「カラダは究極の資本であり、投資先」を唱え、予防医療の普及に力を注ぐ堀江貴文氏と、血液のがんにかかったのを機に、身体についてはもちろん生き方までも見直した岸博幸氏。著書『金を使うならカラダに使え。』『余命10年。』を同時期に刊行したふたりが力説するのは、運動習慣の重要性。その理由とは? 対談2回目。【#1】

「通常より早く退院できたのは体力があったから」岸
岸 昨夏、治療のために入院したんですが、通常だと6週間かかるところ、僕は4週間で退院できました。抗がん剤の副作用もあるにはあったけれど、5日くらいで治まり、わりとすぐに食欲も回復したんですよ。担当医いわく、それは、僕の基礎体力が高かったからだそうです。予防という意味ではもちろんですが、治療という観点でも、体力は大事だなと痛感しました。
堀江 運動の習慣を持つことは非常に大事ですね。僕もほぼ毎日運動していますよ。
岸 やっぱり体を動かすことは必要ですよね。僕も、医師に止められているので格闘技系はできなくなってしまったけれど、今も週2、3日くらい走っています。堀江さんはどんな運動を?
堀江 筋トレとストレッチはほぼ毎日していて、あとゴルフもしますし、冬はスノーボードにも行きますね。でも、周りを見ると、まったく運動しないという人がけっこう多いんですよ。東京オリンピックの開催で運動する機運が高まることを期待したんだけれど、コロナのせいでそうはならなかったし。
岸 「忙しくて運動できない」という人が多いけれど、1日30分程度の時間を確保するのは、それほど難しくないと思うんだけどな。堀江さんみたいに忙しい人でも毎日運動しているわけだから。

1962年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。経済財政政策担当大臣、総務大臣などの政務秘書官を務めた。現在、エイベックス顧問のほか、総合格闘技団体RIZINの運営などにも携わる。著書『余命10年。』を刊行。
堀江 意志が強い人ばかりではありませんからね。
岸 きっと強制的にでも運動する仕組みをつくるのが一番なんでしょうね。実は、そうした取り組みをしている自治体はけっこうあるんですよ。一例をあげると、今年、札幌市は、高齢者に支給していた市内の乗り物用の優待パスを、「敬老健康パス」というのに変える素案をまとめました。歩くとか介護予防活動に参加するとポイントが付与され、それをチャージできるらしいです。財政負担軽減という目的もあってのことのようですが、そんな風に、運動にインセンティブがあると、取り組む人が増えるかもしれませんね。
堀江 運動は続けないと意味がない。だから、楽しんでできる運動を見つけるのがいいと思うんですよね。僕のおすすめはゴルフ。カートに乗らなければ、1ラウンドで10キロくらいは歩きますからね。クラブを振る回数は100回前後で、ほぼ“歩くスポーツ”なんですよ。運動習慣がないと、歩けなくなる。これが一番問題ですから。
岸 皇居が1周約5キロだから、その2倍。それは、いい運動になるな。
堀江 しかも、歩く場所がコンクリートではなく天然芝だから膝を痛める心配も少ないし、でこぼこ道なので体幹も鍛えられます。何より、何歳になってもできる“生涯スポーツ”なのがいい。80代が20代といっしょにプレーできるスポーツなんて、ゴルフかスキーぐらいでしょう。
岸 確かに、野球やサッカーではそうはいきませんね。
堀江 それに、若い世代と交流することは、脳の活性化につながり、認知症予防にもなります。アンチエイジングとしては、ゴルフは最適ですよ。今は昔よりプレーフィーが安くなって、地方なら早朝スルーだと、1ラウンド数千円で回れるゴルフ場がけっこうありますしね。
岸 じゃあ僕も、始めてみようかな(笑)。
「認知症予防には耳や眼のケアも大切」堀江
堀江 脳の活性化という点では、耳や眼も大切ですね。字が見えづらくなったから本を読まないとか、耳が聞こえづらくなったからテレビを見ないという人はけっこういるらしいですが、そうすると脳への刺激も減り、認知症のリスクが高まってしまう。今は、水晶体を人工レンズに変える治療法もあるし、補聴器の性能も良くなっているんだから、そうしたものも積極的に利用した方がいいと思います。

1972年福岡県生まれ。現在はロケットエンジン開発やアプリのプロデュース、会員制オンラインサロン運営などさまざまな分野で活動。『金を使うならカラダに使え。』など著書多数。
岸 補聴器を使わない高齢者って多いんですか?
堀江 けっこう多いんですよ。情報を持っていないのも一因だと思います。こうした不都合な状況はどうにかして変えないといけないんだけど。
岸 その活動も、予防医療普及協会のミッションなわけですね。
堀江 そうですね。ただ、ありきたりなことをしていても変わらないので、いろんなアイデアを出して、試しています。最たるものが糖尿病。糖尿病は、まず血糖値を測って、高ければ薬を服用したり、食生活を改善したりすれば悪化は避けられるはずなんですが、血糖値を測るという“入口”にすら立っていない人がとても多い。どうやったら入口に立ってもらえるかを考えて、僕らがつくったのが『糖尿病の不都合な真実』という映画。糖尿病になると、場合によっては足を切断したり、失明したり、発症から5年以内に半分の人は命を落としますよという、ほぼホラー映画ですね。医学界からは、「人々を怖がらせるようなことをするな」と、叩かれましたが。
岸 怖がらせるというか、リアリティを描いただけですよね。医学界は保守的だから。
堀江 そう、リアリティなんですよ。なのに、それが隠されているというか、広く知らされていないことに憤りを感じます。
※3回目に続く
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