フロイト、ユングと並ぶ「心理学三大巨頭」の一人、アルフレッド・アドラー。「すべての悩みは、対人関係の悩みである」と断言し、その悩みを解決するシンプルかつ具体的な方策を提示するアドラーの心理学は、ビジネスをはじめ幅広い分野に活用されている。人と社会について本質を鋭く突くアドラーの言葉こそ、混迷の時代を生きる私たちの生きる道標になるはずだ。『超訳 アドラーの言葉』より、一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はコチラ】
楽観的であれ
楽観主義の人というのは、性格が大筋でまっすぐの方向をとる人のことだ。
彼・彼女たちは、どんな困難にあったとしても勇敢に立ち向かい、不用意に不安に感じたり、嘆きすぎることはない。自信をもち、人生に対する建設的な態度をとる。周囲に対しても、過度に要求することもない。
自分の力を信じており、自分がとるに足らない存在だとは思っていないから、彼・彼女たちは、困難な出来事にあったとしても、自分を弱く不完全であると考えるきっかけを見つけるような人たちより、耐えることができる。また、「間違えても、また挑戦すればいい」と確信して、冷静でいられるのだ。
不安に思う人は少しの変化も不安だ
不安を抱く人は、自分のことばかりを心配して他の人のことはほとんど考えられないような人だ。人生で困難なことが起きた場合に、そこから逃げることを学んだとしたら、不安が付け加えられることによってさらに強化され、確固たるものになる。
何かを始めようというとき、最初に抱く感情が、いつだって「不安」という人がいる。
そういう人は、いつもの状況から少しでも変化があれば、恐れを抱くものだ。
怒るのは「他人を支配したい」から
人間の力を追求するがゆえの支配欲を象徴する情動は、「怒り」だ。怒っている人は、いま抱えている問題を、「いち早く、力ずくで、打ち負かす」という目的をはっきり示している。
こうした知識をもっていれば、「怒っている人」というのは、「力をふりしぼってひたすらに優位性を示したい人」だということがわかる。認められようとする努力は、しばしば権力を得ようとする陶酔感に変わる。
この種の人は、自分の権力(自分には力があるという感覚)が少しでも脅かされると、怒りを爆発させる。
彼・彼女らは、これまでの経験から、怒りを示すことで、最もたやすく他人を支配することができ、自分の意思を押し通すことができると感じている。
他人の不安に屈するな
彼・彼女が不安を訴えている場合、たいていはその彼・彼女に対して、つきっきりで誰かがそばにいなければならなくなる。
その不安に応じて誰かがその場から離れられないとき、その人は彼・彼女の不安に屈しているといえる。
涙は人を引きつけることもあれば、引き離すこともある
人間が生きるにあたって、「不安」は重要な意味をもつ。不安は、「悲しみ」と同じく、人と人を引き離すきっかけになることもあれば、結びつけることもあるのだ。
悲しみには二つの作用があって、「同情」のように人を引きつけることもあれば、涙を使ってのアピールを「めんどうだ」と思われてしまうと、人を引き離すこともある。
だからこそ複雑といえる。
妬む人は責任転嫁をする
妬む人は、常に他者から奪い、他者を軽視し、他者の邪魔をしようとする。そして、自分が成し得なかったことに対しては言い訳をし、ときには他者に責任転嫁すらする傾向がある。