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2023.01.19

2023W杯男子バスケで司令塔として期待される、ポイントガードを知っているか

バスケットボール男子W杯が2023年8月25日~9月10日に日本(沖縄)、フィリピン(マニラ)、インドネシア(ジャカルタ)の3ヵ国共催で開催される。開催国枠で出場する日本代表の司令塔として活躍が期待されるのが、ポイントガードの河村勇輝(横浜BC)だ。アジア最上位になれば2024年パリ五輪出場権を得られるというビッグイベントが待っている。連載「アスリート・サバイブル」とは……

バスケットボール男子・ポイントガード河村勇輝

Bリーグ・オールスター戦に史上最多得票で最年少出場した河村勇輝

プロ転向から1年足らずで、日本バスケ界の顔になった。河村は2023年1月13日に開催されたBリーグのオールスター戦に史上最多得票で選出され、「B.BLACK」の一員として史上最年少で出場。最終盤に勝負を決定づける3点シュートとフリースローを決めるなど抜群の存在感を示した。17分49秒出場で14得点、5アシスト。W杯イヤーを順調に滑り出している。

例年に増してモシベーションは高い。河村はU-17、'19W杯はアジア選手権で順位条件を満たせずに出場を逃しており、2023年の夏に沖縄のコートに立てば自身初の世界舞台となる。2022年11~12月にはサッカーW杯をテレビ観戦し、日本列島を沸騰させた森保ジャパンの活躍にも刺激を受けた。

「自国開催のW杯はモチベーションになる。まずは日本代表に選ばれて出場することが目標。サッカーW杯を見て、バスケも日本であれぐらい人気が出てほしいと感じた。その意味でも重要な大会。チームの目標はアジア最上位。W杯で結果を残してパリ五輪に出たい」

W杯は各地区の予選を勝ち抜いた17ヵ国(欧州12、米大陸7、アフリカ5、アジア・オセアニア8)が出場。日本(沖縄アリーナ)、マニラの4会場、ジャカルタの1会場が使用される。4ヵ国総当たりの1次リーグを行い、各組上位2位が2次リーグに進出し、4ヵ国で4組を構成。各組上位2位が決勝トーナメントに進む。9~16位、17~32位決定戦も実施。1次リーグの組み合わせ抽選会は4月29日にマニラで開催。日本が競技をする沖縄では1次リーグG、H組とG、H組による2次リーグ、順位決定戦が行われる。

河村は日本が13年ぶりに出場して5戦全敗に終わった’19年W杯はテレビ観戦。当時は高校生で、世界との差を痛感した。「'19年大会は次のW杯に自分が出られると思っていなかったので、一人のファンとして見ていた。世界のレベルは凄く高いと感じましたね。W杯で対戦したいのは、やはり米国。最も強い国と戦ってみたい」。幼少時代からの憧れである米国とのガチンコ勝負を熱望している。

2022年3月に東海大を中退。今季からB1横浜BCプロ契約を結んだ。日本代表デビューとなった7月3日の台湾戦は14分3秒出場で、ともにチーム最多の8アシスト、5スチールを記録。この活躍を機に富樫(千葉J)、テーブス(滋賀)、斎藤(名古屋D)ら、選手層の厚いポイントガードで代表に定着した。

日の丸を背負う前は守備とアシストを重視して、得点を狙う意識が希薄だった。だが、日本代表のトム・ホーバス監督(55歳)から「得点をとれる選手になりなさい」と言われ続け、プレースタイルが変化。リングに対して積極的にアタックするようになった。「パス、アシストを生かすためにもスコア能力は必要」と河村は話す。練習でも3点シュートやフローターなど得点のバリエーションを増やすことに時間を割く。

特別指定選手時代を含めて、Bリーグ4季目の今季はリーグトップの1試合平均9.3アシスト。1試合平均0.6得点は日本人トップで、41スチールも上位に入る(数字は1月16日時点)。持ち味のアシスト、スチールに加え、得点力が大幅アップ。「大学を中退して“バスケでお金を稼がないといけない”“お金を払って見に来てくださる方にプレーで恩返ししないといけない”というマインドになった。いろんな経験をして日々成長できている」と河村。

W杯開幕まで約7ヵ月。’22年の日本代表活動参加を見送ったウィザーズの八村と一緒にプレーした経験はない。NBA組の八村、渡辺(ネッツ)の代表合流はW杯の事前合宿からの見通しで、連係確認の時間は限られる。それでも河村は「塁さんは場数が違うし、僕も外国籍を含めて多くの選手とプレーしてきた。短い時間でアジャストするのは難しいことではないと思う」と強調した。

「W杯では自分の小回りの利くプレー、スチールがどれだけ通用するのか試したい。W杯を経験すれば、世界での自分の立ち位置を確認できる。それを経て、海外挑戦が見えてくるかもしれない。いろいろなことを吸収したい」

沖縄アリーナで新しい景色を体感し、1年後のパリ五輪につなげてほしい。

河村勇輝/Yuki Kawamura
2002年5月2日山口県生まれ。福岡第一高時代に全国選手権2連覇を含む4度日本一を達成。2020年1月に特別指定選手としてBリーグ三遠に加わり、当時のB1最年少出場記録、最年少得点記録を更新した。同年4月に東海大に進学。2020~2021、’21~22年は横浜ビー・コルセアーズの特別指定選手でプレーし、今季からプロ契約。尊敬する人物はイチロー。趣味はサウナで長野県などに日帰りで遠出することもある。1m72cm、68kg。

 
■連載「アスリート・サバイブル」とは……
時代を自らサバイブするアスリートたちは、先の見えない日々のなかでどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。本連載「アスリート・サバイブル」では、スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う。

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連載「アスリート・サバイブル」

時代を自らサバイブするアスリートたちは、先の見えない日々のなかでどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。本連載「アスリート・サバイブル」では、スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う。

TEXT=木本新也

PHOTOGRAPH=松尾/アフロスポーツ

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