FC町田ゼルビア・黒田剛監督の思考に迫る。今回は組織マネジメントについて。【インタビューをすべて読む】

1970年生まれ。大阪体育大学体育学部卒業後、一般企業等を経て、1994年に青森山田高校サッカー部コーチ、翌年、監督に就任。以後、全国高校サッカー選手権大会3度の優勝を含む全国大会7度の優勝。2023年からFC町田ゼルビアの監督に就任し、2023シーズンはJ2優勝、2024シーズンはJ1 3位、2025シーズンは天皇杯優勝を果たす。著書『勝つ、ではなく、負けない。 〜結果を出せず、悩んでいるリーダーへ〜』(幻冬舎)も好評。
「攻めるために守る」であり、「守るために攻める」ではない
――自著のタイトルでもある、「勝つ、ではなく、負けない。」について、改めて教えてください。
「負けない」=「守り切る」と見えるかもしれませんが、そうではなく、「勝つこと」=「守れること」=「負けない」=「勝つこと」。このループが基本的な考え方です。「攻めるために守る」のであって「守るために攻める」訳ではないということです。
言葉というものは経過とともに薄れていくものですが、サッカーという競技の特性上、この概念は私の中で変わることはないと思っています。
ベンチメンバーのモチベーションをどう保っているのか
――以前、黒田監督は「交代選手が入ってもクオリティを落とさない」と話されています。ベンチメンバーのモチベーションや気持ちを切らさないために、どのような取り組みをしていますか。役割の伝え方や声のかけ方を変えていますか。
現実的な話になりますが、ここは「プロ」の世界です。毎日が「競争」で「勝負」で、それが「仕事」です。そこに甘えを持ち込むことは許されません。クラブや選手を全力で応援してくれるファンやサポーターの存在があり、試合を楽しみに観戦している人たちがいる。地域の子どもたちに夢や希望を与え、日々を懸命に生きる人たちに勇気や感動、そして元気を与え、日頃仕事で疲れている人たちのストレス解消の立場でもありたい。これが我々の存在価値です。
だからこそ、いついかなる時も心身ともにプロとして最高の準備を求めるし、プロにはその責任があることを伝えます。厳しい道(職業)を選んだのは自分自身ですから当然のことです。なので、その概念のもと常に全員が意識高く取り組んでいます。その軸がブレていなければ選手は頑張れるものです。「競う」ことは「仕事」です。特別なことではないと思っています。
高校の監督時代から進化したことは
――プロの監督となってから、ご自身が監督業で最も進化したと感じるのはどのような点でしょうか。判断の仕方、選手への接し方、スタッフへの任せ方など、以前との違いが表れた具体的な場面を教えていただけますでしょうか。
高校サッカーを指揮していた頃とは比較しにくいのですが、「進化」という面ではあまり実感はないかもしれません。これまで「やってきたこと」を「プロ仕様に順応させていく」ことが最も重要な作業でしたから。
また選手とスタッフは共に「プロ」なので、そこに対する敬意や配慮は自分自身でも大きくアップデートさせてきた自覚はあります。もちろん現場での難しさはありますし、物事が思い通りに進まずストレスを感じることも多々あります。でも、それも「成長の糧」「やり甲斐」と捉え、切り替えるようにしています。コーチングスタッフは優秀ですし、明るいメンバーが多いので、皆んなで意見を交わしながら有効で充実した時間を過ごしています。
※続く

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