放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を2025年M-1決勝に輩出した桝本壮志のコラム。

「46歳のリーダー職です。桝本さんが新刊のなかでふれていた、『ぼる塾の女子会に一人で参加する』に驚きました。私は若手社員との雑談が苦手なのですが、うまくなるコツがあれば教えてください」という相談をいただきました。
若手社員と連帯するには「対話」が一番ですが、リモートワークによる対面の減少、ハラスメントへの危機意識などによって、対話の機会は減るばかり。
とくに、個性やマインドを掴むことのできる「雑談」は、ますます難しいものになっていますよね?
50歳の僕も、年々、若手との雑談機会は減っていますが、それでも月4~5回は、20代・30代の卒業生たちに誘われて、ランチ、女子会、スポーツ観戦などに出かけます。
なかには、「一緒に服を買いに行きましょう」と、ツレ感覚で声を掛けてくる教え子もいるので、雑談力は高いほうだとも思います。
そこで今回は、僕が日頃から意識している、「若手との雑談がうまくなるコツ」を、シェアしていきたいと思います。
雑談と漫才は同じ。「何で包むか?」
「雑談は漫才と同じ」とは言っても、ボケろ・ツッコめという話ではありません。
雑談というのは「“面白いことを言い合うこと”ではなく、“つまらないことでも延々と言い合えること”」のほうが大切なので、まずは「面白いことを言わなければ」という力みを手放してください。
雑談と漫才の共通点は「衣(ころも)」。そう、天ぷらなど揚げ物の、あの衣です。
最近の漫才は、途中からコントに入ることが増えていますが、「男女のデート」「店主と来客」「先生と生徒」などといった定番モノがあり、それをどんな導入(話のはこび)で、どんな切り口(ボケキャラ)で披露するか。つまり、「どういった衣で包むか」が重要になっています。
若手との雑談も、この「衣」が大切です。私たちは、若手と話をするとき、無意識に「威厳を保ちたい」「できる上司に見られたい」という、定番モノの感情が起こります。
しかし、その心持ちのまま雑談をすると、窮屈な会話になったり、煙たい上司になったりするだけ。
どういったキャラで、どのように話をはこぶか、「自分を包む衣のレシピ」に意識を向ける必要があるのです。
では次のステップ。僕が包み分けている「衣」のなかでも、すぐに実践できる「3つのレシピ」をシェアしていきましょう。
桝本流「すぐに身につく3つの衣レシピ」
僕のおススメは以下の3つです。
①キャラ→若手にとってほしい振る舞いを、まず自分が示す。
若手との雑談や対話時に気になるのは、「ハキハキ喋らない」「目を合わせない」「気を遣えない」といった、相手の振る舞いです。
しかし、いちいち引っかかっていたら話は盛り下がる一方なので“若手にとってほしい振る舞いを、まずは自分から示そう”というマインドになってみてください。
「ハキハキ喋ってほしい→自分が快活になる」、「目を見て話してほしい→自分から合わせる」、「気を遣ってほしい→自分から気を配る」。このように、何でも変換可能です。
②話の運び→指導者から質問者になる。
若手との雑談では、つい自分のことを語ってしまいがちですが、雑談はあくまで業務外イベントなので“指導者から質問者になろう”という感覚になってみましょう。
主役を若手にすることで、やがて「上司の威厳」につながる、③のボーナスステージがやってくるのです。
③上司の威厳→あくまで相談のあとにふりかける。
若手の話に傾聴していくと、必ず「どう思います?」という相談のターンが訪れます。
例えば、先日、あまり積極的にネタを披露しなくなった若手芸人と立ち話をしていたときのこと。
①と②のステップを踏んで雑談をしていると、「以前にくらべて自信がなくなっているんです」という相談のタイミングがやって来ました。
そこで僕は、「自信ってなくなるものだよ。でも、試すと増えるんだ。だから、いろんなネタに挑戦してみない?」と、初めて日頃の思いを伝えました。
次の授業日に、彼は久しぶりにネタを披露してくれましたし、こちらへの信頼度が以前より高まったと感じています。
皆さんも、よかったら試してみてください。では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出。
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