放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

「32歳のクリエイターです。最近、アイデアも成果も湿りがちでスランプ状態です。桝本さんはスランプになったとき、どのように克服されてきたのでしょうか? 対処法があれば教えてください」という質問をいただきました。
どんな仕事にもスランプや不振はつきもの。営業職には受注件数、マーケティングにはリード獲得数、人事には採用目標達成率など、つねに指標や数字がついて回るので、「届かない自分」が歯がゆくなりますよね。
約30年、エンタメ界で生きてきた僕も、採用率によって早ければ1ヵ月で「クビ」になる番組会議、3ヵ月ごとに継続・打ち切りがジャッジされる視聴率、生徒の出席率で評価される講師業など、さまざまな数字によって不振やスランプを経験してきました。
そこで今回は、僕が30年のキャリアで見つけ、身につけ、成果につながった、「スランプに陥ったときの仕事の捌きかた」をシェアしていきたいと思います。
スランプにも「パスワード」をつくっておく
不振に陥ったとき、上司はいろいろアドバイスをしてくれますが“他人に背中を押されるよりも、自分で「意味づけ」をしたアクション”のほうが糸口を見つけやすくなります。
また、「サーティワンアイスクリーム」の前で、どのフレーバーにしようか悩んでしまうように、人は選択肢が多いとうまく動けないので“小さく絞って動く”ことに注力しましょう。
僕が観察してきた「一流」と呼ばれる人たちは、この「意味づけをして小さく動く」がとてもうまい。
つまり、スランプになることは誰にでもあるので、あらかじめ「不調になったときにやるべきこと」を設計できているということなのですね。
ちなみに僕は、約15年前から、スランプになったときに使う「パスワード」を設定しています。
そのパスワードとは、「よし、ゴミを漁ろう」です。(まさかコラムで披露するとは思っていなかったのでダサいですが……)
キッカケは、提出するレベルに至らない「ボツ企画」を削除していたとき、「未来の自分なら整えられるかも」と思い立ったこと。
そして、「ゴミ箱」のアイコンを引っくり返すと、良い音が鳴りそうな「ベル」に見えたので、フォルダーのアイコンにしてボツネタを溜めていったのです。

発想に行き詰まったとき、ここをクリックすると、大ヒットは生まれませんが、シングルヒットは生み出せます。
小さなヒットが打てると、やがて蘇生できるので、僕はこの「小さな行動」がスランプの対処法に役立っているのです。
「内なる報酬」に目を向ける
さらに僕は、スランプになったとき用の「ロードマップ」のようなものを持っています。それが、下のイラストです。

僕の周りにいる芸人さんにも、「思うようにネタが作れない」「ウケない」などの不調・不振がやってきますが、彼らには、「その状況すら楽しもう」とする基本姿勢が備わっています。
そんな芸人さんから学び、頭の中でこしらえたのがコレなんです。
スランプに陥ったとき、人は「悲しみ」や「怒り」を覚えますが、喜怒哀楽という四字熟語をよく見ると、「喜び」と「楽しさ」が両サイドから挟み込んでいる。
この「2つの手駒」をうまく使えば、オセロのように中心の2つは引っくり返せるということ。
仕事がうまくいかなくなったときは、このロードマップを頭に広げて、「この状況を楽しもう・喜ぼう」と思考していくのです。
私たちの仕事の報酬は、大きく2つに分類できます。1つは、生きていくための金銭を得ていく「外的な報酬」。
もう1つは、やりがいを仕事から見出し、楽しさや喜びを得ていく「内的な報酬」です。
スランプに陥ったとき、私たちは「周りに再評価されたい!」「周りに自分を認めさせたい!」と、感情が他者に向かいがちになります。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。
しかし、僕の30年間の知見だと、不振に陥ったときこそ「内的な報酬」を心がける。
いまの職業を選んだときのワクワク感、初めて企画が通ったときの達成感などを思い返しつつ、「どうすれば、もっと楽しくできるだろう? 何が喜びだろう?」と、自分の内側に感情を向けていくことも大切なのですね。
スランプには、「習慣」で対応する。その習慣は「小さい行動」でいい。よかったら皆さんも試してみてください。
では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

