連載「ヴィンテージウォッチ再考」の第24回は、ロレックスの「デイトジャスト Ref.16030」を取り上げる。
ユニークな個体が見つかるロレックス屈指のロングセラー
1945年にロレックスが瞬時に日付送りができるデイトジャスト機構を発表してから、80年近くが経過した。
この機構と同時に発売されたモデル「デイトジャスト」は、高い防水性能を持つオイスターケースに、独自の自動巻き機構であるパーチュアル、そしてデイトジャスト機構を持つロレックス屈指のロングセラーである。
実は「デイトジャスト」にはデザインのユニークなモデルが多いのだが、ヴィンテージに関して言えば、金無垢モデルは市場に出回っている数が少なく、黒文字盤もオリジナルのものはほとんどない(当時の持ち主によって交換されたものが大半)。
お目当ての個体がなかなか見つからないのが、ヴィンテージロレックスにおける「デイトジャスト」収集の難しさであり、醍醐味とも言えるだろう。
今回の「デイトジャスト Ref.16030」も、そんな時計のひとつ。「デイトジャスト Ref.1603」から受け継がれたステンレススチール製のベゼル(「デイトジャスト」の多くは18Kゴールドのフルーテッドベゼル)に特徴がある。
この他にも、トリチウムの夜光塗料、光沢のあるつやつやとしたダイヤル、プラスチック製の風坊など、4桁のリファレンス(識別番号)に近いニュアンスが楽しめる。
現在はプロフェショナルモデルの価格がかなり値上がりしているが、このような面白い時計がまだ見つかるのも、ヴィンテージロレックスの懐の深さなのだろう。
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■連載「ヴィンテージウォッチ再考」とは
インターネットやSNSの普及からあらゆる時代の時計が簡単に入手できるようになった。そうはいったところで、パーツの整合性や真贋の問題が問われるヴィンテージウォッチの品定めは一筋縄ではいかない。本連載では、ヴィンテージの魅力を再考しながら、さまざまな角度から評価すべきポイントを解説していく。