放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「令和ロマン」「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を輩出した桝本壮志のコラム。

2週にわたってお届けしている「企画の作りかた」。
先週のテーマは、企画を考える前に知っておきたいマインドセット「企画を作る人が忘れている企画」。
アイデアを量産するために、放送作家の僕が実践している「中学校の得意科目で企画を生む方法」を紹介しました。
後半の今週は、さらに得する「企画力を上げるツボ」をシェアしていきたいと思います。
ヒットメーカーの至言「自炊を人に食わすな」
企画を量産できるようになると、アイデアマンとして評価をされはじめますが、ただ生産力を上げるだけではキャリアアップは望めません。
例えば、ギャグを1日に100個作ることのできる芸人であっても、100個ともスベったら売れるのは難しいですよね?
他者に伝わらないアイデアは「ただの自己満足」という烙印を押されてしまうので、企画の作りかたが分かってきたら「届けかた」を意識していかなければならないのです。
ちなみに僕は、『マネーの虎』や『ゴチになります!』などのヒット企画を考えた先輩作家さんに、「自分のやりたいことだけを書いた企画は自炊といっしょ。そんなのを人に食わして、お金をもらっちゃダメだよ」と言われ、そのポイントに気づくことができました。
企画を作るだけで満足なら、自炊のように好きなものを作り、出来ばえをホメて自己完結すればいいのですが、企画を通してブレイクスルーをしたいのなら、採択者を満足させる味つけやレシピを工夫しなければなりません。
僕は後者だったので、試行錯誤をくりかえし、よくやく自分なりの「採用率を上げる企画づくりのレシピ」にたどり着くことができたのです。
では、そのレシピを次のステップで公開してみましょう。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。「令和ロマン」をはじめ、教え子は1万人以上。新著『時間と自信を奪う人とは距離を置く』が絶賛発売中! 桝本壮志へのお悩み相談はコチラまで。
企画は「頭のなかの三角形」で生み出す
僕の場合、企画を考えるときはいつも、頭のなかに置いた「三角形」を意識してフレームを作っています。
その三角形とは、①トレンド、②ニーズ、③主観です。
例えば、以前フジテレビに提出して、いきなりゴールデンタイムのレギュラーになった『クイズやさしいね』という番組で解説してみましょう。
この番組は、従来の知識を問うクイズとは違い「やさしい人だけが解けるクイズ」という切り口でした。
例えば、『Q.東京タワーは、月に一度、下半分だけしかライトアップされなくなります。それはナゼでしょう?』といった問題です。分かりますか?
ちなみに正解は、都会に住んでいる人にも夜空の美しさを感じてもらおうと『満月の日だけライトを半分にする』やさしい配慮なのです。
この企画の着想は、まず「トレンド」から入りました。
当時、エンタメ界の動向を眺めていると、内村光良さんMCの『イッテQ』が高視聴率を連発し、芸人好感度ランキングでは、サンドウィッチマンさん、博多華丸・大吉さん、オードリーさんらが上位に食い込みはじめました。
そして、芥川賞に又吉直樹さんが選ばれたので、「これは、やさしい人の時代が来ているな」と感じたのです。
「トレンド=やさしい人」という一点を見つけたので、次は「ニーズ」を考えていきました。
番組企画における「ニーズ」は、「視聴者が求めていること」なので、どうすれば多くの方々に見てもらえる番組になるか?を考えていきます。
そして「クイズであれば参加してもらえるな」と思いつき、「やさしい」と「クイズ」の二点を結びつけました。

大切なポイントは、ここまでの「トレンド」と「ニーズ」は、社会動向と大衆欲求にアンテナを向けたものであり、自分がやりたいことで作る「自炊」とは大きく異なるということです。
自分ではなく、その他大勢の人たちの「トレンド」と「ニーズ」の二点を押さえたら、ようやく「主観」のお出まし。
つまり自分のスパイスを効かせるのですが、この「主観」はセンスでもあるので個人差はあります。
しかし、三点のうち二点は線になっているので、思考の補助線になってくれます。
僕は「やさしい」と「クイズ」の2つのワードを頭のなかで転がしていくうちに、「やさしい人だけが解けるクイズ」というフレーズが思い浮かび、三角形を完成させたのです。

いかがだったでしょうか? 皆さんの企画作りの一助になったのであれば幸いです。
では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

