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2023.09.30

“不倫で辞職”は日本だけ? 河村真木子「仕事とプライベートは本来別物」

外資系金融機関でキャリアを磨き、現在は国内外でメンバー1万人超えの人気オンラインサロンを主宰する河村真木子さんの短期連載。今回は、河村さんのサロンで大きな反響を呼んだコラム、「日本人がめっちゃ得意な“不倫フルボッコ”はなぜ起きるのか」を軸に、日本社会で幸せに生きるために必要なこと、それを身に着ける術について語ってもらう。

河村真木子

仕事とプライベートの線引きができない日本

日本で“公人”が不倫をするとどうなるか。先頃話題となった某俳優と有名シェフの例をはじめ、契約解除や降板、辞任など社会的に抹殺されるケースが目立つ。一方海外では、他人の恋愛で袋叩きにすることはあまり聞かない。フランス大統領が良い例だろう。

そんな日本ならではの事象について、河村さんは自身のオンラインサロンのコラムで、「この国の『不倫』に対する扱いが『いじめ』を彷彿させます」とコメントした。

「不倫は当事者同士の問題であり、謝るべきはお互いの配偶者や家族に対してのはず。けれど、日本では公人であればあるほど、社会に対して謝ることが求められ、責任をとって辞職したり世界に対して謝罪することを求められたりします。仕事とプライベートは本来別物で、自分が提供するスキルに対してお金を払ってもらう対価の交換。自分の仕事さえきちんとしていれば、文句を言われる筋合いはないと思うのですが……」

なぜこんなにも日本人は仕事とプライベートを区別してみることができないのか。その原因は、河村さんいわく「他人軸で生きているから」。自分がどうしたいか、自分はどう思うかではなく、他人という周囲に合わせること、周囲から浮かないことを常に意識しているからではないかと。

「だから他人のことが気になってしかたがないし、『〇〇だから~でなければならない』という凝り固まったルールに反した行動をとる人をフルボッコにしてしまう。日本はダイバーシティとは反対のモノソサイエティで、子供の頃からみんなと同じことをしないと許されない教育をされています。長らく稲作社会で、周囲と協力しながら生活することを求められてきたDNAが、今も日本人のDNAに沁みついているのかもしれませんね」

不倫の糾弾にはもうひとつ、「他人を叩きたい」という闇も潜んでいる。「他人の不幸は蜜の味」と言われるように、他人をバッシングすることは、時に優越感を与え、心を満たす。それが、SNSの匿名性とあいまって、不倫という個人の問題を社会問題にまで発展させる一因なのだろう。

「不倫を必要以上にバッシングする人は、自分自身が満たされていないのかもしれません。自分に満足していれば、他人のプライベートにそこまで関心を持たないはずだし、時間や労力を使って叩こうとしない気がします」

河村真木子
河村真木子/Makiko Kawamura
1976年奈良県生まれ。父の転勤に伴い、10歳~15歳をシンガポールで過ごし、'92年に帰国。大阪府の公立高校に入学したものの、'94年、単身でアメリカに渡り、ロサンゼルスのLe Lycee Francaise de Los Angels高校に編入。'96年同校卒業後、関西学院大学に入学するも自主退学し、再び渡米。コミュニティカレッジを経てUCバークレーに編入し、2000年に卒業。外資金融機関などでキャリアを積んだ後、'21年、オンライン事業Holland Village Private Salonを設立。美容商材、炭酸パックブランド「Carrie」開発販売も展開している。著書に『超フレキシブル人生論 ”当たり前“を手放せば人生はもっと豊かになる』

日本の恋愛人口が少ない理由

そもそも日本は恋愛に対して寛容な国とは言い難い。海外にもメンバーがいる河村さんのオンラインサロンには、「日本で恋愛は一部のイケてる男女だけがするものだけど、欧米ではどんな人も恋愛している」というコメントがあったそうだ。

「確かに日本だと、『恋愛は若い人のもの。その中でもイケている男女のみのもの』という風潮がありますよね。欧米では、何歳になっても、どんな人たちでもアグレッシブに恋愛をしてたりする。私は今、彼氏がいますが、『その年齢でよく恋愛する体力ありますね』とか『40代カップルが何するんですか?』と批判的なことをけっこう言われます。人を好きになる気持ちは年齢や体力とは関係ないと思うのですが(苦笑)」

いわば日本では、恋愛においてもカテゴライズがあり、そこから外れると批判の的になりがちだということ。これもまた、他人軸で生きていることの弊害と言えよう。

恋愛は、しなくてはならないものではない。けれど、恋愛したいと思っているのに、あるいは心惹かれる人がいるのに、世間体を考えて自分の気持ちにストップをかけているとしたら不幸だ。

「他人にどう言われようと、自分は自分。恋愛に限らず何でも、そう考えて行動した方が、人生楽しいと思うのですが、他人の評価が軸になってしまう風潮がある。また、失敗を恐れてチャレンジすらしない人が多い印象です。

恋愛でいえば、『私なんかが告白しても、どうせうまくいかない』と、気持ちすら伝えないとか。たとえうまくいかなかったとしても、それは相手と合わなかっただけで、自分がダメだからではないのに。そんな風に、結果を恐れて何もトライしないままでいると、小さい人生になってしまい、すごくもったいないと思います」

他人軸から抜け出す唯一の方法は自己肯定感

では、他人軸から抜け出し、自分らしく生きるにはどうしたら良いのだろう。河村さんが提案するのは、自己肯定感を高めることだ。

「自己肯定感は本当に大切。どんなに嫌なことがあっても、失敗しても、自己肯定感さえ高ければ、乗り越えられますし、次に進むことができますから。でも何故か、日本人は自己肯定感が低い人が多いと言われています。学校の授業もその1人を作っているのかもしれません。失敗したら笑われたり、否定されたり怒られたりする空気があるからか、子供たちは積極的に手を挙げませんよね。『手を挙げるからには正解しなければ』『立派なことを言わなければ』と委縮してしまうのだと思います。

それに対してアメリカの学校では、子供たちは積極的に意見を出します。的外れな意見であっても、先生はまずは『なるほどね』とか『そういう考え方もあるね』と受け入れてくれるので、安心して自分の考えや思いを発表できるんですね。日本もそのスタイルを取り入れ、子供の頃から、自己肯定感を高めるような育て方や教育をすべきだと、本気で思います」

そう言う一方で、「大人になってからでも、自己肯定感を育むことは可能」とも、河村さん。

「私のオンラインサロンでは、海外で訓練を受けた専門家による自己肯定感を高めるクラスもありますが、その効果はすごいんですよ。発想の転換や考え方を変える気づきを与えるような内容なんですが、受講者の中には『私はこれでいいんだ』と、泣き出す方もいらっしゃるくらいエモーショナルで。やっぱり自分を認めることって大切なんだと、つくづく感じます」

もっとも自己肯定感が高すぎると、自分に甘くなったり、地道な努力をしなくなる心配もあるような……。

「今の自分でOKと突っ走って、失敗することはあると思います。でも、自己肯定感が高い人はそこでつぶれず、また這い上がってきますよ。『自分はできる』という自信があるから、何度でもチャレンジするんです。私がそうですから(笑)」

自己肯定感を養い、自分軸で生きる。それは、幸せな人生を送るカギのひとつだ。

TEXT=村上早苗

PHOTOGRAPH=鮫島亜希子

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