最上ブランドの頂点にして、世界に唯一無二。トップランナーのために仕立て、創造されるスペシャルワンなクルマと時計。走りと時が交差する、超絶美を纏ったマスターピースを追う。今回は、フェラーリを紹介する。【特集 最幸の贅沢】

名車「F40」をイメージした世界に1台のワンオフ
1950年代までフェラーリではワンオフオーダーが常識だった。神髄となる12気筒エンジンとスポーツカーシャシーに、顧客が選んだ仕立屋=カロッツェリアによる“お好み内外装”を跳ね馬の聖地マラネッロで合体させていた。ちなみにエンジン&シャシーはF1やル・マンで活躍するレーシングマシンと基本的に同じだった。
現代のようにデザインまで決めたカタログモデルが本格的に登場したのは’50年代後半になってから。せいぜい数十台だった生産台数が飛躍的に伸びて数百台レベルに。それが今や4、5モデル合計で1万台を超える。そもそも人とは違うクルマに乗りたいがために人はフェラーリを選ぶ。量産が進むと昔のように特別な跳ね馬を望む顧客が増えるのは当然だ。
’80年代以降はF50やエンツォといった限定モデルをビジネス化。アトリエやテーラーメードといった内外装の特注プログラムも充実させた。その究極がフューオフ(日本専用モデルのJ50は10台限定)やワンオフのオーダープログラムだ。
ワンオフモデルのオーダーは、F1マシンの所有&体験の“F1クリエンティ”と並んでフェラリスティ最高峰の夢だ。公式には2008年に始まったワンオフ(以前にもブルネイ国王のオーダーなど少なからず存在した)だが、第1号車は日本人オーダーのSP1であった。過去には熱烈な跳ね馬ファンとして有名なエリック・クラプトンもSP12 ECを注文している。
本社ボードメンバーが顔と名前を覚えているような超トップレベル顧客のみがオーダー可能だ。全ロードカーを購入する権利を持ち、ヴィンテージモデルも複数台所有、モータースポーツや公式イベントにも積極的に参加するようなVIPばかり。想像だが日本市場におそらく30人ほど、世界を見渡してもその10倍前後の数だろう。そのなかからさらに選ばれし顧客がワンオフオーダーできる。すでに数年待ちの状況で、オーダー価格も高騰しており、一説には現在10億円近いとも。
ロードカーの場合は既存の車体やパワートレーンがベースである。さらに自由なデザインを望むならトラック専用車という選択も。マラネッロの技術陣が認めた範囲内での性能アップもあり得る。内外装はチェントロスティーレと相談しながら決められ、オーダーから生産までは約2、3年。予算のキャップは「お財布しだい」だ。
顧客の要望に応じて、世界に1台だけの“ワンオフ”を生みだすのが「スペシャルプロジェクト」。顧客が提示したアイデアを起点に、フェラーリ・スタイリング・センターのデザイナーと密に連携して開発が進む。SC40はF40のオマージュとしてプロポーションと造形を確定後、詳細設計とスタイリング原型を経て製造へ。全工程は平均約2年におよび、顧客は評価・検証にも深く関与するという。
この記事はGOETHE 2026年4月号「総力特集:人生を変えるモノ&コト 最幸の贅沢」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら




