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GOLF

2024.04.21

「顔が良くて、打ち損ないが少ない。それこそが、クラブに求められる必要十分条件だ」――中部銀次郎|ゴルフは名言でうまくなる

日本アマで6度の優勝、ゴルフに対するストイックな姿勢や考え方が、様々な人によって書物を通じ世に送り出されたことから、もはや神格化された感のある中部銀次郎さん。しかし、道具であるクラブに関する考え方は極めて現実的なものだった。

中部銀次郎さんの現実的な名言の数々

「クラブは材質で飛ぶものではない」
メタルヘッドをチタンヘッドに替えたからといって、劇的に飛ぶようになるものではない。

「一般的なゴルファーがクラブに鉛を貼って調整するのには否定的だ」
鉛を貼ってどれほど感覚的に変化するかより、その日の体調による感覚の変化の方が大きい。

「飛距離が変わるとすればクラブの長さだけ」
シャフトを長くすれば確かに飛ぶようにはなるが、芯を外すことも曲がることも多くなる。

「クラブのスペックで最も影響が出るのはライ角度」
ライ角度だけは、その人の体格とスウィングによって適正なライ角度というものがある。ライ角度次第でショットは明らかに変わる。

「ミスショットの原因はクラブではなく自分」
ミスショットをクラブのせいにするのはお門違い。自分の技術的あるいは心理的なことが原因である場合がほとんど。

「クラブになじむには時間が掛かるものだ」
クラブを変えたら飛ぶようになったとしても、ドライバーはともかく、アイアンではその飛距離になじんでコントロールできるようになるまでには、結構な経験値を積まなければならない。それまでは、グリーンをオーバーしたりショートしたりで、かえってスコアを崩すものだ。

などなど、クラブに関する名言も多い。これらの名言は銀次郎さんのクラブ観である「人間にクラブを合わせるのではなく、クラブに人間を合わせる」という言葉に通じている。結局はここに尽きるのである。

そして、もうひとつ銀次郎さんの著作から見つけたのが、表題の「顔が良くて、打ち損ないが少ない。それこそが、クラブに求められる必要十分条件だ」という言葉だった。

スコアに結びつかなければ意味がない

前述したように銀次郎さんは、ゴルフに対しては徹底した現実主義者だったため、スコアに結びつかないことであれば意味がないと考えていた。そのため、クラブを買い替えていくら飛ぶようになったとしても、スコアがよくならない、ましてや悪くなるのでは意味がないというわけだ。

ドライバーだけはよく飛んだ方がいいことは銀次郎さんも認めているが、それでもやはり打ち損ないを少なくすることで、平均飛距離が伸びるのを求めていたようであった。

言われてみれば、確かに我ら草ゴルファーのほとんどのショットが「打ち損ない」ではないかと思い当たる。ナイスショットなど1ラウンドに何発あるだろうか。

それは上級者とて同じで、打ち損ないの頻度がアベレージゴルファーとは違うだけだ。つまり、上級者が犯すひどい打ち損ないは10~20%ぐらいなのに対し、アベレージゴルファーのそれは50%以上になってしまうのだ。

打ち損ないが少なくなれば、スコアが好転するのは間違いない。クラブを購入する観点として、「打ち損ないが少ない」ことは重要なファクターなのである。

さて、「人間にクラブを合わせるのではなく、クラブに人間を合わせる」と言われても、パターを除く13本の内に、どうしてもうまく打てる気がしない、構えるとしっくりこない、ミスしそうな不安を感じてしまう、というようなクラブはないだろうか。

例えば、ドライバーはいいのだが、同じメーカーの同じ機種なのにフェァウェイウッドになるとうまく打てないとか、同一機種のアイアンセットなのに、4番アイアンを持つと不安でほとんどミスショットになるなどだ。

さまざまな要因が考えられるが、ひょっとするとクラブに原因があるのかもしれない。他は打てるのに、そのクラブだけはミスをするというのは、そのクラブだけ自分に合っていない、もしくは自分には合わせられないクラブだという可能性がある。

同じメーカーの同じ機種といっても、ドライバーはティアップできるが、フェアウェイウッドは芝の上から打たねばならない。同一機種のアイアンセットといっても、4番アイアンはロフトが立っているため、その人のヘッドスピードではボールが上がりにくいということもある。

こういう場合には、クラブを調整するか、別の物に取り替えるかすることで、問題が解決するかもしれない。フェァウェイウッドは少しヘッドを重くしてボールを上げやすくするとか、4番アイアンはユーティリティに替えるとかだ。こうすることで、「打ち損ない」が減少すれば、無駄なスコアがセーブできるだろう。

一般ゴルファーが参考にしたい、女子プロのクラブセッティング

我ら草ゴルファーには、ヘッドスピードの速い男子プロは参考にならないが、ヘッドスピードが近しい女子プロのクラブセッティングは大いに参考にすべきだ。

最近の女子プロのクラブセッティングで、増えているものと、減っているものがあるという記事を読んだ。以前の女子プロはドライバー・3W・5Wのあと7Wを入れている選手が多かった。ところが最近では、7Wは姿を消し4番のユーティリティが増えているというのだ。

7Wはロフトが21~22度で、4Uのロフトも同じぐらいだが、長さは4Uの方が短い。しかし、飛距離的にはほぼ同じで、女子プロの場合、170~180ヤードといったところだろう。

なぜフェァウェイウッドが減り、ユーティリティが増えているかの理由は、「ラインが出しやすいから」だという。長さが短いことで、ユーティリティなら正確さが高い「ライン出し」が打て、フェァウェイウッドよりコントロールしやすいのだろう。同じ理由で、9番ウッドもほとんど見ることがなくなり、5番のユーティリティに替ってきているようだ。

ショートウッドとユーティリティのどちらを選ぶかは、各人の好みにもよるだろうが、高さを出すにはフェアウェイウッドのほうがいい。一方、アイアンの延長で打てて、ロングアイアンよりはボールが上げやすく、ショートウッドよりは風に強いボールが打てるのがユーティリティだ。

ちなみに、ユーティリティにもウッド型とアイアン型があり、女子プロはウッド型が大半だ。ヘッドスピードが速い男子プロはアイアン型の方が多いようだが、一般ゴルファーは女子プロにならったほうがいいだろう。

私もウッド型ユーティリティ派だ。ショートウッドも試してみたが、確かに高いボールが打て、グリーンが固いときでも直にグリーンに落として止まってくれる利点は感じた。しかし、ラインを出しやすいコントロール性と強風時の有利さは、ユーティリティに分があった。

打ち損ないが多いのは、長いクラブだけではない。アプローチ用のウェッジやサンドウェッジにも同様の考え方が適用できる。ソールの厚さやバウンスの大小、スチールシャフトかカーボンシャフトかなど、自分に合ったものを見つけることができれば、ショートゲームでの打ち損ないも減らせるはずだ。

これらを参考に、打ち損ないの多いクラブを無くすことができれば、それだけでスコアはだいぶよくなるのではないだろうか。まずは、キャディバッグの中のどのクラブが、打ち損ないの多いクラブなのか、チェックしてみてはいかがだろうか。

参考資料:
中部銀次郎『新編・もっと深く、もっと楽しく』日本文化出版、1997年

女子ツアーでは増えていて、男子ツアーでは減ってるクラブってナニ?」ゴルフサプリ編集部、2024年4月4日

 
この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:ゴルフは名言でうまくなる
岡上貞夫

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