「カラダは究極の資本であり、投資先」を唱え、予防医療の普及に力を注ぐ堀江貴文氏と、血液のがんにかかったのを機に、身体についてはもちろん生き方までも見直した岸博幸氏。著書『金を使うならカラダに使え。』『余命10年』を同時期に刊行したふたり。対談最終回は、生涯現役に欠かせない、頭と精神の健康を保つための策を提案する。【#1】【#2】
「自分が好きなように生きるのが一番」岸
岸 僕は病気になったのを機に、考え方や人生観がかなり変わりました。余命を告げられ、残りあと10年をどう生きるかを考えた時に、「自分が好きなようにやるのが一番いいよね」という結論に達したんです。勝手かもしれないけれど、毎日を自分がハッピーになるため、楽しむために生きようと。もちろん、体力と最低限の財力は意識しながら、ですけど。
堀江 それから、頭はいつまでもクリアでないと。そのためには、睡眠も大事。
岸 確かにそうですね。
堀江 これは以前から言われていることですが、脳に入った情報はいったん海馬に保管され、海馬が長期記憶として残すべきだと判断すると、大脳皮質に送ります。イメージでいうと、その過程で不要なものはゴミとして処理されるわけですが、その掃除がうまくいかないと、ゴミがどんどんたまってしまうんですよ。このゴミが、パーキンソン病やアルツハイマー型認知症の一因とされているんですが、最近、睡眠中に脳波の変化が起こることとゴミ掃除が関係しているとする論文が出ていて。つまり、頭がクリアであり続けるには、睡眠も非常に重要だと。
岸 日本人の睡眠時間は、圧倒的に足りませんからね。
堀江 全然足りていないと思いますよ。あと必要なのは、精神的な健康。
岸 精神的な健康。その言葉、いいですね!
堀江 僕は、好きなことしかやらないし、イヤなことはできるだけ排除しています。ただ、ルーティンばかりだと、やっぱりボケてくるんですよ。
岸 まあ、そうでしょうね。でも、行動経済学的にはまずルーティンを見つけ、それを続けるのが一番大事とされているから、普通は変えづらいんですよね。
堀江 だから、やりやすい環境、仕組みを作ってしまえばいいと思うんですよね。僕がやっているオンライサロンもそうなんですけれど、そこで、「こんなことをやります」と発言したら、やらざるを得なくなる。結果、定期的に新しいことに取り組むことになるんですよね。
岸 なるほど。オンラインサロンが、新しいことにチャレンジするきっかけになっているんですね。
「“思いつく”より“実践”に価値がある」堀江
堀江 オンラインサロンのメンバーが新しい企画を出してくれることもあるんですよ。最初は面倒だなと思うんですけど、やってみると楽しくて。この前、“リアルケイドロ”ってゲームをやったんですけど、けっこうハマりました。いろんなコミュニティを持っておくと、新しい世界に触れられる機会が増えると思いますよ。
岸 少なくても自分が嫌なことをするよりも、新しいことに挑戦する方が、ストレスのレベルは低いでしょうね。聞けば聞くほど、堀江さんの生き方は理想的だな。イヤなことは極力やらない。でも、新しいことには、そういう強制的な仕組みをつくってどんどんチャレンジする。ある意味、人生を楽しむベストな生き方ですよね。
堀江 今の時代は、アイデアを思いつくことより、それを実践することの方が大事。うちのオンラインサロンは、実践の場になっているんです。
岸 自分が思いついたことを実践するというのは大きな成功体験になりますよね。しかも、それを仲間といっしょにできるのなら、”その先“に繋がるはずですし。
堀江 だけど、ぶっ飛んだことをやり過ぎているからなのか、月会費が1万円だからか、けっこう叩かれているんですけどね。アクティブに行動できるんだから、じゅうぶん元は取れると思うんだけど(笑)。
岸 堀江さんの生き方そのものを真似するのは無理でも、少し取り入れるだけでも何かが変わるでしょうね。健康と最低限の財力をベースに、毎日をハッピーに、エンジョイする。個々人がそんな生き方ができれば、低迷し続ける日本が変わるかもしれません。