MAGAZINE &
SALON MEMBERMAGAZINE &
SALON MEMBER
仕事が楽しければ
人生も愉しい

PERSON

2024.09.21

J1町田がブレない理由とは。黒田剛&藤田晋が語る【まとめ】

FC町田ゼルビア黒田剛監督の著書『勝つ、ではなく、負けない。〜結果を出せず、悩んでいるリーダーへ〜。』が早くも重版決定。チームオーナー藤田晋との対談&著書の一部を再編集した記事をまとめてお届け! ※2024年8、9月掲載記事を再編。

黒田剛【まとめ】

1.なぜ、藤田晋は黒田剛を監督にしたのか?【J1町田大躍進の秘密に迫る】

藤田 黒田さんを2023年のシーズンからゼルビアの監督に抜擢したのは、差別化戦略です。Jクラブでの監督経験者や外国人監督などいろんな選択肢がありました。ただ、オファー可能な監督は、結果が出ていない人が多く、革新的な変化は起こすことができないのではないか。であるならば、未知の魅力に賭けよう、そのほうがよっぽどいい結果を出す可能性が高い、そう判断したんです。

黒田 選んでいただき、ありがとうございます。

藤田 ビジネスは「競争」ですが、サッカーは「超競争」です。誰かが勝ったら誰かが負ける、人気も売り上げも勝っているところが全部持っていき、負けているところが全部取られる、つまりゼロサムですよ。だから絶対に勝たないといけないのですが、他のクラブと同じことをやっていたら意味がないんです。だから違う分野である高校サッカー界から、プロの経験はありませんが“名将”と呼ばれた黒田さんを招聘しました。

前例がない、といえばそれまでですが、これこそが他と違う差別化戦略です。ゼルビアが昇格争いをしていて、わずかな差で昇格を逃したチームだったら別の考え方もあったかもしれません。2022年シーズンの結果は15位。他のクラブと同じようなことをやっていたら飛躍的な結果は出せない。そんな状況下での決断でした。

【続きはこちら】

2.黒田剛監督「何歳からだって挑戦できる。最後の勝負、腹を決めて町田にきた」

黒田 藤田さんに初めてお会いしたのは2022年12月頃です。 フットボールダイレクターの原靖さんと3人でした。

藤田 今だから言えるのですが、黒田さんの監督就任については 外野からネガティブなことを言ってくる人が結構いました。クラブ内からもそういった意見もありました。

共通して言えるのは「高校サッカーしか知らないんじゃないか」というもの。要は狭い世界しか知らない、プロでは通用しないという意見でしたね。でも、実際に黒田さんにお会いして思ったのは都会的で洗練されていた、あるいは視座が高いというか。とても学校の先生だとは思えなかったですよね、普通に東京都港区でよく会っている人って感じでしたね(笑)。とにかく、視点の高さ、知見の広さを強く感じました。

黒田 YouTube やネットでも見ていましたが、藤田さんの印象はIT系の社長の中でも重鎮のお一人です。やっぱり凄く緊張もしましたし、なかなか時間を作るのも大変だということを聞いていました。だから最初にお会いした時に感じたのは、意外にも凄くフランクだったこと。また、話しやすさ、目線を下げてというか、ビジネス色を感じさせないように配慮して気さくに接してくれたということが印象に残っています。

【続きはこちら】

3.藤田晋「黒田剛監督の言語化能力は高い」。その中身、試合前の声かけ術とは

サイバーエージェント社長・藤田晋とFC町田ゼルビア監督・黒田剛

藤田 黒田監督の強さの一つとして高い言語化能力があります。先日も社内で講演をしてもらったのですが、言葉を集めることに苦労されていて1週間ぐらいを費やすそうです。

講演を聞いていてわかったのですが、同じ言葉を言われると辛いですよね。限界まで走った選手が試合に負けて「もっと走れ」と言われたら、もうやってらんないとなるわけです。

黒田監督の場合は話の視点を変えて、言葉を変えて、一人ひとりに伝えていく。言葉を変えて伝えられると改めて頑張ってみようと思う。でも、長いシーズンを通してかける言葉を変えていくのは大変なことです。

黒田 伝えるということは、伝えられる側がどのような言葉をどのタイミングで聞きたいのかを察知した上で「伝える」ということです。

言いたいことを一方的に伝えたり、相手に響かないタイミングでも強引に伝えたりするのは、伝えたことにはなりません。あくまでも「聞く側」の都合が重要だということです。

指導現場では、パフォーマンスを発揮しやすい言葉や、モチベーションが上がりやすい言葉を選択して伝える必要があるということです。なので、こういう言葉をかけてもらったら自分だったら頑張れるなっていう言葉や情報を探し続けることが私の日課なんです。

【続きはこちら】

4.【J1町田・黒田剛×藤田晋】「高い目標や夢を持って頑張るだけでは無理」結果が出ない組織を変えるために必要なこと

黒田 経営の経験の長い藤田さんに具体的に聞いてみたいのですが、結果が出ていないチームや組織を変えるために必要なことは何だとお考えですか?

藤田 例えばですが、サイバーエージェントだと「KKK会議」と呼ばれている「企業価値改革会議」があります。

業績が悪化している関連子会社や部署内の事業をKKK会議に送って、第三者が分析、事業をやめるか、トップを代えるか、存続させるか……いずれにしても何らかの決断を出さないといけません。

ダラダラとやり続けるのが一番最悪です。一度ちゃんと審査して存続という決断ならそれでいいのですが、いずれにしても何か手をつけなければいけません。

ただ、サッカーチームというのは毎週が天王山みたいなものです。あれはキツイですよ。

J1昇格プレーオフの決勝戦(2023年3年12月2日、国立競技場、東京ヴェルディが引き分けてJ1昇格)のような試合であれば誰でも熱弁が振るえると思いますが、毎週のリーグ戦の勝負どころで、その間に天皇杯やカップ戦が入るのにもかかわらず、言葉を変えながら伝えるというのは難易度が高いです。

【続きはこちら】

5.J1町田・黒田剛とサイバーエージェント・藤田晋が語る、“勝負勘・勝負強さ”を上げる方法

藤田 黒田監督とはよく似ているなぁと感じていました。献身性、勝負勘、腹のくくり方などです。根っこがまったく同じで、負けず嫌い。

やっぱり勝つことが非常に大事で、逆に言うとプロセスが大事だとよく言われますが、これも勝ってこそプロセスの意味も出てきます。大体勝つとプロセスも評価されますが、負けると評価されません。

そういったところの腹のくくり方はお互いに似ていますが、手法は全然違いますね。監督も言っていましたが、そもそもサイバーエージェントの経営はリーダーの「献身性」を大事にしているんです。社員がパフォーマンスを上げられるように環境をしっかり整えることが重要です。

社員には自分たちで決めて自分たちで責任を持ってやってもらえればいい。自由と自己責任みたいなのを社員やグループのリーダーに持たせて、その能力を引き出して、結果を上げていくというのが基本スタンスなんです、僕の場合は。一部、Abema TVなどは直接関わっていますが、それ以外は基本的にこのスタイルです。ほぼ口も出さないです。

黒田 私も藤田さんとはよく似てるなと思いますね、言うことも感じていることも。あと、やはり勝負勘の部分でしょうか。

藤田さんは、確か1998年にサイバーエージェントを起業されましたよね。当時、弱冠24歳だったと思います。立ち上げてたった2年でマザーズ(現グロース)上場を果たしています。このスピード感、感覚、感性、それと実行力。実行力に長けていないとここまでの事業をできるわけもなく、そこには巧みな戦術だとか戦略というものがきちっと調和して、初めてそういった結果となって見られると思います。

サッカーも短期決戦で勝負しなければなりません。2年、3年と待っていられない、今この時点で何ができるかを追求していく。

そういった勝負すべきところをのんびりすることなく、1日でも1分1秒でも早く、そこにかけて実践していく気質というか、感覚、思考はすごく似ているなという感じがしますね。

【続きはこちら】

6.スポーツビジネスの未来、鍵は「グローバリゼーション」【町田・黒田剛監督×藤田晋】

黒田 藤田さん、スポーツビジネスの未来をどのように考えていますか。

藤田 やはり「グローバリゼーション」だと思います。世界の市場を視野に入れないと今後のスポーツビジネスでの成長は難しいです。

なかでもサッカーは、みんなが見ているヨーロッパサッカーにお金が集中します。選手の年俸も高くて優秀な選手が世界から集まるという循環になっていて、そこに対抗し得るにはJリーグも世界から見られるようにしなければいけません。

日本でも優秀な選手が代表に選ばれますが、そのほとんどが海外クラブの所属です。海外移籍は普通ですし、外国人選手には外国人枠があって、それには元々の事情があるので簡単には難しいでしょうけど。

イコールフィッティング(条件を統一)しない状況で、Jリーグはアジアを代表するリーグにすると言っていますが、市場を大きくするような工夫がリーグ側に必要です。

【続きはこちら】

7.藤田晋「日本代表監督候補に、黒田剛の名前が挙がる日を待ち望んでいます」

藤田 ゼルビアの今後や未来について、どういったものを築いていきたいですか。

黒田 J1はJ2より数倍過酷なリーグ戦です。それは承知の上で、また私にとっても初めてのリーグということで、新たなチャレンジとなります。もちろん不安もありますが、ワクワクする気持ちの方が正直強いです。

2023年の1年間は戦うためのベースづくりの時期でした。ある意味どこのチームよりも細かく選手たちに原理原則などを落とし込んできたし、J1でこのベースがなくなってまったく違うことをするということはなく、継続していきます。

戦う意味でのメンタリティをしっかりとベースにした上で、クオリティの高い選手を入れたり、さらにテクニカルに、またはスピーディーに攻守の切り替えを激しく、球際もさらに強く......というふうにすべての部分でグレードを1段階、2段階と上げていく。そして、J1でも手強いチームへと進化させていく。自分の中でも具体的なイメージをしっかりと持って、準備を着実に進めていきたいですね。

【続きはこちら】

8.J1町田・黒田剛監督「プロの世界は“結果”がすべて。どんな雑音にも惑わされない」

2024年シーズンは、クラブにとっても私にとっても、J1リーグ初挑戦となりました。

まだリーグは日程を半分消化したところですが(執筆時)、後半戦に向けて身の引き締まる思いです。そして、J1リーグ初参戦での首位ターン(Jリーグ史上初の記録)には、正直驚いています。当初掲げた目標に向けて日々奮闘していますが、選手たちが誠実に課題と向き合い、向上心を持って必死に取り組んでくれている成果だと感じています。

J1リーグは、どこのチームも選手一人ひとりのスキルアベレージが高く、いつも厳しい試合を強いられていますが、昨年(2023年)から取り組んでいるFC町田ゼルビアのチームコンセプトが高いレベルでも通用していると実感できたことが一番の収穫だと思っています。

我々がJ1リーグに初参戦するにあたって最初に掲げた目標は、5位以内、勝ち点70以上です。

この目標については今の時点で変わることはありませんが、もし第30節くらいまで現在の首位圏内を維持できていたなら、改めてさらに高い目標を設定することもあるかもしれません。今はそれに向けて頑張っていくしかありません。

【続きはこちら】

9.「学校でも、会社でも、プロでも…組織は同じ感覚になることが重要」J1町田・黒田監督のマネジメント論

セットプレーについてはいろいろな見方があるかもしれません。

サッカーというのは限られた時間内に得点を取り合う競技です。ましてやプロであれば勝負事に妥協など一切ありません。そんななかで我々にとってセットプレー(ロングスローを含め)は絶対的な武器となっています。

これは攻守において世界でも重要視されていますし、リスタートコーチを置いているクラブも多くあるくらいですので、勝負の明暗を分けると言っても過言ではないほど重要なものと捉えています。

自分たちの意図するサッカーを志向するのもサッカー、相手に意図するサッカーをさせないのもサッカー、様々な考え方や戦術、戦略があるからサッカーは面白いのです。

【続きはこちら】

TEXT=ゲーテ編集部

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2024年10月号

人生を変える最強レッスン

GOETHE2024年10月号カバー

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2024年10月号

人生を変える最強レッスン

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ10月号』が2024年8月23日に発売となる。今回の特集は“人生を変える最強レッスン”。日常を鮮やかに彩る“大人の手習い”を紹介。表紙を飾るのは稲葉浩志。20Pにわたるボリュームで、彼が作りあげる作品の魅力に迫る。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる