最先端医療を8年以上取材し、「老化は克服できる」ことを自らの身体で実験し続ける堀江貴文氏。「バーキン買うならカラダに使え」と提言する堀江氏が今、特に伝えたい健康で長生きするためのノウハウとは!? ゲーテの人気連載を書籍化した『金を使うならカラダに使え。 ⽼化のリスクを圧倒的に下げる知識・習慣・考え⽅』の一部を再編集してお届けする。第1回。#2/#3/#4/#5
1回の健診結果に一喜一憂するな
まず、すべての大本(おおもと)となる健康診断について話したい。日本の場合、乳児から大学まで毎年、法律に基づいて健康診断が実施される。就職すると労働安全衛生法により、事業者は健康診断を実施する、労働者は受診する義務がある。
僕は24歳からずっと、定期的に人間ドックを受けている。当時の会社経営のパートナーから「責任ある立場なのだから、身体の健康チェックはしておく方がいい」と言われて納得して。それ以来、体調維持を心がけていて、人間ドックのほかに、クリニックでの専門性の高い血液検査を受けることも多い。
健康診断の結果を良くするために、直前だけ禁酒やダイエットをしたりして、結果の数値に一喜一憂する人がいるが、それはまったく意味がないことだ。僕は数値を通して身体全体の変化を見ている。たとえば何かの数値が少し高かった場合、経年での変化が上向きなのか下降しているのかを見る。それによって自分が注意すべき項目もわかる。1回の検査結果がすべてではない。
僕は、高めになりがちなのは脂肪系の数値だと把握している。基準値より高い数値の項目があった場合は、それに適した薬とかサプリメントなどですぐに調整をして基準内に収まるようにする。これは予防医療の考え方だ。
専門性の高い検査は投資価値あり
一般的な健康診断の項目に含まれない専門性の高い検査も、自分の身体という資産を管理するためには大いに役立つ。「健康のためにこれから何をすべきか、摂るべきか」がわかるからだ。僕も受けたことがあるものを、いくつか挙げてみよう。
男性ホルモンであるテストステロン値の血液検査をした時は、まあまあ数値が高かったので、テストステロンの補充はする必要がないと診断された。同時に男性のアクティビティに関係する亜鉛・ビタミンDも計測したが問題なし。大腸がんに関しては、一般の健康診断で行われるのは便潜血検査だが、僕は自費で大腸内視鏡検査をする。腸の状態が精密にわかるし、ポリープがあればその場で切除し、がん化も防げるからだ。ほかに、食品や化学物質50種以上のアレルギーチェック、遺伝子の酸化度合いなど、気になることを調べられる検査は数多くある。
健康診断や精密検査を受けない、先延ばしにする人は一定数いるが、軽度の段階で治療できるチャンスを逃し、みすみす進行させてしまうことになる。病魔が静かに進行する病気、たとえば糖尿病は血管がダメージを受けるから、気づいたら目が見えなくなっていたり足指が壊死(えし)して切断が必要になっていたり、手遅れとなる状況を招いてしまう。自覚症状がないことは“悪いところがない”ことではない。
検査を受けない背景を考えると、予防に対するインセンティブがないことも一因だろう。海外の例では、健康診断を受けていないと保険適用にならないとか、保険料率を上げるなどのペナルティ設定がある。逆に、健康診断を受けた人は、精密検査が必要になった時には費用が無料になるケースもある。日本でも個人へのインセンティブを与える動きが出てきているとも聞く。
病気と診断される前に健康診断や検査をする。これは絶対に欠かせない健康投資だ。