青森山田高校サッカー部の名将・黒田剛がプロへ。たった1年で前年15位だったFC町田ゼルビアをJ2優勝へ、さらに、2024年はJ1で大躍進中。Jリーグ参戦後初、黒田剛監督待望の書き下ろし『勝つ、ではなく、負けない。 〜結果を出せず、悩んでいるリーダーへ〜。』の一部を再編集してお届けする。第4回。
ダラダラとやり続けるのが一番最悪
黒田 経営の経験の長い藤田さんに具体的に聞いてみたいのですが、結果が出ていないチームや組織を変えるために必要なことは何だとお考えですか?
藤田 例えばですが、サイバーエージェントだと「KKK会議」と呼ばれている「企業価値改革会議」があります。
業績が悪化している関連子会社や部署内の事業をKKK会議に送って、第三者が分析、事業をやめるか、トップを代えるか、存続させるか……いずれにしても何らかの決断を出さないといけません。
ダラダラとやり続けるのが一番最悪です。一度ちゃんと審査して存続という決断ならそれでいいのですが、いずれにしても何か手をつけなければいけません。
ただ、サッカーチームというのは毎週が天王山みたいなものです。あれはキツイですよ。
J1昇格プレーオフの決勝戦(2023年3年12月2日、国立競技場、東京ヴェルディが引き分けてJ1昇格)のような試合であれば誰でも熱弁が振るえると思いますが、毎週のリーグ戦の勝負どころで、その間に天皇杯やカップ戦が入るのにもかかわらず、言葉を変えながら伝えるというのは難易度が高いです。
黒田 私から藤田さんへ問い合わせることはほとんどなかったです。
チームのことになるとフットボールダイレクターの原さんがいるので、彼の立場、責任、プライド、または彼の面目などいろいろなものを立てなければいけません。
この関係性の秩序を乱すということは絶対にしてはいけないと思っています。藤田さんへの連絡は、誕生日に「おめでとうございます」とメッセージを送るとか、それくらいですかね。
藤田 お金がかかる時に原さんからは連絡がきますけど(笑)。
それ以外はやはり専門性をちゃんとリスペクトしているのでお互いに余計な口を出さないようにしています。試合に負けた時とか特に会わず、監督も会いたくないかなとか気を遣ってサッといなくなるようにしてますね。
Z世代の感情のコントロール法とは
黒田 ところで私が日頃から常に意識しているのは「感情」をコントロールすること。いくつかある感情の中でも特に「悲劇感」は、人の心や行動を強く動かす大きな要素です。
藤田 僕も「悲劇感」のコントロールというのは、よくわかります。
僕自身は凄く大きな夢を持って頑張ってきたと周りからも思われていますが、それは全然逆なんです。下から火であぶられるように頑張り続けてきたところがあるんです。
すでにたくさんの人を採用してしまっているので、やるしかないみたいな感じで、やらなかった時の怖さを原動力にしてきたところがあります。人は高い目標や夢を持って頑張るというだけでは無理ではないでしょうか。
特にZ世代で括るなら、夢のある世界というのは今の日本では少ないので、感情のコントロールという手法は単純に正解だと思います。