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2022.12.21

ラグジュアリースポーツの原点。オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」の初期モデルが持つ市場価値とは

連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第12回は、オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」からRef.5402STを紹介する。

ロイヤル オーク

再評価が進む初代ロイヤル オーク Ref.5402STの魅力

アメリカの金融機関グループ「モルガン・スタンレー」とスイスの時計産業専門のコンサルティング会社「リュクスコンサルト」が合同で発表した2021年の推定売上高ランキング(2022年3月付)によると、オーデマ ピゲは現在世界第4位であり、勢いはとどまることを知らない。

ラグジュアリースポーツウォッチの元祖であるオーデマ ピゲの「ロイヤル オーク」は、1972年のバーゼル時計見本市で初めて公の場に姿を表した。1970年には、プロトタイプとして製造されたホワイトゴールドモデルが4本製造されていたが、当初予定していたステンレススチールモデルの市販化が始まったのはここからである。

ファーストモデルにあたるRef.5402STは、ドレスウォッチの名残を残す2針や極薄のケースと、当時は“ジャンボ”とさえ揶揄された39mmのケース径、ケースと一体型のブレスレットなどのスポーティなデザインが絶妙なバランスで噛み合っている。ケースはファーブル・ペレ社、ブレスレットはゲイ フレアー社と専門のメーカーに製造を依頼。ジャガー・ルクルト製の超薄型の自動巻きムーブメントCal.920(オーデマ ピゲではCal.2121と呼ばれる)が搭載されていることも特筆すべき点だ。

ロイヤル オーク

ロイヤル オーク Ref.5402ST(1972年製造)©️PHILLIPS

数年前までRef.5402STは極端な価格の高騰は見られなかったのだが、世界規模のラグジュアリースポーツウォッチの人気上昇により、再評価が進んでいる。その中でも特別な評価を得ているのが、ケースナンバーに1000番より低い番号が唯一存在する“Aシリーズ”と呼ばれるロットだ。2022年5月6日、「ロイヤル オーク」をテーマにフィリップスが開催した時計オークション「The Royal Oak 50th」では、'72年のバーゼル・フェアで初公開された4本のRef.5402STうちの1本であり、かつケースナンバー2番の“The A2”が出品。ヴィンテージのロイヤル オークにおける史上最高額である105万8500スイスフラン(日本円で約1億4100万円)で落札された。

ロイヤル オーク

オーデマ ピゲ ロイヤル オーク
Ref.5402ST(1974年製造)、自動巻き(Cal.920)、SSケース、径39mm。参考商品

こちらで紹介する個体は1974年に製造されたRef.5402STである。「ロイヤル オーク」の伝統的なディテールであるブルーダイヤルを中心に、オリジナリティとコンディションを高いレベルでキープしている。Ref.5402STを現代的にアップデートした現行コレクション「ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン」とディテールを比較してみるのも面白い。経年変化による個体差があることも両者の違いに挙がる。

ロイヤル オーク

ダイヤルや夜光塗料の経年変化はヴィンテージならではの魅力。

ロイヤル オーク

2ピース構造のケース設計もRef.5402STの特徴だ。

あまりの人気ゆえ、年々入手が困難になりつつある「ロイヤル オーク」だが、過去を遡るとRef.5402ST以外にもユニークなモデルが数多く見つかる。新旧の傑作の中から自分らしい1本を探してみるのも一興だろう。

問い合わせ
リベルタス TEL:06-6643-9455

 

■連載「ヴィンテージウォッチ再考」とは……
インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。

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ヴィンテージウォッチ再考

インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。

TEXT=戸叶庸之

PHOTOGRAPH=中村光明(TRYOUT)

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