2026年7月24日、日本サッカー協会は都内で記者会見を開催し、2027年2月までの森保一監督の続投、そしてその後は大岩剛監督が日本代表を引き継ぐと発表した。任期が決まっているオファーは異例中の異例となる。しかも相手は8年間で日本代表を大きく進歩させた監督。森保監督はなぜこの契約を受けたのか。そこには監督の「自己犠牲」とも取れる精神があった。

日本代表の功労者が自己犠牲を厭わず次の世界に残していくもの
日本サッカー協会(JFA)は森保一監督の続投を決めた。ただし、任期は2027年1月〜2月にサウジアラビアで開催されるアジアカップまで。もしも優勝を果たしてもそこで退任となる。
どんなに結果を出しても先はない。現在U-21日本代表を率いている大岩剛監督に引き継ぐことになる。この8年間で日本のFIFAランクを50位以下から17位まで引き上げた功労者に対して出したオファーとしては「失礼」とも言えるものだ。
もちろんJFA側にも都合がある。北中米ワールドカップ後の日本代表が再始動する9月、大岩監督はロス五輪を目ざすU-21日本代表を率いてアジア大会に参加する。また、ロス五輪では参加国の枠が削られて、これまでより厳しい戦いが予想されるため、まだしばらくは準備しなければならないだろう。
それでも森保監督はオファーを受けた。
「これまでどおり与えられた契約期間の中で日本代表の勝利のため、そして日本サッカー発展のため、それが日本のためになるという思いを持って、そして自分がやるべきことに全力を尽くしたいと思っています」
固い表情のままだったが、そう語った。森保監督は人がいいから日本サッカー協会の事情を察して話を受けたのではないか。そう聞かれたとき、表情を一瞬緩めてこう説明した。
「アジアカップでどんな結果を出しても先に繋がらないことでモチベーションが左右されるかどうかと言ったら、全くそういうことはないと思っています。これまでもワールドカップまでが任期としてやらせていただいた中で、結果によってその先につながるか終わるかということではなく、まずはそこで区切りをつけると思っていました」
「4年間の在任期間の中でも、途中で結果が思わしくなければ契約が終わってしまうこともあるこのプロの世界では当然なこと。そういった意味では1回1回の活動、1試合1試合で悔いのないように、自分ができることを出し切っていく。それがつながって任期満了になっているだけです」
宮本恒靖会長は北中米ワールドカップの前、2026年3月には大会までが任期だと森保監督に伝えていた。そして5月には、アジアカップまでの任期延長がある可能性を打診していたとも明かした。
つまり森保監督はワールドカップの成績がどうなろうとも契約延長がないことを知りながら本大会を戦っていた。そしてその中で1試合でも多く勝利を勝ち取るべく、日々過ごしていた。普通ならば精神的に難しい状態だっただろう。
それでも森保監督は日本の未来のために決断した。
「今までも、我々がやっていることが少しでも未来につながる、今の結果にこだわりながらも、未来につながる、未来にバトンタッチしていけると考えてやってきましたし、その考え方を忘れなければ自然と次に繋がっていくと考え、自身も納得して、自分の中で整理をつけて、このアジアカップまでということで引き受けさせていただきました」
これまでも自身の名誉を求めて監督を務めてきたのではない。その思いが今回の受諾という決断に表れている。残り最多で13試合。森保監督の思いはこれからの活動に深く息づいていくことになるだろう。

