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2023.03.11

“床オナ”はダメ!? オナニー作法は中学生の性教育で教えるべき!? 男性不妊の真実とは【堀江貴文】

ライフワークとして、最先端医療の取材を研究者たちに続けている実業家堀江貴文「人工冬眠」や「人の意識の機械移植」など、一瞬SFかと見紛うような医療の最前線をまとめた書籍『不老不死の研究』(2022年12月刊)より、一部抜粋してお届けする。第3回は不妊の約50%にあたると言われる男性不妊症について。#1 #2

堀江貴文・短期集中連載「不老不死の研究」

指のOKサインでキンタマのサイズを確認しよう

WHO(世界保健機関)によると、通常の性行為を行なっているにもかかわらず、12カ月以上妊娠が成立しない人を「不妊症」と定義する。読者の中にも、不妊に悩んでいる人がいるかもしれない。健康保険がきかない自費の不妊治療に、莫大な費用を投じている人もいると思う。当然のことながら、不妊の原因が女性にあるとは限らない。不妊の原因は、半分が男性にあることをご存知だろうか。

生殖医療専門医の今井伸医師(聖隷浜松病院リプロダクションセンター長)は、男性不妊の臨床の第一線で活躍されてきた。今井医師は、正しいマスターベーションのやり方、その名も「射精道」を提唱するユニークな研究者でもある。男性不妊症の実態、そして誤ったマスターベーションの弊害に至るまで、今井医師に詳しく話を聞いた。

「2015年の厚生労働省の調査によると、男性の不妊の原因として一番多いのが造精機能障害(全体の8割)でした。何らかの原因によって、精子を作る精巣の機能が低下しているケースです。第2位の性機能障害は、不妊の原因の13.5%にのぼります。20年ほど前まで、性機能障害による不妊はほとんどありませんでした。近年、セックス中に勃起や射精に至らない性機能障害がとても増えています。精子の通り道が詰まっている精路通過障害は、不妊全体の3.9%です」(今井医師)

停留精巣(幼少期のうちに、精巣がおなかから陰囊に下りてこない状態)や精巣捻転(精巣の締めつけやねじれによって血流が途絶え、精巣が壊死に至る現象)、おたふくかぜによって精巣が腫れるなど、不妊の原因はさまざまだ。

鼠径ヘルニア(脱腸)を治療する際に精管をちょっとでも傷つけてしまうと、精路通過障害を引き起こす可能性がある。先天性の疾患によって精路通過障害が起こることもあるし、糖尿病や骨盤内の手術も射精障害の原因になる。

触診、超音波検査、精液検査、ホルモン検査などによって、専門医が慎重に診断を進める。

「受診前にご自分で確認できるポイントもあります。たとえば精巣の大きさです。親指と人指し指で丸を作り、OKサインを出してみてください。指で作ったOKサインよりも精巣のほうが大きければ、精巣のサイズは正常です。精巣のサイズがOKサインの半分以下の場合、染色体異常などの疾患の可能性があります。精巣が極端に小さい方は、専門医を受診して相談してください」(今井医師)

精神的プレッシャーによる“排卵日ED”

精液量は1回の射精当たり1.5㏄以上、濃度は1ミリリットル当たり1500万以上、精子の運動率が40%以上──これがWHOが定める正常値だ。精液量が2㏄以上、精子濃度が4000万以上、精子の運動率が60%以上だと、より妊娠しやすくなる。

疲労やストレス、喫煙、過度の飲酒、肥満、寝不足によって精子の状態は変動するそうだ。精巣は熱に弱いため、長時間サウナに入る習慣がある人は、精子に影響が出ることがある。

「どうしても子どもがほしい人は、女性の排卵日当日にピンポイントでセックスしたがります。『いよいよ今日が勝負の日だよ』と言われれば、誰だってプレッシャーを感じますよね。すると排卵日に限って勃起できない“排卵日ED(勃起不全)”になってしまいかねません。排卵日に緊張して失敗し、妻から冷たい目で見られて文句を言われる。翌月はさらに緊張して、なおさら勃起しなくなる負のスパイラルが起きます」(今井医師)

今井医師によると、不妊に悩むカップルにとって、決戦の日は排卵日だけではないそうだ。精子は女性の体内で5〜7日生存すると言われる。したがって排卵日前の1週間以内にセックスすれば、妊娠する可能性があるのだ。

「敢えてタイミングを計らない、この日と決めつけないことが大事です。もっと大ざっぱに言えば、月経の7日目から2週間以内に、1~2日置きに性交してみてはどうでしょう。そうすれば、月経周期が21~35日である女性の排卵日をカバーできます」(今井医師)

排卵日を計算してカレンダーに印をつけ、「今日はがんばろうね」とプレッシャーをかけ合う必要はない。この事実を知るだけでも、不妊症に悩むカップルはおおいに救われるはずだ。

海外の平均の半分以下。セックスレス日本人

かつてに比べて、日本人は性的にとても淡白になった。70年前の新婚さんは、1週間の平均性交回数が3.9回、子どもは平均で2.6人いた。2日に1回欠かさずセックスを重ね、2~3人の子どもがいたわけだ。ところが今や、日本人のセックスの頻度は年間50回以下まで減った。せいぜい週1回しかセックスしていない計算だ。

「男性不妊の外来をしていると、月の性交頻度が1~2回、しかも排卵日付近に限ってセックスしているカップルが非常に多いのです。射精回数が月1~2回しかない人も珍しくありません。これでは子どもがなかなかできないのも当然です。世界の性交回数の平均は年に103回、つまり週2回、月に8~9回セックスしていることになります。セックスの頻度をこれくらいまで増やしましょう。不妊に悩んでいる人は、そもそもセックスの回数が絶対的に足りないだけかもしれないのです」(今井医師)

「精子の数が少ないと診断されたため、本番の日までなるべく射精しないように我慢して溜めている」「禁欲期間が長ければ長いほど、精子がたくさん出ると思っていた」「人工授精に挑戦しているのでセックスは控えている」。これらはすべて誤解だ。

精子はあとからどんどん作られ、ところてん方式で放出される。だから射精の瞬間まで溜めこむ必要はない。精子の数が少ないのであれば、セックスの回数を重ねてカバーすればいい。排卵日より前の段階で、何も考えずにガンガンセックスすればいいのだ。不妊に悩む人は「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」方式でがんばってほしい。

「中出し」までフィニッシュしない腟内射精障害

いわゆる「中出し」ができない腟内射精障害の男性も多い。原因の大半は、マスターベーションのやり方だというから驚く。

「手を使わないマスターベーションが、腟内射精障害の最大の原因です。シーツや床、畳に陰部をこすりつける通称“床オナ”に慣れてしまうと、腟内で射精に至りません。

“床オナ”は勃起していない状態、または半勃起の状態で射精することが多いのです。グリップ(握り)が強すぎたり、手を速く動かしすぎたり、腟内環境とかけ離れた刺激に慣れすぎるのも良くありません。シャワーの水流でしか射精できない、振動(電動マッサージ)を与えないと射精できない、刺激を始めてから射精するまで20分以上かかる、という人もいます」(今井医師)

腟内射精障害に悩む男性のために、硬く挿入した状態で射精する訓練ができるTENGAが開発された。この商品は、病院で処方箋を書いてもらわなくてもアマゾンなどネットショップで買える。「TENGA フィニッシュトレーニング」とか「TENGA 遅漏」というキーワードで検索するとすぐ見つかる。1個1000円ちょっとだから、これを使って腟内射精障害を克服してほしい。

16カ条の「射精道」

女性とのリアルなセックス経験が乏しく、人間相手にうまく射精できないまま大人になると、20~30代の若さなのにどんどん性欲が低下していく。若いころはセックスしたくてたまらないのが自然なのに、射精する情熱、セックスする情熱が薄れて枯れ果てていくのだ。

「20代の早いうちに成功(性交)体験を積み重ねることが重要です。正しい知識と技術さえあれば、経験不足はいくらでもカバーできます。私は常々『射精は1日にしてならず』と言っているんですよ。意図的な射精は、生来備わっている能力ではありません。後天的に習得していく技術です。小さいころ箸や鉛筆のもち方を習うように、ペニスのもち方と使い方を習う必要があります。地道な訓練を積み重ねなければ、射精をコントロールして妊娠に至ることはできません」(今井医師)

大変ユニークなことに、今井医師は武士道ならぬ16カ条の「射精道」を打ち立てた。ペニスをもって生まれた男性は、思春期のうちに正しいオナニーの作法を習得してほしい。そのうえで、成人を迎えるころ本番で華々しくデビューするのだ。

「妊活には思いやりが大事です。不妊症に悩む男性がよく『医師からセックスのやり方を指示されるのはつらい』『朝からマスターベーションで精液を提出させられるのは苦痛だ』と愚痴をこぼします。不妊治療においては、毎回足を広げて診察を受ける女性のほうが身体的・心理的な負担は圧倒的に大きいのです。男性は、不妊の責任の半分が自分にあることを自覚してください。パートナーとお互いに思いやりの心をもち、協力して不妊症を克服していただきたいと願います」(今井医師)

今井医師のお話をうかがいながら、「射精道」やオナニーの作法は中学生の性教育で教えてもいいのでは、と思った。こういう生々しい話題について、親や先生が触れにくいところもあるだろう。「射精は1日にしてならず」と謳(うた)う「射精道」はとっつきやすい。トレーニング用TENGAの情報など、まずは友だち同士で口コミで伝えていってほしい。

堀江貴文連載「金を使うならカラダに使え!」 不老不死

『不老不死の研究』
¥1,650 幻冬舎
堀江氏が予防医療普及協会理事として、最先端の研究・臨床を行う数多くの医師、専門家に取材を実施。「がん新薬の革命」「テストステロン補充」「心の科学」「見た目をアップデート」など、幅広いテーマで深く濃い情報が詰まった唯一無二の健康本。

 
▼「知っておきたい男性不妊症の予防と対策」を動画で見る▼

TEXT=堀江貴文、予防医療普及協会

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