻も早く変えて、女性にどんどん社会に出てもらわなければ、日本の将来は悲惨なことになってしまうと思います」

子育論を語るバリキャリ金融女子・河村真木子さん
河村真木子/Makiko Kawamura
1976年奈良県生まれ。父の転勤に伴い、10~15歳をシンガポールで過ごし、'92年に帰国。大阪府の公立高校に入学したものの、'94年、単身でアメリカに渡り、ロサンゼルスのLe Lycee Francaise de Los Angels高校に編入。'96年同校卒業後、関西学院大学に入学するも自主退学し、再び渡米。コミュニティカレッジを経てUCバークレーに編入し、2000年に卒業。外資金融機関などでキャリアを積んだ後、'21年、オンライン事業Holland Village Private Salonを設立。美容商材、炭酸パックブランド「Carrie」の開発販売も展開している。著書に『超フレキシブル人生論 ”当たり前“を手放せば人生はもっと豊かになる』

過去最低を記録した日本のジェンダーギャップ指数

河村さんが指摘する通り、日本は女性の社会進出が世界的にみても極端に遅れている。世界経済フォーラムが2023年に発表したジェンダーギャップ指数では、日本は146ヵ国中125位と、前年の120位からさらにランクダウン。それも、「教育」は47位、「健康」は59位と善戦しているのに対し、「経済」は123位、「政治」は138位と目を覆いたくなる状況にある。政府は、男女共同参画局なるものを立ち上げ、女性活躍推進法も成立させるなど、女性の社会進出を後押ししているにも関わらず、だ。

「政府も企業も制度を整えるなど頑張ってはいると思いますが、やはり働く人のマインドが影響しているのでしょうね。今の若者をみても、彼らの祖父世代と比べればずいぶん変わってきたとは思いますが、それでも家父長制の意識が残っていると感じることがあります。主役を張るのは男性で、女性はサブキャラに徹するべきという……。入社して2、3年は女性とフラットに接していても、4年目を超えたあたりから、だんだん『女性は一歩下がって』という空気を出してくるんですよね(苦笑)」

それは10年ほど前、当時、河村さんが勤務していた “進んでいる”印象のある外資系金融機関で体験したことでもある。

「会議でまず意見を述べるのは男性で、私が口火を切ろうものならイヤな顔をされたり、男性の部下から『女の言うことなんか聞けるか』という態度をとられたり。営業先で、『取締役会でのプレゼンは女性ではなく男性にお願いしたい』と言われたこともありました。女性が金融や経済のプレゼンをすると、取締役のおじいさま方には生意気に映るからだとか。女だというだけでチャンスをもらえない、一歩下がらないといけない。私はそれにすごく違和感を抱きました」

文化を変えるには“分母”を増やすのが有効

では、どうしたら女性が活躍しやすい社会になるのだろう。河村さんは、「企業がまず取り組むべきは、仕組みを変えること」と、指摘する。

「日本の企業の大半は、上が絶対的な権力を握るピラミッド組織であり、体育会的な縦社会。大事なことが、夜の飲み会や週末のゴルフ場で決まってしまったり、上司と良い関係を築いている人が出世したり。男性目線でつくられた、男性が活躍しやすい仕組みになっているような気がします。

女性も同じように飲みに行ったり、ゴルフに行けばいいじゃないかという声もあるかもしれませんが、家庭の事情でできない女性もいますし、そもそも、したくないという女性もいます。だから、それとは違う“活躍できる仕組み”を持つ組織に変わることが必要。そのためにもまずは、管理職や発言権を持つ女性を増やすことです」

女性上司が増えれば、新たな評価基準や仕事の進め方が生まれるだろうし、女性ならではの壁にぶち当たった時に相談もできる。それが、女性の離職率を抑え、上を目指す気持ちにつながる。

「私自身、最初に勤めた外資系金融には女性の役職者がほとんどいなかったので、そこで上を目指すビジョンは持てませんでした。想像ができなかったのです。けれど、次に転職した会社には女性管理職がけっこういて、モチベーションが上がりましたし、励まされることも多かったんです。文化を変えるには、“分母”を増やすのが有効だと思います」

アメリカも“仕組み”から男性社会を変えていった

その一助になるのが、女性管理職の割合を一定数確保する「クォーター制」。「女性というだけで管理職に就けるなんて、逆差別だ」という声も聞かれるが、「女性がやっと男性と同じ土俵に立てるようになるだけ」と、河村さん。

「抵抗感を抱く人もいるかもしれませんが、アメリカだって、男性優位の社会を変えるために、まず仕組みづくりから始めたのです。管理職から平社員まで、ポジションごとに教育プログラムを設定し、少しずつ意識変革を行ってきた。そうやって50年かけて、男女の別なく活躍する土壌をつくってきたのです。日本も、今すぐにでも本気で取り掛からないと、ますます世界に後れを取って、貧しい国になってしまいます。

もしくは、いっそ役職をなくしてしまえばいいのではないでしょうか。経営陣以外はみんな同じ立場で、パフォーマンスによって評価される組織。そうすれば、ジェンダーギャップなんて生まれないし、頑張って結果を出した人が輝ける。とても健全な在り方だと思います」

長く「女性は管理職に向いていない」と言われてきたが、それは男性が活躍しやすい仕組みの中でのこと。なかば強制的に、大胆に制度から変えることが、世界に出遅れている日本には求められているのかもしれない。

TEXT=村上早苗

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