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2023.10.19

スタジオジブリ、その圧倒的ブランド力の秘密に迫る【まとめ】

ジブリの圧倒的なブランドパワーと、その類い稀なる創造性の核心に迫る、ジブリの頭脳・鈴木敏夫プロデューサーのインタビュー記事をまとめてお届け! ※2023年9月掲載記事を再編。掲載されている情報等はGOETHE2006年10月号発売当時の内容。【特集 レジェンドたちの仕事術】

ジブリまとめ

1.「宮崎駿の作品は売れない」スタジオジブリの歴史

もはや同義語ともいえる「宮崎駿」と「スタジオジブリ」。かたや妥協なき制作の希求に応え、かたや天才の創造を支えてきた、その共闘の歴史と互いの関係性をここで総括してみよう。

サハラ砂漠に吹く熱風――。

その名の由来とおり、日本の、いや世界の映像エンターテインメント界に熱い風を送り続けてきた、我が国で最も有名なアニメーション制作会社・スタジオジブリ。

日経BPコンサルティングの市場調査による「2006年に消費者から最も評価されているブランド」として、トヨタや前年トップだったソニーを抑えて堂々1位の座に輝き、もはや生業だけに留まらないネームブランドの王として、その名を大きく世に轟かせている。

一般的には「ジブリ=宮崎駿監督のアニメーション映画」と同義語になっている部分があるかもしれない。

もちろん『火垂るの墓』(1988年)『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)の高畑勲監督や、『猫の恩返し』(2002年)の森田宏幸監督など、いろいろな作家の作品も創り上げてきているが、わりあいと多くの人は同社に対し、宮崎駿監督を後ろ支えする“夢の工房”という漠然としたイメージで捉えている。

あるいはトトロやジジのグッズなど、キャラクター商品や版権ビジネスを中心とし、アニメーション制作はその一部だと考えている人も意外に少なくないのだ。

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2.ディズニー、スターウォーズと比較されるジブリが“夢の工房”であり続ける理由

作品が良くなければ、どんなに言葉で飾っても観る者の胸には響かない――。ジブリが“夢の工房”であり続けるのは、アニメーションに対する尊敬と誇りがそこにあるからだ。

2005年の5月、ジブリは徳間書店から独立し、鈴木敏夫を代表取締役社長とする現在の「株式会社スタジオジブリ」となる。

その独立後のジブリが初めて世に出すのが、『ゲド戦記』なのは言をまたない。宮崎駿の子息•宮崎吾朗が初監督をする本作は、ジブリの方向性を占ううえで重要視された。

アニメーションスタジオがこれほどまでの大きなステイタスを得た点において、スタジオジブリはよく『リトル・マーメイド』『アラジン』のウォルト・ディズニー・カンパニーと比較されることが多い。

両者とも映画を母体にし、その規模は別にしてもジブリ美術館とディズニーランドはテーマパークという部分で共通視され、キャラクター商売という側面でトトロは、ミッキーマウスに比肩されるかもしれない。

しかしディズニーは本来主軸だったアニメーション映画の制作が先細りとなり、現在はテーマパークとメディア・ネットワークという部分で企業維持を図っている点でジブリとはニュアンスが微妙に異なってきている。

むしろ近い運営スタイルにあるのはルーカス・フィルムだろう。

マーチャン・ダイジングやキャラクター商品による収益も大きく得ている同社だが、基本的には『スター・ウォーズ』などジョージ・ルーカス監督の映画を制作することを主としている。ジブリが宮崎駿監督作品を中心に作り上げてきたように、そのサポート体制も極めて近い。

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3.「ジブリはもう衰退期なんです」プロデューサー鈴木敏夫の真意とは

ジブリ映画を観たことのない日本人は、いまやいないのかもしれない。

映画館やテレビ、時にはニュースでその名を耳にし、多くの人が“一番好きなジブリ作品”を語ることができる。

しかし作品や名前は知られていても、会社としてのジブリはというと実はほとんど知られていないだろう。たった130人程の社員しかいないことも、彼らの企業経営に対する驚くべきポリシーも。

そのすべてを知る男、プロデューサーであり社長である鈴木敏夫を直撃した。

「スタジオジブリの名前を前面に出したのは、創立から13年も経った1997年、『もののけ姫』の時。

もともと僕と宮崎駿はジブリを作る時、“会社というのは、ある企画を実現させるために作るものだ”と考えていたんです。だから、映画の企画があるうちは会社をやろう、それがなくなったらやめよう、と。

当時アニメ制作会社というのは普通、作品一作ごとにスタッフを集めて完成したら解散というやり方をとっていたのがほとんどでした。会社にとっては非常に都合がいいけれど、そのために弊害も出てきた。

一番の問題は人が育たないこと、そして彼らが受け取る報酬があまりにも少ないこと。

そこで『魔女の宅急便』が終わった後、会社を社員制にしました。ところが『もののけ姫』のときに宮崎駿が55歳になり、全国キャンペーンで日本中を飛びまわったりものすごい数のインタビューをこなしたりする監督の名前に頼った宣伝は、今後難しくなるのではなかろうかと。

その困難さを思った時に決めたんです。やっぱり会社の名前を売り出そう、それに頼ろう、とね」

ジブリの名は『天空の城ラピュタ』や『魔女の宅急便』の新聞広告などにもまったく書かれていない。

今でこそ、“スタジオジブリ最新作”としてコピーやビジュアルが公開日に向けて次々と段階的に変化していくことで有名なジブリの新聞広告だが、当時ジブリの名はコアなファンのみが知るものだった。

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4.なぜ、ジブリは一流企業を惹きつけるのか

スタジオジブリはいうまでもなくアニメーション制作スタジオであり、利益の主となるのは基本的に劇場用長編アニメーション作品だ。供給のスケジュールは約2年に1本、宮崎駿作品と他の監督作品を交互に公開するという制作のローテーションが組まれている。

映画は劇場公開における興行利益を「一次収益」と言い、TVの放映権やBSやケーブル放送などのペイTV 、そしてDVDなどビデオパッケージ・メディアでの販売による収益に、キャラクター商品で得られる収益をあわせて「ニ次収益」と言う。

日本映画はこの一次収益だけでは基本的には利益が出せず、二次収益を含めて収支をプラスにしていることが多い。だがジブリは現在、一次収益の段階で制作費をペイし、黒字を生みだしてしまう日本で数少ない映画会社なのである。

このため、作品制作のため出資をお願いしに企業めぐりを繰り返すといったことを必要としていない。同時にこのことは出資者からの作品内容に対する口出しを避けられるという作品制作の上でもプラスに働いている。

出資のほかにも、映画の宣伝のうえで「特別協賛」という形で企業とタイアップを組むが、これも特殊な方法で行っている。

通常、協賛とは作品の宣伝を望む映画会社側かキャラクターを借りたい企業側、どちらかがその対価を支払うのだが、ジブリの場合、企業との間でのお金のやり取りは発生させていない。

ジブリの企業イメージは「自然」を想起させ消費者に与える印象が極めて良いこともあり、特別協賛を望む企業は少なくないが、映画に共感し本当に応援してくれる企業としか組まないジブリの姿勢は一貫しており、キャラクターの使用や宣伝方法などについてはジブリの意向を大きく汲んでの内容となる。

映画作品の二次収益に関しては、その作品が得た一次収入以上の利益が期待できる。

ちなみに『千と千尋の神隠し』のDVDの出荷枚数は300万本を越えるミリオンセラーで、これは映画のみならずDVDソフトとしてリリースされたタイトルの国内最高記録だ。

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5.トトロに続編!? スタジオジブリの秘密3選

短編映画『めいとこねこバス』

1.タイトルに隠された「の」と「ほ」の秘密

宮崎監督作品のタイトルは『天空の城ラピュタ』、『となりのトトロ』など必ず「の」の字がついている。

『もののけ姫』の大ヒットは「の」が2個も入っているからだと噂されたことも。

ちなみに高畑作品には「ほ」がついている。

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TEXT=尾崎一男

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