アンダーアーマー30周年の節目に、日本で初開催された「UA COMBINE TOKYO」。GOETHE LOUNGEで募集した読者によるチーム「GOETHE」が参戦し、さまざまなフィジカルテストに挑戦した。結果に一喜一憂しながら、ときに爽快な挫折感を味わつつそれぞれが手にしたのは、次なる“成長への衝動”だった。

自分自身の能力を数値化するパフォーマンステスト
2026年9月26日、東京ビッグサイト南4ホール。招待制で集まったのは、クロスフィット関係者やジム経営者など、約400名の参加者だ。
会場で行われたのは「UA COMBINE」。「COMBINE(コンバイン)」という言葉には、まだ聞き馴染みがないかもしれない。もともとはアメリカ・NFLで、将来有望な選手をスカウティングするために行われる能力測定プログラム「NFL Scouting Combine」を指す言葉だ。
その世界観をオマージュし、アンダーアーマーが主催する「UA COMBINE」は、速さや強さだけでは測れないアスリートとしての総合力を可視化するパフォーマンステスト。海外大会ではトップアマチュアが集結し、自身のスペックを客観視する“計測の場”として盛り上がりを見せている。
ブランド創立30周年を迎えた今年、満を持して日本で初開催された「UA COMBINE TOKYO」では、単なるスピードや筋力だけでなく、以下の6つの能力バランスが測定される。一瞬で加速する「加速力」、状況を判断し正確に動く「認知力」、下半身のバネで一気に跳び上がる「跳躍力」、素早く動き方向を変える「敏捷性」、大きな力を生み出す「筋力」、そして長時間パフォーマンスを維持する「持久力」。

会場には8つの計測ゾーンが用意され、参加者は順番に試技に挑んでいく。
20mスプリント、垂直跳び(ジャンプ測定)、プロアジリティ(切り返し走)、ブレイズポッド(反応測定)、ノルディックカール(ハムストリングスの筋力測定)、ハンドグリップ(最大握力)、スレッドプッシュ(重量押し)、そしてビープテスト(20mシャトルラン)。
各ブースには評価ボードが置かれ、測定数値に応じて自分のレベルが「Excellent」や「Good」、あるいは平均以下なのかが冷徹に可視化されていく仕組みだ。
「周りよりできなかったらどうしよう」──高揚感と緊張が交錯するスタート
今回、GOETHE LOUNGEで募集したメンバーと編集部で結成されたチーム「GOETHE」で「UA COMBINE TOKYO」に挑戦した。GOETHE LOUNGEメンバーは、日頃からランやスイム、バイクをこなすトライアスロンチーム「GLT」の参加者が中心。一方の編集部側は、トレイルランなどを嗜むアクティブ派から、普段はまったく運動をしないメンバーまで、フィジカルレベルはさまざまだ。
「周りより遅かったらどうしよう」という一抹の不安と、自分がどこまで動けるかという戸惑い。そわそわとした独特の空気のなかでテストがスタートした。

「普段から鍛えているし、何とかなるだろう」「種目自体はシンプルに見える」──そんな事前の甘い予想は、試技が進むごとに心地よく覆されていく。
測定される種目はいずれも、誤魔化しの効かないシンプルな動作ばかり。だからこそ、「今の自分はこれくらいしかできないのか」「このレベルなのか」というリアルな能力値が容赦なく突きつけられる。しかし、己のスペックを客観的に理解していく感覚に、チームの集中力はむしろ高まっていった。
「まだ行ける!」スタッフの叫びと、チームの連動が生んだ一踏ん張り
一人で挑んでいれば妥協してしまいそうな場面を支えたのは、会場の熱気とチームの存在だった。待ち時間には「どうしたらもう少し数値が伸びるか」を自然と話し合い、フォームや身体の使い方のコツを共有しながらテストが進んでいく。

さらに競技中、ブースを囲むスタッフたちが「まだ行ける! まだ行ける!」と声を張り上げ、限界間際の背中を押してくれる。自分一人の限界だと思っていたラインが、会場全体のボルテージによって確実に引き上げられていく。
そして最終種目は、8〜14人が一斉に走るビープテスト(20mシャトルラン)。すでに7種目を終え、脚には疲労が溜まっている。しかし、ラウンドを重ねるごとに回復のインターバルは短くなり、ペースは容赦なく上がっていく。
5ラウンド目あたりから、1人、また1人と脱落し始めた。
「思ったよりキツくて、早々に脱落してしまった」
そう話すメンバーも、コース脇から声援を送る。走者が減るほど、会場の視線と声は残った者へと集まっていく。その先には、いい線まで粘る仲間の姿があった。
スタッフが残り秒数を大声で読み上げ、「ラスト! まだ行ける!」と畳みかける。もう間に合わないかもしれない。止まりかけた脚が、それでももう一歩前に出た。一人なら絶対に足を止めていた場面で、最後のひと踏ん張りを引き出したのは、周囲の声とチームの存在だった。

スコア表に突きつけられた己の現在地
全8種目を終え、参加者同士で健闘をたたえ合う。普段は見せない真剣な表情で全力を出し切る姿に、互いに新鮮さを感じながら、会話が弾んだ。
「大声で応援し合いながら挑めたのが楽しかった」「一人ではなく仲間と一緒だったからこそ、終わってみれば最高に濃い時間になった」

手渡されたスコア表には、自分の弱点や課題がリアルな数値として刻まれている。しかし、それを手にした参加者たちの表情は驚くほど晴れやかだった。
「思ったより太ももの筋力が弱かった。これまでの筋トレを見直して、下半身、特に太ももを鍛えて、ロードバイクに活かしたい」「自分の能力の足りない部分を再確認できた。トレーニングの精度を上げ、その時間を捻出するために明日からの仕事の効率をさらに高めたい」

現状を数値として正しく知ったことで、すでに明日からの生活を見据えた前向きな思考が動き始めていた。手に入れたのは単なる筋肉痛ではなく、日常を再加速させるための確かなモチベーションだ。
仕事も、趣味も、トレーニングも。大人がここまで本気になり、己のスペックの低さに苦笑し、仲間の試技に胸を熱くする機会がどれほどあるだろうか。自身の現在地を知り、爽やかな挫折感とともに突き動かされる衝動。
多忙な日々を送るビジネスパーソンにとって、自分の「真のスペック」と向き合う体験こそが、明日への原動力になるはずだ。
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