PERSON

2026.10.03

70歳・郷ひろみ、典型的な夜型生活から朝型へシフト【連載第9回】

無為な時間を過ごすことのない郷ひろみが、とくに大切にしているのが朝の過ごし方だ。朝時間を重視する真意について語ってもらった。連載「郷辞苑 第9回」 【その他の記事はこちら】

70歳・郷ひろみ、典型的な夜型生活から朝型へシフト【連載第9回】

1日を通じて「何もしない」時間がない

1日を通じて、僕には“何もしていない時間”というのがない。移動中の車や電車の中では読書やパソコンでの執筆をしているし、予定がなくて家にいる時でも、片付けをしたり、何かの資料に目を通したり、何かしらしている。時間を無駄にしたくないという気持ちもあるが、性格的にぼんやりと過ごすのが苦手なのだろう。

特に、朝は忙しい。僕はそれを嫌と思っていない。ルーティンなのだろうが、ルーティンと思っていない。

基本的に、僕は朝6時頃には起き、目覚ましを止めるとすぐにベッドから出る。毎晩ぐっすりと眠れているからか、「もう少し眠っていたい」と思うこともなければ、ベッドの中でだらだら過ごすということもない。

ベッドから出たら、まず歯磨きを済ませる。次に、洗顔など朝のスキンケアを済ませ、神棚のお榊のお水を替え手を合わせる。お仏壇のご先祖様のお水を替え、同じように手を合わせる。それから、愛犬のつぼみちゃんにお水をあげ、漢方薬やサプリメントを服用したら、着替える。休みであっても着替える。

これは、僕にとって活動のスイッチをオンにする儀式のようなもの。1日がスタートしたと心身ともに意識できる気がする。

その日出かける予定がなかったとしても、それらを変えることはない。そうすることが当たり前になっているのだ(本人がルーティンと思っていなくても、これは明らかにルーティンなのだろうが)。

月水金はパーソナルトレーニングを受けているが、これも午前中に済ませてしまう。羅列してみると、我ながら次から次へとやることが多いと思うけれど、何十年も続けているからまったく苦にならない。それどころか、ひとつでもスキップしてしまうと、なんだか落ち着かないくらいだ。

30代半ばから、体は変わり始め無理が利かなくなる

『黄金の60代』にも記したが、僕にとって朝は1日の始まりを準備する時間になっている。睡眠で心身ともにたっぷりと休養をとっているからか、午前中は充足感がみなぎっていて自分の心と身体と向き合うのに最適だ。

特に、その時間帯にコンディションを整えておけば、午後以降の仕事にも万全の状態で臨める。言うなれば、朝起きてすぐに活動のスイッチを入れ、パワーを少しずつ上げ、日中はエネルギー全開の状況をキープし、夜にかけてクールダウンしているのだ。原始の時代、人間は日の出と共に動き始め、日が沈むとともに1日を終えていたと推測されるが、僕の毎日はこれに近いのかもしれない。

もっとも、朝型になったのは30歳を過ぎてからで、それまでは典型的な夜型人間だった。僕が20代の頃の音楽番組は20時や21時スタートの生放送が多く、テレビ局を後にするのが夜中ということも珍しくなかった。

というか、朝型夜型など自身では一切考えていなかった。

しかも当時の僕は、完全なる趣味としてラジオ番組を制作していた。趣味だから公開することはなかったけれど(公開できるほど、クオリティが高かったわけではなかった)、仕事を終えて帰宅してから夢中になって音入れをしたり編集したりしていて、時には、夜が明けてから眠るということすらあったと記憶している。自ずと睡眠時間は少なかったが、それでも多忙な日々を乗り越えられたのは、若さという限りないパワーがあったからに他ならない。

30代半ばといえば、体がそろそろ変わり始める頃。有体に言えば、だんだんと無理が利かなくなり、コンディションの管理が重要になってくる年代だ。何がきっかけで朝型の生活に変えたのかは覚えていないけれど、おそらく僕も、「夜型生活を続けていたら、郷ひろみとしてベストなパフォーマンスができなくなる」と思ったのだろう。

朝型生活になってから約40年、おかげさまで日々絶好のコンディションを維持し、大好きな仕事にも全力で臨めている。エネルギーがみなぎっている若い頃は、夜型生活を楽しむのも良いかもしれない。でも、無理が利かなくなってきたなと感じたら、朝型生活にシフトするサインかもしれない。

すべて終わりがある、と僕は思っている。

大好きな本も終わりがあり、音楽も終わりがあり、映画も終わりがある。でも、終わりがあるのは、始まりがあるから。次のステップへと進む、始まりがある。

朝型にシフトしてみてはどうだろう?

後になって、それは正しいことと気がつくかもしれない。

郷ひろみ/Hiromi Go
1955年福岡県生まれ。1972年NHK大河ドラマ『新・平家物語』で芸能界デビューを果たし、同年8月に『男の子 女の子』で歌手としても活動を開始。以降、『よろしく哀愁』『お嫁サンバ』『言えないよ』『GOLDFINGER'99』など数多くのヒット曲を世に送り出し、日本を代表するポップシンガーとして活躍。デビュー日となる2026年8月1日、70歳初シングル『I’m Neo G』&武道館全70曲完全収録ライブCDをリリース。10月24日・25日に日本武道館公演『Hiromi Go Concert Tour 2026 〜ALL MY LOVE〜THE GRAND FINAL at 日本武道館 』を開催する。著書に『ダディ』『黄金の60代』などがある。

TEXT=村上早苗

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