80'sサウンドをルーツに持ちながら、邦楽と洋楽の垣根を超えていく4人組ロックバンドI Don't Like Mondays.のボーカルYU。日本や海外での音楽活動やそのファッションセンスが多方面から注目を集め、唯一無二の存在感を放つ彼の連載「大川放送局」の記事をまとめてお届け! ※2023年2月〜2024年4月掲載記事を再編。
- 1.アニメ『ONE PIECE』の主題歌を歌う、I Don't Like Mondays. YUの新連載スタート。「大川放送局」とは?
- 2.【YU】イヴ・サンローランの価値観を180度変えたモロッコに呼ばれ、旅に出た
- 3.【YU】アラビア語で「死者たちの広場」!? マラケシュの中心、ジャマ・エル・フナ広場で目にした驚きの光景とは?
- 4.【YU】純粋無垢な小さな生命体を目の前にしたとき、自分の無力さと不甲斐なさを感じた
- 5.【YU】音楽生成AIは驚異ではない? むしろ感謝すべきワケとは
- 6.【YU】スマホを忘れただけなのに……忘れられない奇妙な一日とは
- 7.【YU】人との出会いは偶然ではなく、天文学的確率で我々は誰かと出会っている
- 8.「お前の黒目は本来あるべき場所にいない」YUが言われてショックを受けたこと
- 9.Snow Man「LOVE TRIGGER」が、発売2日でミリオンを達成。裏話をプロデューサー・YUが語る「9人の新たな一面を!」
- 10.モロッコ、ニューヨーク、京都…人気ミュージシャンが泊まる5つ星ホテル6選
- 11.YU「あなたにとって、贅沢とはなんですか?」【連載最終回】
1.アニメ『ONE PIECE』の主題歌を歌う、I Don't Like Mondays. YUの新連載スタート。「大川放送局」とは?
何年か前、田舎に住むばあちゃんが訪問販売の営業マンの口車にのせられ、ボールペンを注文した。
すると「ありがとう大川」という謎のメッセージがぽつりと印刷されたボールペンが何百本にもわたり、大量に家に届くという事件になった。苗字は、大川というので、全くのお門違いというわけではないのだけれど、なぜこの意味深な言い回しが印刷されることになったのか、誰が誰に対するメッセージなのか、全貌は謎に包まれたままである。
あまりにも沢山届いたので、親戚中に配られ、勿論僕の手にも十本ほど渡ってきた。
僕は幼き頃から文房具には割とうるさく、日々使うペンにはそれなりのこだわりがある。これまで自分で買った物、貰った物も含めるとそれなりのコレクションがあり、もちろんそれなりに高価な物もある。そんなある日、通称「ありがとう大川」というボールペンは彗星の如く現れ(ペンは油性である)そして、僕のペン立てにぬくぬくと並んでいたコレクションたちを見事に蹴散らした。
まあ要は、とても書きやすかったのだ。そして、とても軽かった。
2.【YU】イヴ・サンローランの価値観を180度変えたモロッコに呼ばれ、旅に出た
ということで、今回の大川放送局は「モロッコ編」をお送りします。
そもそも、モロッコって何処ですか?という方のために、一応簡単に説明しますと、おおよそ日本の反対側ぐらいにある。(正確に反対側というわけではないけれど。)
日本が「日の昇る国」というのに対して、「日の沈む国」といわれている国であります。
そう言われると確かに反対側ですね。
ただ、「沈む国」なんて言われるとなんだか暗い雰囲気のする国なのかと思われるかもしれませんが、ちっともそんなことはなく、とても活気に溢れた明るい国です。
大陸としてはアフリカ。言語はアラビア語、かつてフランスの植民地だった事もあって第二言語はフランス語。地理的にすぐ上はスペインで、国教はイスラム教。
とまあ、よくぞここまで混ぜこぜにできたなあと感心してしまうほど、混ぜこぜな国なのです。
あまりに何もかも日本とはかけ離れているので、日本人の僕にとっては色々と衝撃的というか、刺激で溢れているというのは、ある意味当たり前なのかもしれない。
3.【YU】アラビア語で「死者たちの広場」!? マラケシュの中心、ジャマ・エル・フナ広場で目にした驚きの光景とは?
1ヵ月という時間は、人が程よくモノを忘れるのにちょうどいい時間なのだと思う。
恋人からの連絡が1ヵ月途絶えたら、大抵の恋愛は終わりを迎えるし、好きな人の顔だって1ヵ月見なければ、どんな顔だったかと色々とぼんやりしてくる。まあ、人の記憶というものはいつだってそうあてになるモノでは無い。 前回僕のコラムが世に出てからだいたい1ヵ月が経過するので、読まれていない方はもちろん、読まれた方も、その記憶というのはほどよく霧の中を彷徨っている頃だろう。(僕の場合は大抵霧の中を彷徨っている)
お察しの通り、今回は前回のお話の続き、旅の話。 モロッコが舞台となります。
とはいえ安心して頂きたいのは、前のモノを読まないといけないとか読み返したりする必要はありません。
――そう。僕はその時、マラケシュのフナ広場にいた。
モロッコのマラケシュという街は新市街地という近代になってからできた街と、旧市街地という何百年も変わらぬままのシーラカンスのような、あるいはネズミのテーマパークの一角のような街で構成されている。
4.【YU】純粋無垢な小さな生命体を目の前にしたとき、自分の無力さと不甲斐なさを感じた
僕ぐらいの年代になると周りの友人達に子供がいるということがこれといって珍しいことではなくなってくる。そして、ここ最近も、親しくしている友人カップルにベイビーができたりした。
正直なところ僕自身、子供が得意というわけではない。と、まあこんなことを言うとアナタって冷たい人なのねと言われてしまいそうなので、一応弁解しておくと決して嫌悪感や苦手意識があるというわけではない。単に幼な子と言うだけで無条件に溢れんばかりの父性で脳内を満たし、抑えきれない豊かな愛情表現で相手を包みこむことができるわけではないと言う意味である。
子供というのはもちろん、赤ん坊となれば無条件に可愛いというのは全く否定するつもりはない。ただその可愛さを裏打ちするように存在する、何の下心も企みも、汚された思想も持たない純粋無垢な存在を前に、僕は自分の無力さと不甲斐なさを感じずにはいられず、ただただ呆然とするほかにないということである。
それに比べると、犬や猫のような動物たちの方がいくらか簡単にそして単刀直入に、その造形的な可愛さの直球、ど真ん中ストレートボールを僕のキャッチャーミットに投球してくるのかもしれない。
要は、どうすればいいのかわからないのだ。
5.【YU】音楽生成AIは驚異ではない? むしろ感謝すべきワケとは
ハーイ! みんな元気かい? 僕は気が狂いそうなぐらい元気だよ! 前回の大川放送局は少し堅苦しかったね。読み返してみたんだけど、訳の分からない機械の訳のわからないマニュアル本みたいな感じで、後半は校長のスピーチみたいな話になってしまってsorry! みんなを炎天下の中に置き去りにしてしまったって反省しているよ! まあそれもそれで放置プレイってことでご愛嬌!
ところで今回の大川放送局はその名にちなんで放送スタイルでお届けしよう! 今回のテーマは、皆んな大好きアーティフィシャル・インテリジェンスについて。は? また訳のわからないことを大川が言い始めた? sorry! みんな大好きAI(人工知能)についてってことさ! 別に好きじゃない? 別に興味なし? ついてけないので苦手? そんな声もちらほら聞こえてくるけどNONONO!
多分僕たち人類はもう人工知能無しじゃまともに生きていけないところに来ちゃったって話だから、耳をかっぽじってよく聞いてほしい!
まず僕らが好きとか嫌いとかでどうにかなる話じゃない規模感で物事は進んでいる。インターネット? 意味わからないから興味ない! って言ってる人2000年初期にいたよね。スマホ? 使いこなす自信ないから、私ポケベルでいいわ。いたいた! 僕の周りにもそんな感じの人いたなあ。ポケベルは流石にいないか! とにかく懐かしいね!
6.【YU】スマホを忘れただけなのに……忘れられない奇妙な一日とは
先日、福岡で夏フェスの出演があったので、前日に現地に入りラジオ局などを周りながらキャンペーン活動を行うという仕事があった。昼過ぎには現地に着いていなければいけないので、朝一で羽田空港から飛行機に乗って向かうという段取りだった。空港に到着したところで、自分がスマホを自宅に置き忘れたことに気がついた。無論、慌てて取りに帰ることを考えたが、その時間から自宅と空港を往復する時間はなく、仕方なくスマホを持たないまま福岡行きの飛行機に乗り込んだ。
まあ、たまには情報社会から離れるのも悪くはない。連絡もスタッフがいるわけだし問題はない、そう脳内処理をし、国内線の硬い座席に精一杯、身を沈め静かに目を閉じた。
同行したのはメンバーの一人とマネージャーの一人。現地に着いたら、現地のスタッフたちが空港まで出迎えてくれ、そのままタクシーに乗った。1日のスケジュールはざっとラジオ番組の生出演の数本と収録数本、局への挨拶回りといった感じだった。夜までぎっしりだったが、まあ地方キャンペーンというものは大体こんなものなので、あ、はい、がんばります。といった感じで、一本目の現場へと向かった。
7.【YU】人との出会いは偶然ではなく、天文学的確率で我々は誰かと出会っている
空港というのは、実に奇妙な場所だ。ここのところ僕らのバンドが海外での公演が多かったりと、トランジットで一時的に滞在する空港を含めると割と多くの空港で過ごす時間がある。そしてまた今、ヒューストンの空港で成田行きの飛行機を待つまでの間、コーヒーを飲みながらブライアン・イーノの『Ambient1:Music for Airport』のアルバムを聴き、このコラムを書いている。
ご存知の方もいるかもしれないが、このアルバムは、Music for Airportという名の通り、空港のための音楽として作曲されたアンビエントミュージックだ。アンビエントミュージックとは環境音楽のことである。比較的静かな音響の繊細な変化の表現を基調として、特定の場所や空間に雰囲気を添えることを目的とし、1975年にブライアン・イーノが提唱した音楽様式のことである。どのようにして生まれたのかという話には諸説ある。
ある日、イーノは事故に遭う。病院のベッドに縛りつけられ、動けない状況にあったイーノのところへ友人のひとり、ジュディ・ナイロンがお見舞いにと、18世紀のハープのレコードを持ってきた。彼女が帰った後、イーノは悪戦苦闘の末やっとの思いでレコードをかけ、また横になった。すると、アンプのボリュームが小さすぎたのに加えて、片方のスピーカーが鳴っていないことに気がついた。しかし彼には直す元気がなかった。イーノは音がほとんど聞こえないまま、レコードを聴いた。そしてその時、“これは新しい音楽の聴き方だ”と気がつくわけである。彼は「その時の経験が、光の色や雨の音と同じように、環境の一部と化した音楽というものを教えてくれたのだ」と語っているという。
8.「お前の黒目は本来あるべき場所にいない」YUが言われてショックを受けたこと
先日、コンタクトレンズを買うための処方箋をもらいに(めんどくさいんだけど)眼科にいったのだが、僕の検査を担当してくれた方は何やらプンスカしていた(年末だからなのだと思う)。そして、その何やらプンスカしている検査を担当してくれた方は、プンスカしながら僕に簡単な視力検査を施した。僕は、上ですとか、下ですとか、口の空いた丸の向きを順番に答えていく羽目になった。わからなかった時はこんなこともわからない愚かな僕でごめんなさい。という気持ちをこめて、わからないです。と答えた。
いつもの検査のあと、何やら別の部屋に連れて行かれた。これはいつもの流れとは違った。次はこの光を見なさいと言われ、(いや、実際には見てくださいと言われたと思う)
僕は言われるがままに、ぴこん、ぴこんと光る、映画『未知との遭遇』に出てくる宇宙船みたいな光の集合体を見せられたわけである。
結果分かったのは、僕の目は人よりちょっと「寄り目」だということだ。
9.Snow Man「LOVE TRIGGER」が、発売2日でミリオンを達成。裏話をプロデューサー・YUが語る「9人の新たな一面を!」
I Don't Like Mondays.が楽曲提供したSnow Manの「LOVE TRIGGER」が、発売後わずか2日で103万枚を売り上げ、ミリオンを達成したことが一躍話題となった。発売後初週でのミリオン突破となったことはSnow Manとしても、楽曲提供という形で携わったI Don't Like Mondays.としても初の快挙だという。楽曲提供に至るまでの秘話や楽曲制作のエピソードなどについてYUはこう語る。
―Snow Manといえば、メンバーの岩本照さんがラジオなどでI Don't Like Mondays.の楽曲を紹介されたりしているのが印象的ですが、今回の楽曲提供のきっかけは岩本さんだったのでしょうか。
「直接すごく親交があったわけではないんですけど、岩本君が僕たちの曲を聴いてくれているっていうのは知っていて、数年前に渋谷のO-WESTでライブをやった時にもプライベートで来てくれていたらしくて。だからこそ、いつかSnow Manとコラボできたらいいなって思っていたところで、去年の夏頃に、岩本君が主演を務めるドラマ(『恋する警護24時』/テレビ朝日系)の主題歌の話をいただいたのがきっかけで、念願叶って楽曲を提供させていただきました」
―楽曲はどのように制作されたのでしょうか。
「ドラマのタイアップ曲ということでまずドラマの脚本を読み込んで、それからドラマの中でどのタイミングで流れるのか、どんな曲調が求められているのかなど、細かい部分まで含めて確認した上で、バンドメンバー4人で集まって話し合いながら一から作りました」
10.モロッコ、ニューヨーク、京都…人気ミュージシャンが泊まる5つ星ホテル6選
国内・海外問わず、多い時は1年に10箇所ほど訪れて、その土地の一流ホテルに宿泊することが好きだと語るYUさん。YUさんにとってホテルとは、建築、インテリア、食、文化、歴史、サービスなどを複合的に体験でき、さらには自身の価値観をアップデートしてくれる場所だという。
「僕がホテルを選ぶ基準は決まってラグジュアリーかつ、5つ星ホテルであること。ホテルで受けられる上質なサービスやホスピタリティが人として勉強になり、音楽活動にも活かせるため一流のホテルにこだわるんです」
そう語るYUさんがここ1〜2年の間に訪れたホテルの中で、再訪したいと熱望するほど衝撃を受けたホテルや、毎年訪れるというニューヨークでお気に入りのホテルなどを教えてもらった。
1.Aman jena/アマンジェナ
モロッコで衝撃を受けた、まるで宮殿のようなリゾートホテル
「色々なホテルを訪れたなかでも一番強く印象に残っているのが、モロッコの『Aman jena(アマンジェナ)』。ここはまるで別世界に来たかのような、宮殿を思わせるリゾートで、一歩足を踏み入れた瞬間から完全に虜になってしまった。
客室はそれぞれが独立していて高い塀で仕切られているので、他のゲストに遭遇することはほとんどなく、思うままにプライベートな滞在が叶うところが嬉しい。プールやスパのほか、テニスコートやゴルフ場も併設されていて、ホテルの中だけでも十分満喫できるんですが、アマンリゾートを訪れる度に僕が密かに楽しみにしているのは、実は各アマンオリジナルのアクティビティなんです。
11.YU「あなたにとって、贅沢とはなんですか?」【連載最終回】
皆さんは贅沢というものをしていますか? 贅沢というのは響きがいいものですよね。できれば毎日贅沢三昧の日々を送りたいけれど、なかなかそういうわけにはいかない。
贅沢というものは僕たち人類を堕落させるような、危険な響きを含んでいるので、それもそれでなんだかいいですよね。 ちょっと危険な香りのする男性に惹かれてしまう、好奇心旺盛なティーンエイジャーの女性の感覚に似たようなものがあるのかもしれない。
ただ一方で贅沢なき人生というのは、衣のない豚カツのようなものではないだろうかと僕は思う。 (どれもよくわからない例えになってしまった。まあいいか)
ところで、贅沢とはいったいなんだろう? 露天風呂つきの高級旅館に連泊しながらNetflixでドラマを鑑賞することなのだろうか。予約困難のカウンター鮨屋に自宅へ来てもらいプライベートな空間で握ってもらうことなのだろうか。それとも、北欧の老舗ワイナリーを巡る寝台列車の中でプレミアムなヴィンテージワインを飲むことなのだろうか。どれもそれなりに贅沢そうな響きを含んでいるが、どうも腑に落ちない。