放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、「エバース」「ヨネダ2000」をはじめ、多くの教え子を2025年M-1決勝に輩出した桝本壮志のコラム。

「ダイアンの津田さん、バナナマンの日村さんなど、コンビでネタを書いていないほうの芸人さんが、実は、スゴい才能の持ち主だったりすることが多いと感じます。一体なぜなのでしょうか?」という質問をいただきました。
たしかに、くだんの2人をはじめ、千鳥のノブさん、オードリーの春日さん、ハライチの澤部さん、東京03の角田さんなど、メインのネタ作成者ではない芸人さんが大活躍をされています。
僕の教え子も、EXIT兼近、ぼる塾の3人、コットンのきょん、令和ロマンのケムリなど、「ネタ書きじゃないほう」も、才能を活かして仕事の幅を広げています。
一体、なぜそれが起こるのか? ネタ担当の芸人は、どうやって才能を見抜き、パートナーに選んだのか?
そこを紐解いていくと、私たちビジネスパーソンにも応用できる、「仕事上で優れたパートナーと出会うコツ」が分かってくるのです。
では、今回もゆっくりシェアしていきましょう。
職場では「マッチングアプリ思考」を手放す
まず、仕事上で優れたパートナーと出会うことは有益です。良きメンターと出会えば、安定した職域とメンタルが手に入りますし、優れたビジネスパートナーと組めば、業績やキャリアもアップしてゆくからです。
しかし、「優れたビジネスパートナーとの出会いかた」は、誰も教えてくれません。
吉本NSCでも、毎年1000人以上の同期芸人が入ってくるので、最良の相方探しに四苦八苦しています。
そういった生徒たちに、僕はまず「マッチングアプリ思考を手放そう」と伝えています。
なぜなら、ここ5年で、多くの若手が「良い人と出会う=マッチング度の高さが大切」というムーブになっているからです。
言わずもがな、恋愛アプリは、趣味などの共通点の多いパートナーを探したり、オススメされたりします。
しかし、職場における最良のパートナーは別もの。性格が違ったり、興味の矛先が違ったり、怒りの発火点が違ったり、「共通点が少ない人」のほうがブレイクスルーにつながりやすくなるのです。
例えば、スポーツが好きな男女がくっつくと楽しい時間が過ごせますが、ビジネスでは、スポーツ好きと読書好きがくっついたほうが企画の幅は広がります。
また、おしゃべりな2人よりも、おしゃべり×無口のほうが商談をまとめやすくなったり、イケイケの2人よりも、イケイケ×のんびり屋のほうが確実性や品質を高められたりするのです。
仕事における優れたパートナーと出会うためには、性格や趣味は違うけど、「自分が踏み込めなさそうな領域に行けそうな人」とマッチングしてみる。
ウマが合う人よりも、ソリが合わなそうな人との「ソリの違い」を楽しんでいく思考が大切だと僕は考えています。
「じゃないほう芸人」の正体は「私じゃできないほう芸人」
勘のいい皆さんなら、もうお分かりでしょう。
ネタ作成者ではない芸人さんが活躍されている背景には、この「ソリの違いを楽しむパートナー探し」があるのです。
僕も芸人時代はネタ書き担当でしたが、ネタ作成者は、ゆずれない笑いや世界観があり、漫才やコント中に演じるキャラを、日常でも試したり演じたりする傾向があります。
すると、芸風は確立されていきますが、おのずとカバーできない領域が生まれます。
例えば、テンションが低めの芸風だと、ひな壇に座る集団トークでは前に出づらくなりますし、毒を吐く芸風だと、子供と絡むロケでは持ち味を出しづらくなったりするのです。
売れていくコンビのネタ担当は、その辺りの自己分析やスクリーニング力に長けているので、NSCなどの養成所で出会うにしろ、学校の同級生だったにしろ、「自分ではカバーできないことをカバーしてくれる人」を、最良のパートナーとして選んでいる。
つまり、ネタ書きから見た相方、「じゃないほう芸人」の正体は、「私じゃできないほう芸人」とも言えるのです。
やりたい笑いを最大限に具現化してくれる「私じゃできないほう芸人」は、コミュニケーション能力が高い人が多いので、交友も人脈も広がりますし、音楽が好き、アニメが好き、スイーツが好きなど、興味のアンテナを四方に張れる人も多いので、どんどん仕事の幅も広がっていく。
これが、彼らが大活躍しているヒミツであり、最良のビジネスパートナーと出会うときの学びにもなるんですね。
では、また来週、別のテーマでお逢いしましょう。

1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2024年M-1決勝に輩出。
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