変化を恐れずに挑戦し続けるロックバンド・サカナクションのフロントマン、山口一郎のインタビューをまとめてお届け! ※2022年3月、2023年7月・8月掲載記事を再編。
1. サカナクション山口一郎インタビュー「音楽活動を一から見直すことにしたんです」
2007年のメジャーデビュー以来、音楽シーンのイノベーターとして最前線を走り続けるサカナクション。そのフロントマンであり、ボーカル&ギターを担当する山口一郎は、いついかなる時もミュージシャンとしての在り方を模索し続けている。
「前々から、ミュージシャンがもっといろんなカタチで表現ができる場があったらいいなと思っていました。ミュージシャンってCDをつくることとライヴをやることくらいしか、自分を表現できる場がないんですよね。新型コロナウイルス蔓延(まんえん)前の数年間はライヴバブルと呼んでいいほどに音楽フェス全体が盛り上がっていて、ライヴをやると超満員みたいな状況が続いていた。でも、その状況が一変してしまいました」
コロナ禍において、有観客でのライヴはなかなかできなくなり、ミュージシャンとしては表現する大きな機会を奪われてしまったともいえる。しかし、山口はその状況を決して悲観せず、むしろポジティブに捉えている。
「コロナによってある意味、大きくなりすぎた音楽業界が矯正された気もしています。だから、僕らもこの機会に音楽活動を一から見直すことにしたんです」
2. サカナクション山口一郎「混ざり合わないものを混ぜ合わせることが快感」
2007年のメジャーデビュー以来、ミュージシャンとしての活動はもとより、ジャンルを越えた、さまざまなクリエイターと交流を重ね、音楽と多種多様なカルチャーを融合させたコンテンツを企画・運営。よりよいライフスタイルを提案しながら、「ミュージシャンに何ができるのか?」を日々、模索している。
そんな山口が、JTの加熱式たばこ用デバイス「プルーム・エックス(Ploom X)」とコラボレーションした。
今回のコラボレーションは、同郷のお笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次との対談がきっかけだった。地元・北海道のラジオ番組(STVラジオ『加藤さんと山口くん』)で共演する加藤が、JTの協賛するフリーペーパー内で持っている連載に山口をゲストで呼び、愛煙家談義に花を咲かせたのだ。
「加藤さんも僕も喫煙者なんですけど、その時に、プルーム・エックスについて詳しい話を聞かせてもらったんです。それで、もっと深く関わってみたいなと思って、それからJTさんに相談しました。
プルーム・エックスと『ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)』の相澤(陽介)さんとのコラボレーションも見ていたので、『僕もやらせてください』と、こちらからアプローチさせてもらって。『個性を尊重する』というプルーム・エックスの理念に共感したところもあります」
そして、まず山口の頭に浮かんだのが、「日本の美しさ」と「日本人の美意識」をデザインに取り入れることだった。コンセプトは「“本物”に宿る感覚を抽出し、洗練させて表現する」に決まった。
3. 【サカナクション山口一郎】日本ブランドの眼鏡や服を選びがちな理由
前編で、サカナクション・山口一郎にJTの加熱式たばこ用デバイス「プルーム・エックス(Ploom X)」とのコラボレーションについて話を聞くなかで、頻繁に飛び出した「日本人の美意識」「日本の職人の技術」というワード。今、改めて“日本”、そして“日本人”ということを意識しているのだろうか?
「デザインに興味を持つきっかけが、インテリアからだったんですけど、まず、今も大好きなピエール・ジャンヌレの家具から入って、(シャルロット・)ペリアン、(ル・)コルビュジエなど、ミッドセンチュリーの家具をコレクションするようになって。そこから時代とともにデザインが変化していくんだなということを知り、興味が湧いてきて。
日本は、そもそも床で生活してきて、椅子に座るようになって、インテリアデザインも建築も変わっていった……ということを学ぶうちに、だんだん日本の美であるとか、日本の技術を意識するようになっていきました」
ふと見れば、山口の仕事用のデスクは天童木工、ダイニングデスクがジャンヌレ、椅子がジョージ・ナカシマ。我々が取材時に案内されたソファとリビングテーブルは、天童木工の「haco(ハコ)」シリーズだった。
「そういう意味では、音楽も似ているなと思うんですよ。」
4. 【加藤浩次×サカナクション 山口一郎】今、北海道で3日間自由と言われたら、何する?
ともに北海道・小樽市出身のふたりは、現在ラジオ番組で共演中。お互いから故郷を感じるのか、力の入らないリラックスしたやりとりが人気だ。札幌の放送局STVラジオで制作されているこの番組『加藤さんと山口くん』は、スタジオで収録せず、ピンマイクをつけただけのふたりが、街を歩いたり酒を飲んだりしている様子がそのまま流れている異色の番組だ。
時にふたりは「マイクがついていることも忘れる」というほどリラックスして時間を過ごしている。今回ゲーテはその収録に同行、なぜか東京湾で夜釣りに出る、その前のふたりに話を聞いた。
山口 同郷じゃなかったら、僕らこんなに仲良くなっていなかったかもしれないですね(笑)。
加藤 道外の人は“北海道”でくくるけど、北海道ってだいぶ大きいですからね。でも僕ら、小樽まで一緒なんでね。
山口 小樽って、港町だからか、加藤さんみたいな豪快な人が多い気がします。
加藤 豪快っていうかさ、札幌の隣で、どっか小樽の人は感じることがあるわけ。小樽だって昔はすごかったんだぞ! って。その矜持(きょうじ)があるから。
山口 ニシンいっぱい取れたんだぜ、鉄道の開通だって早かったんだぜ、みたいな?
加藤 そう、それは親の代から俺ら聞かされているから。