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2024.08.31

J1町田・黒田剛とサイバーエージェント・藤田晋が語る、”勝負勘・勝負強さ”を上げる方法

青森山田高校サッカー部の名将・黒田剛がプロへ。たった1年で前年15位だったFC町田ゼルビアをJ2優勝へ、さらに、2024年はJ1で大躍進中。Jリーグ参戦後初、黒田剛監督待望の書き下ろし『勝つ、ではなく、負けない。 〜結果を出せず、悩んでいるリーダーへ〜。』の一部を再編集してお届けする。第5回。

勝負すべきところは1分1秒でも早く

藤田 黒田監督とはよく似ているなぁと感じていました。献身性、勝負勘、腹のくくり方などです。根っこがまったく同じで、負けず嫌い。

やっぱり勝つことが非常に大事で、逆に言うとプロセスが大事だとよく言われますが、これも勝ってこそプロセスの意味も出てきます。大体勝つとプロセスも評価されますが、負けると評価されません。

そういったところの腹のくくり方はお互いに似ていますが、手法は全然違いますね。監督も言っていましたが、そもそもサイバーエージェントの経営はリーダーの「献身性」を大事にしているんです。社員がパフォーマンスを上げられるように環境をしっかり整えることが重要です。

社員には自分たちで決めて自分たちで責任を持ってやってもらえればいい。自由と自己責任みたいなのを社員やグループのリーダーに持たせて、その能力を引き出して、結果を上げていくというのが基本スタンスなんです、僕の場合は。一部、Abema TVなどは直接関わっていますが、それ以外は基本的にこのスタイルです。ほぼ口も出さないです。

黒田 私も藤田さんとはよく似てるなと思いますね、言うことも感じていることも。あと、やはり勝負勘の部分でしょうか。

藤田さんは、確か1998年にサイバーエージェントを起業されましたよね。当時、弱冠24歳だったと思います。立ち上げてたった2年でマザーズ(現グロース)上場を果たしています。このスピード感、感覚、感性、それと実行力。実行力に長けていないとここまでの事業をできるわけもなく、そこには巧みな戦術だとか戦略というものがきちっと調和して、初めてそういった結果となって見られると思います。

サッカーも短期決戦で勝負しなければなりません。2年、3年と待っていられない、今この時点で何ができるかを追求していく。

そういった勝負すべきところをのんびりすることなく、1日でも1分1秒でも早く、そこにかけて実践していく気質というか、感覚、思考はすごく似ているなという感じがしますね。

大きい組織か小さい組織かは関係なく、その感覚がなければ組織は動かせない。やはり、似ていますね(笑)。

藤田 逆に、黒田監督と違う点は、黒田監督は細部まで指示を出すというところでしょうか。サッカーチームを直接率いていると、細かいプレーにもしっかりと駄目なところを伝えないと選手もわからない部分があると思います。任せますとか言っている場合じゃないので、立ち位置が全然違うと思います。

黒田 いやいや恐縮です。もう、持っているものが違いますからね。かたやIT系の社長で、私はパソコンで指2本しか使えませんから(笑)。

藤田さんから、学ぶべき点は本当に多いです。何でも迅速に動けるフットワークは凄い。

時間がない多忙な状況にありながら、ゼルビアの試合にくるところをはじめ、様々な子会社に対しても同じことをされているのではないかと推測します。

藤田 ホームの町田GIONスタジアムへ行くと「本当に忙しいのに町田に来てくれて嬉しい」と言われるのですが、ゼルビアの試合を見ることが、僕の2023年の最大の娯楽でした(笑)。仕事だからやむを得ず行ってるわけではなかったのです。

でも、やはり監督もおっしゃっていましたが、勝負勘や勝負強さみたいなのは僕も割と褒められるところではあります。非常に重要ですよね、勘の良さは。

黒田さんのセンスの良さはよく感じるところですが、サッカーの試合でも僕がちょっと気になるところを先に手を打ってきます。

黒田 毎週サッカーを見ていて、勝った時とか負けた時とかで気持ちや感情は結構変わりませんか?

藤田 かなり感情の上げ下げが抑えられなくなって、負けると相当凹みますね(笑)。おそらく僕だけでなく選手やスタッフ、監督も負けると相当不安になると思います。

次また負けるのではと気になってきます。そうすると、転げ落ちていく良くない未来を想像してしまう。逆に勝つと本当に凄い強気になって「J1確実でしょ」となるのですが、もちろんそういった感情は抑えないといけない立場にあります。監督はそういった感情のコントロールを常にやっているんだろうなと感じていますね。

あちこちで話していることですが僕は競馬や麻雀が大好きです。でも、今はサッカーが一番面白いですね。世界中の人々が熱狂するだけはあるなと思っています。

サッカーのプレー経験はないのですが、2006年に現在の東京ヴェルディのフロントに入って経営に携わってから、結構のめり込んでいった感じです。あの頃はIT系の企業がプロ野球の球団などスポーツクラブを持つのがブームのようなところがありました。その流れに乗った部分もありましたね。

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TEXT=上野直彦

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