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2024.04.20

「病気も定年も、人生を見直す絶好の機会」余命10年・岸博幸、人生の締め切りの考え方

2023年1月、多発性骨髄腫という血液のがんに罹患していることを知った岸博幸氏。余命10年を告げられた岸氏が、闘病の記録や今後の生き方、日本の未来への提案をつづった著書『余命10年。多発性骨髄腫になって、やめたこと・始めたこと。』の一部を再編集してお届けする。第3回。#1#2#4#5#6 ※順次公開予定

チェスをする年配の男性たち
Unsplash/Vlad Sargu ※写真はイメージ

定年後、少なくとも20年は生きる

病気が判明した時、僕は60歳だった。会社勤めの身であれば、そろそろリタイアの年齢。

法律的には、企業に65歳までの雇用確保が義務づけられ、70歳までの就業機会の確保も努力義務とされているから、実際の定年はまだ先かもしれない。

とはいえ、多くの人が60歳前後で、定年後の人生に思いを馳せることだろう。

その時に立ちはだかるのが、老後のお金の不安である。

日本人の平均寿命は驚くほど延びていて、男性は81歳、女性は87歳(2022年厚労省調べ)。一般的には、定年後少なくとも20年、人によっては30年も生きることになる。

となれば、定年後の生活はどうやって支えていけばいいのか、年金や貯蓄で足りるのかなど、将来が不安になるのは当然のことだろう。

だけど、定年というのは人生のデザインを大きく変えるチャンスでもあるのだから、定年後の人生をいかにハッピーに過ごすかという観点を持つことも忘れないでほしい。

これまでの人生でやりたかったけれどできなかったこと、挑戦したかったこと、興味があること、それを全部やるつもりになってもいいのではないだろうか。

僕が経済的に恵まれているから、そんなことを言っているわけではない。

病気になって以降、体調を考えて仕事の量は減らしているし、またお金よりもやり甲斐重視で仕事をしているので、収入は大きく減った。治療費は正直すごくかかるし、子供たちはまだ中学生と小学生だから、しばらくは教育費もかかる。

でも僕は、家族のためには最低限必要なお金さえ稼げればOKだと考えているし、財産を残す必要もないと考えているので、自分のハッピーを優先するつもりだ。

働き口に困ることはない

ご存じの通り、日本は人口減少と少子高齢化が急速に進んでいて、あらゆる産業、あらゆる地域で人手不足が深刻だ。

2022年10月現在60歳の人口が151万人なのに対して22歳は126万人しかいないし(統計局人口推計)、15年後は、前者が199万人で後者が100万人になると予測されている。

つまり、60歳どころか70歳を超えても、労働力として必要とされるのである。高齢者の力も借りなければ、日本経済が立ち行かなくなるからだ。

だから、会社を定年退職した後も、仕事の選り好みさえしなければ、働き口に困ることはない。

定年前のような収入は無理だとしても、自分自身の楽しみを優先しながら、生活を維持していくのは、不可能ではない。

そこで必要なのは、常に新しい知識やスキルを学び続けて自分自身を進化させる姿勢と、長く働けるように体力と健康を維持することだ。

定年は、僕にとっての病気告知と同様、自分の人生を立ち止まって見つめ、どちらに舵を切るか考える絶好の機会だ。

その時、「今までの仕事や生き方をなるべく変えたくない」とか「生活しないといけないから、仕方なく働き続ける」ではなく、「いかに自分が毎日をハッピーに過ごせるようにするか」「いかに人生をエンジョイできるようにするか」という視点も持ち、残りの人生、悔いなく過ごしてほしい。

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岸博幸『余命10年』
余命10年
多発性骨髄腫になって、やめたこと・始めたこと。

¥1,760/幻冬舎

余命10年と告げられた岸博幸が、治療や入院中の様子をリアルに綴る一方、日本が抱える問題の元凶を分析し、改善策を提案。リタイア世代や子育て中の親世代、若い世代に向けたメッセージも収録。

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TEXT=岸博幸

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