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2022.12.30

サントリー創業者・鳥井信治郎とLDH社長・HIROに共通する行動規範とは【EXILE 橘ケンチ×サントリー 水谷徹 対談】

酒好きという共通項があるだけでも、人と人は笑顔になれる。意外なふたりのお酒談議は、果たしてどのような未来へと繋がっていくのだろうか?

橘ケンチ×水谷徹 お酒談義

サントリー社内にあるバースペースで、久々の再会を喜ぶ橘と水谷。酒好きがバーカウンターで膝を突き合わせれば、すぐに会話は弾んでいく。

業種を超えたシンパシー。お酒が繋げたふたつの想い

ことの始まりは、とあるお酒の席だった。その日、知人を通して出会ったふたりは、お酒の話で盛り上がり、すぐに旧知の友人のような関係性を築き上げた。日本を代表するダンス&ボーカルグループのメンバーである橘ケンチと、同じく日本を代表する酒類飲料メーカーの役員で、ハイボールのヒットに貢献したといわれる水谷徹。

一見意外な組み合わせのようでいて、何か面白いことが始まりそうな予感もひしひしと感じさせる、ふたりの邂逅(かいこう)を目の当たりにした本誌は、改めて対談の場を設け、この不思議なケミストリーの行く末を見守ってみることにした。

水谷 ケンチさんと初めて会った時、日本酒を自分でつくりたいんだっていう熱い思いを話してくれて、ダンスやミュージックとはまったく関係のない世界にとにかく情熱を燃やしていることに、とても驚いたんです。サントリーは日本酒をつくっていませんが、私も日本酒が大好きだし、酒造メーカーの社長が親友なので、話がすごく盛り上がったんですよね。

 僕は正直、お会いする前はすごくドキドキでした。でもいざお話をさせていただくと、すぐにお酒好きの先輩だということがわかり、勝手に親近感を抱いてしまいました(笑)。もちろんすごい方だっていうことはわかっているんですが、お酒好きの方に共通する雰囲気みたいなものがあって、スッと懐に入っていける感じがしたんです。こんなポジティブオーラ全開のビジネスパーソンでいらっしゃりながら、しかもお酒も詳しいなんて、最高(笑)。自分もこうなりたいなっていうのが、初対面の印象でした。

水谷 それはこちらもですよ! 実は私もお酒に感謝しているんです。そこにお酒があるからこそ、初めてでも、世代や仕事のジャンルが違っても、こうやってすぐに仲良くなれるんですから。もちろんお酒の飲みすぎは良くないし、社会的にも節度を守ることが大事ですよね。

でも、つくっている側の想いっていうのは、正しくお酒を酌み交わすことで人と仲良くなれたり、人が笑顔になったり、それこそ世のため、人のために一役担いたいということなんです。ケンチさんとの会話もそうだけど、普段は恥ずかしくて言えないようなことでも、ちょっとお酒を飲んだら大きな夢を語り合えたり、愛を告白できたりするじゃないですか。

LDHのフィロソフィー「Love,Dream&Happiness」もすごく良い言葉で、ダンスや歌と同じように、お酒にも、そういうポジティブなことを引き起こす力があり、本当に素晴らしい物だと思っています。だからケンチさんだけではなくて、LDHのHIROさんや、そのフィロソフィーと共感する部分が大きいんだと思います。ケンチさんはそもそも、どういうきっかけで日本酒を好きになったんですか?

橘ケンチ×水谷徹 お酒談義

Tetsu Mizutani
サントリーホールディングス常務執行役員 コミュニケーションデザイン本部長。1961年東京都生まれ。’83年にサントリー入社。ウイスキー事業部などで要職を歴任した後、2014年にサントリービールの代表取締役社長に就任した。’20年より現職。

 昔はお酒との付き合い方というと、グループみんなでワイワイ盛り上がり、結束力や士気を高めていく感じが多かったんですが、2016年頃、知り合いの方に日本酒のバーに連れて行っていただいて、そこでお料理と日本酒のペアリングを初めて体験したんです。それが衝撃的に美味しくて、え? 日本酒ってこんなに美味しいの!? って、一気に目覚めた感じです。

ちょうどLDHが海外進出を始めた頃で、僕もアジア担当として海外に行かせていただく機会が多かったので、外に出ていろいろな国のことを知れば知るほど、もっと日本のことを知りたいと思うようになったんです。そういうタイミングもあり、日本酒を求めていろんな地域を回ってみたら、多くの発見がありそうだなって考えて、ライヴで地方を回るたびに、そこで延泊して酒蔵めぐりをするようになったんです。

夜に蔵元さんとお酒を飲んだりすると、その地域の魚や肉や野菜が出てきて、お酒を中心に、その地方の魅力を多角的に味わえるのが本当に楽しくて。そうやって日本全国に友達や、応援したい人たちがどんどん増えていって、僕の頭のなかの日本地図が、どんどん上塗りされていきました。

水谷 本当に楽しそうですね。日本酒の業界も今いろいろなチャレンジをされているけど、さらにケンチさんみたいな若い人たちが盛り上げていってくれることは、業界全体の将来を考えるうえで、非常に重要なことなんですよね。私は仕事では日本酒と関わっていませんが、いち酒好きとして、とても頼もしく思っています。

 僕がそうだったように、お酒との良い付き合いって、出会い方が本当に大事だと思うんです。悪い出会い方をしてしまうと、こういう素晴らしい経験もできないし、良くないお酒との付き合いが身についてしまったりします。だから将来的には、僕の活動を通して、EXILEやLDHのファンの方々にも、素敵なお酒との出会いを、いろんな形で提供していけたらいいなと思っています。

橘ケンチ×水谷徹 お酒談義

Kenchi Tachibana
1979年神奈川県生まれ。EXILEのパフォーマー及びEXILE THE SECONDのリーダーを務める傍ら、2016年に日本酒や日本文化の魅力を伝える「SAKE PROJECT」を設立。

水谷 お酒との出会い方って本当に大事ですよね。お酒との出会いが良くないと、世の中にどんなに高品質で素晴らしいお酒があったとしても、お酒に対して良くないイメージを持ちつづけてしまいますよね。日本酒はつくるのに非常に手がかかるし、安定した品質で大量生産することも、遠くへ輸送することも難しいデリケートなお酒。お客様の口に入る瞬間まで、品質にこだわることが本当に大事なんです。でもそれは日本酒に限らず、ビールでもウイスキーでも、お酒全般に言えること。

全国津々浦々の素晴らしいお酒に光を当てて、幅広い世代のファンの皆さんに、良いお酒との良い出会いを提供しようとしてくれているケンチさんの活動は、できる限り応援させていただきたいと思っているんです。

 水谷さんをはじめ、サントリーさんはハイボールブームの火付け役だと思うのですが、ハイボールはどのように売りだされたんですか?

水谷 その時もまさに、“良い出会い方”を提供するために、お店のコンセプトづくりから関わったんです。最初に飲んだハイボールが美味しければ、きっとまた飲みたいと思ってもらえるはず。そうやって良質な出会いの場を設けたら、すぐにブームの波が全国へと広がっていきました。ケンチさんはすでにいろいろなコラボボトルを出しているけど、やっぱり将来的には、自分自身で一からお酒をつくりたいんですか?

 はい。本当に酒蔵をつくりたいという夢があるので、それは絶対に実現したいと思っています。でも、自分のお酒ができたから満足という風には終わらせたくなくて、日本酒文化全体を、もっと言うと、ビールもウイスキーもワインも含め、お酒文化全般を応援するような立場を担っていける存在になれるように、どんどん見識を深めていきたいです。

水谷 「やってみなはれ!」これはサントリーの創業者である鳥井信治郎の言葉で、社員が勇気を持ってチャレンジすることは絶対に応援するというのが、当社が大切にしている創業からの精神であり、行動規範なんです。HIROさんも、後輩が本気でやりたいっていうなら、本気で応援してくれるじゃないですか。その気持ちが一緒なんですよね。だから今すぐにどうこうっていうことじゃなくても、私たちのやっていることは、いつか必ず繋がってくると思いますよ。

 確かに。HIROさんも“NO”がない人なんです。やるからにはちゃんと形にするんだぞって、いつも優しく背中を押してくれます。尊敬する先輩方にやってみなはれと言っていただけるだけでも、ものすごく勇気が湧いてきます。これからもよろしくお願いします!

TEXT=佐野慎悟

PHOTOGRAPH=廣瀬順二

HAIR&MAKE-UP=水野明美

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